映画「森山中教習所」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
森山中教習所の紹介：2016年日本映画。夏休み。ノーテンキな大学生・清高と、ネクラなヤクザの組員・轟木は高校の同級生。ある日とんでもない再会をし、同じ教習所に通うこととなります。清高は教官・サキ（麻生久美子）に恋心を抱き始め、美しくて甘酸っぱい夏休みが平穏に過ぎていくと思っていましたが･･･！？少年のようにフリーダムな清高と、高校を中退しヤクザの道へ足を踏み入れた轟木。たった一度の短い夏休みがふたりの人生を変えるのか！？変えないのか！？ノーテンキな大学生とネクラなヤクザが起こすひと夏の化学反応！ちょっと“キケン”な青春映画。
この解説記事には映画「森山中教習所」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
地元の馴染みの食堂にて。「たくさんデートしたけど、やっぱり駄目だと思う。」と清高（野村周平）が松田さん（岸井ゆきの）を振る場面から物語がスタートします。松田さんは「そっか。」と泣き出し気まずい雰囲気になるかと思いきや、普通に話題を変え食事を取り出す二人。清高は「免許取りたいなー。」と誰にでもなく言います。その帰りの夜道。フラフラと自転車を運転する清高を一台の車が思いっきり轢いてしまいます。倒れ込みピクリとも動かない清高。車から降りてきたヤクザの一人は、なんと清高の同級生の轟木信夫（賀来賢人）でした。兄貴分の本田（音尾琢磨）の指示で清高の乗っていた自転車を橋から捨て、清高を車のトランクに乗せ、再び車を走らせる轟木たち。轟木は、親分である社長に「やっぱりちゃんと教習所通わなきゃ駄目だな。」と言われてしまいます。
その足で山の中にある「森山中教習所」に行き、免許取得の教習を受ける手続きをする轟木たち。すると、外で待機していた本田の傍で車のトランクからバンバン叩く音がします。本田が恐る恐るトランクを開けると中から清高が飛び出します。清高は少し前に松田さんからのメールで意識を取り戻し、外に向かってトランクの中からバンバン叩いていたのでした。目を覚ますとそこは自分が行きたかった教習所で驚く清高。しかも中には高校の同級生の轟木がいます。社長は清高を轢いてしまった事を黙っている代わりに、清高の教習所代を全額負担する事を約束します。晴れて、次の日から二人とも教習生となったのでした。森山中教習所は、山の中の学校を教習所と自宅に改築したもので、ヤクザの社長と縁のある父親が、夫婦と一人娘のサキ（麻生久美子）とで経営しているのです。清高たちと一緒の生徒は、仕事の怒りを運転にぶつけるおじさんや教習所内でボクシングごっこをして怒られる外人たち、ギャルなど変わった面々です。サキは教習所のスタンプカードを清高と轟木に渡しますが、轟木はそれを捨ててしまいます。カードを拾い渡す清高に轟木は「森山中教習所は非公式の教習所であること。練習は出来るが免許は取れないこと。」を教えます。すると清高は「試験に受かればいいんだろ？」とあくまでポジティブに考え、轟木は清高の明るい姿勢に少しずつ感化されていくのでした。
サキと三人で水風船で遊んだり、楽しい夏を過ごす清高と轟木。教習の後、皆で焼肉をしているところで、サキから清高とのエピソードを聞かれた轟木は、こう答えます。「自分が高校を中退する日に初めて清高に声をかけられたこと。何の本を読んでいるのか？と聞かれ、「熱海の女」という官能小説を清高にあげたこと。それが清高と話した最初で最後のエピソードだということ。」それを聞いたサキは「何それだけ？」と笑います。サキは「友達なら連絡先くらい交換しなさい。」と日頃から二人の間を心配し、一日何も食べていないという清高に夕食を食べさせたり世話を焼きます。そのまま酒盛りとなり酔い潰れてしまった清高にサキは起きたら飲めるようにと水を用意してくれているのでした。サキの優しい配慮に一目で恋に落ちてしまう清高でした。ある日、チンピラの教習生が車をぶつけたことを指差した清高は、チンピラたちに殴られてしまいます。轟木に助けを求めた清高ですが「僕がやったらヤクザだから大変な事になるよ。」と手を出しません。しかしその夜、酒場で再びそのチンピラたちに絡まれた轟木は、本田たちと一緒にチンピラたちを捕らえ、熱湯につけた水風船で拷問し清高の報復をするのでした。一方、外では明るく振る舞っている清高も、家では母親はパート三昧で食事は毎日出来合いのお惣菜、父親は仕事をリストラされ引きこもりのゲーム生活をしていて、清高自身も家では言葉少なで暗く、両親の言い争いや家庭内暴力に耳を塞ぐ日々でした。
本物の教習所での練習も終え、仮免許試験を受ける二人。清高は受かりますが、轟木は落ちてしまいます。その夜、酒場でサキの父親と清高と轟木で楽しく飲んでいます。清高はサキの父親に夢を聞かれ、「車で旅をしながら物書きをする人になりたい。」と答えます。「どこへ行きたいのか？」という質問に対し、清高が「･･･熱海。」と答えると、轟木はふっと笑います。三人が楽しく飲んでいると社長がやってきて、轟木が仮免許に落ちたことを知り「遊びじゃねえんだぞ。」と叱責します。現実に引き戻される轟木。別の日。清高はサキに告白しようとした矢先、サキには別れた夫との間に一人息子がいることを知り、ショックで打ちのめされます。その事を松田さんに相談すると「器が小さいからだよ。」とさらに打ちのめされる事を言われてしまいます。サキへの気持ちは封印し、免許取得に全力を注ぐことを決意する清高。ある日、教習所で外人たちが「（自分達が）受からないのは教え方が悪いせいだ。」とサキの父親に絡む場面に遭遇した清高と轟木。サキの母親から「ヤクザだったら何とかしてよ。」と言われた轟木は無言で車の標識のパイプを引き抜き、外人たちに近付き背後から思いっきり殴り付けます。抵抗しようとした相手にも殴り付け倒してしまいます。止めようとした清高も弾みで殴ってしまい、気まずい空気のまま轟木は去っていきました。次の日、殴ったことを清高に謝る轟木。そんな二人に“最終試験”と称して山の中の川辺まで清高と轟木の運転で向かい、バーベキューをします。ふと、川のせせらぎに耳を澄ませる二人。轟木は「仕事辞めたいなあ。」と漏らします。夏も終わりに近付いていました。
最終試験の前日、森山中教習所では、サキたちから報告があります。「経営が厳しくなり、この教習所は閉め、島へ帰ること。なので、清高と轟木が最後の生徒だということ。」を伝えられ、明日の最終試験に向けてそれぞれ自宅へ帰ることになります。轟木は清高と工事現場で別れ際「明日、僕が遅れても気にしないで行っていいから。」と意味深な台詞を言い別れます。帰宅した清高。父親の再就職が決まり、久しぶりに家族で夕飯を囲みます。しかし清高が「親父おめでとう。」と面と向かって言っても父親は無視し、屁で返事をします。そんな父の姿に清高は「いつまで腐ってんだよ！！」とキレてしまいます。殴り合いになるかと思いきや、清高が練習していた護身術で簡単に父親を投げ飛ばしてしまいます。荷物を持ち、家を飛び出す清高。轟木と別れた工事現場へと向かいます。轟木はまだその場にいて、ショベルカーの座席に座り「やっぱり仕事辞めたいなあ。」と言います。清高は「自分で決めたことなら良いと思う。」と返します。ヤクザの親分の事務所に殴り込みをかける轟木と清高。拳銃の弾をショベルカーで避け、本田たち兄貴分をショベルカーでぶっ飛ばします。いつの間にか社長から拳銃を奪った轟木は、社長に銃口を定め、とどめの一発！社長の隣にあったガスボンベを打ち、事務所はドカンと爆発するのでした。とここまでが、轟木の妄想で、実際は、工事現場でショベルカーに座って清高といる場面へ戻ります。ショベルカーの鍵がついていることに対し清高が「鍵ついてる（から動かないね）」と言うと、轟木は「（鍵が）ついてて良かった。」と返します。清高が家出してきてしまったため、その夜は枕を並べ寝ることにした二人。横で寝る清高に対し、轟木は「この夏は楽しかったなぁ。」と漏らします。寝たふりをして轟木の言葉を聞いている清高。そうして夜は更けていきます。
免許最終試験当日。共に試験に合格した清高と轟木は、証明写真の出来不出来で笑い合います。すると、そこに社長が車で迎えに来ます。顔色が変わる轟木。「迎えがきたからここでお別れみたいだ。」と清高に伝えると「また会おうな。」と言う清高。轟木は清高と別れ去っていきます。
三年後。赤い車に乗った清高と松田さんが森山中教習所があった場所を訪れます。あの夏を懐かしむ清高。松田さんが読んでいる車雑誌には清高の連載コラムがありました。清高は飲み屋で語った通り、車で旅をしながらコラムを執筆するという夢を叶えていたのです。帰りの踏切を挟んで清高の車の前に黒い対向車が来ます。運転しているのは轟木でした。轟木の手には清高がコラムを連載している雑誌が。清高の姿を確認する轟木。清高もまた轟木を確認するのでした。そのまま何も言わずにすれ違う二人。そのままエンドロールになり、星野源の「Friend Ship」とともに映画は幕を閉じます。
以上、映画「森山中教習所」のあらすじと結末でした。
出演者：野村周平（佐藤清高）、賀来賢人（轟木信夫）、麻生久美子（上原サキ）、岸井ゆきの（松田千恵子）、音尾琢磨（本田智則）、根岸季衣（上原都紀）、ダンカン（上原威一郎）、光石研（中島重臣）ほか
監督：豊島圭介 原作：真造圭伍 主題歌：星野源「Friend Ship」
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