南極料理人の紹介:2009年日本映画。南極観測隊に料理人として参加した西村淳原作のエッセー「面白南極料理人」を映画化した癒し系人間ドラマ。日常を忘れたい、非日常を感じれる極寒の南極で過ごす個性豊かな隊員とほんわか癒やしキャラ調理人西村さんの1年間の記録ドラマ。
監督・脚本: 沖田修一 原作: 西村淳 キャスト:堺雅人(西村淳 / 調理担当)、生瀬勝久(本さん / 雪氷学者)、きたろう(タイチョー / 気象学者)、高良健吾(兄やん / 雪氷サポート)、豊原功補(ドクター / 医療担当)、西田尚美(西村の妻・みゆき)、古舘寛治(主任 / 車両担当)、小浜正寛(平さん / 大気学者)、黒田大輔(盆 / 通信担当)、小野花梨(西村の娘・友花)、小出早織(KDDインマルサットオペレータの清水さん)、宇梶剛士(スズキ)、嶋田久作(船長)、ほか
映画「南極料理人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「南極料理人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
南極料理人の予告編 動画
映画「南極料理人」解説
この解説記事には映画「南極料理人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
南極料理人のネタバレあらすじ:起
西村淳(堺雅人)は現在南極に来ています。海上保安庁で調理担当として働きながら、家族は料理が下手な妻 みゆき、不愛想な娘 友花、まだ赤ん坊の息子と平和に暮らしていました。ある時、南極に西村の同僚が派遣されることになりました。小さい時からの憧れだったので大喜びします。
西村も祝福しますが同僚はその夜、交通事故に遭い南極行きは断念せざるを得ませんでした。上司から代役を打診された西村は嫌がりましたが、引き受けざるを得ませんでした。こうして西村は家族と別れて、13000km離れた南極へとやってきたのでした。
西村と共に南極に滞在しているメンバーには、雪氷学者の本さん(生瀬勝久)、気象学者のタイチョー(きたろう)、大学院生の雪氷サポート兄やん(高良健吾)、医療担当のドクター(豊原功補)、車両担当の主任(古舘寛治)、通信担当の盆(黒田大輔)、大気学者の平さん(小浜正寛)の合計8名の個性的なメンバーが揃っていました。
南極料理人のネタバレあらすじ:承
西村のように嫌々来た者や、ドクターのように南極生活をエンジョイする者など様々でした。中でも主任は「自分はただの車屋や、なんでこんなとこにきてしもたんやろ」と嘆き西村に一緒に脱走を持ちかけます。西村は昼食のおにぎりを渡しながら励ますのでした。
南極生活も順調に進んでいましたが、トラブルが起こることがありました。兄やんが凍傷になり西村が雪氷サポートにまわることになります。その作業中に本さんは家族と離れて南極にやってきた心境を語ります。その日はちょうど本さんの誕生日で、リクエストで塊のローストビーフを振る舞います。「南極に飯を食いに来たわけじゃない」と言っていた本さんも、そのおいしさに目を丸くするのでした。
氷の上での野球大会開催の後、南極は冬の季節に入り太陽が見えなくなりました。各地の基地で開かれるミッドウィンター祭の季節になり隊員全員が正装し、西村の作るフルコースに舌鼓を打ちました。
南極料理人のネタバレあらすじ:転
季節が進み8月になると、隊員たちのストレスはピークに達していました。楽しみだったインスタントラーメンも盗み食いによって底をつき、タイチョーは落胆します。それをきっかけに生活の均衡は崩れていきました。仮病を使って作業をさぼっていた主任と平さんがもみ合いになり、巻き込まれた西村は、大事にしていた娘の乳歯を氷の穴に落としてしまいます。西村は部屋に引きこもってしまいますが、お腹が空いた隊員たちが作った油でべとべとのから揚げで家族を思い出し涙を流します。遠距離恋愛をしていた兄やんも恋人に振られてしまいます。
色々ありましたが、隊員たちは徐々に落ち着きを取り戻していきます。日本の子供たちと基地を繋ぐ電話に西村達がでることになりました。そこで西村は娘の友花とそうとは知らず、久しぶりの会話を交わします。友花はお父さんが単身赴任で、お母さんがずっと元気がないと話します。西村はご飯を作ってあげるようにアドバイスしました。おいしいものを食べると元気が出るでしょと話す父に友花は笑顔で頷くのでした。かん水がなかったために作ることができなかったラーメンを本さんの提案でついに完成させた西村は早速隊員たちに振る舞います。念願のラーメンを前に、仕事のオーロラ観測も忘れてみんな夢中になります。兄やんは、いつも話していた通話オペレーターの清水さん(小出早織)に告白します。
南極料理人の結末
とうとう帰国の日がやって来ました。空港で家族たちが、1年半の任務を終えた隊員達を出迎えました。兄やんを待っていたのはオペレータの清水さんでした。西村は元の海上保安庁の料理人に戻り、家族で遊園地に遊びに出かけました。昼食のハンバーガーを食べ、まずいと思っていた西村は思わず「うまっ」と声をあげたところで、この物語は終わります。
以上、映画「南極料理人」のあらすじと結末でした。
南極料理人「寒いけれどほっこりできる西村さんの料理。」
バイ菌もいない、ペンギンもアザラシもいないけれど、南極で頑張っている観測隊員はいます。その隊員達の日々の楽しみは、みんなで一緒にご飯を食べること。堺雅人さん演じる主人公の西村淳は、海上保安庁からの出向で調理任務担当です。普段は妻と子供二人の家族をまもる、良きパパという感じ。そのパパが急に南極出向の任務につくことに、それも一年間という長さ。普通であればこの報せを聞けば夫婦喧嘩に発展してしまいそうですが、この家族はパパを笑って送り出します。そんな明るくも厳しさを教えてくれる妻のみゆき役に西田尚美さん。映画の中で序盤・中盤・終盤と登場することで、西村さんのつくる料理の暖かさを教えてくれます。
南極料理人「頼もしくて面白い観測隊員。」
隊員は総勢で8人。それぞれに任務があるのと同時にとても個性豊かなのです。例えば医療担当の豊原功補演じる、通称”ドクター”はいつもニヤニヤしていて掴みどころのない男。常にビール片手に、なにかとみんなの世話をやいています。その行為が段々とエスカレートし、夜になると隊員達にお手製のカクテルを振舞って話を聞いたりと、まるで飲み屋のママさんのような状態に。隊員達の、良い憩いの場になっているのが時間の流れとともに見てとれるので楽しいシーンになっています。そんなドクターが最も頼もしく思えたのは、ある隊員の誕生日のためにステーキを焼くというとき。ステーキを焼くのには火力が弱いなぁと西村さんはぼやいていて、あることを思いつきます。外に出て漫画肉のような塊肉に火をつけると、ぶわっと勢いよく火が燃え上がります。それをドクターが持っているんですが、その勢いの良さで楽しくなっちゃったそうで、燃えた肉を持ちながら西村さんと追いかけっこを始めます。とても笑えて楽しいし、南極と燃えるステーキ肉という対比が目から鱗なので見応えは、たっぷりです。
南極料理人「氷床のコアというロマン。」
映画の舞台になっている、ふじ基地。そこで行われているのは、太古からの気候変動についての調査です。氷床と言われる場所から氷床コアという筒状になった氷の柱を取り出して、何万年という単位での過去の気象データを収集することが生瀬勝久さん演じる氷雪学者の通称”本さん”の任務になります。それを大学院生の高良健吾さん演じる通称”兄やん”や気象庁から出向の、きたろうさん演じる気象学者である通称”タイチョー”、極地研究所から出向している小浜正寛さん演じる、大気学者の通称”平さん”が支えています。
南極料理人「日本に帰る頃には、まるで家族のようでした。」
約一年が経過して絆も深まった8人には、大家族を見ているような微笑ましさすら感じてしまうものがありました。基地を離れる日、西村さんが大事そうに包丁を鞄にしまって台所の照明をきります。そのあとは、それぞれが待っていてくれいる人のもとへと帰っていきます。
うってかわってエンドロールで流れるのは、みんなで楽しく遊んでいるシーンです。この映画を見て食べること、そして料理をすることで起きる会話の楽しさを教えてもらえた気がします。きっとまた見たくなるんだろうなと思いました。
南極料理人のレビュー・考察
堺雅人さん演じる調理人西村さんと、7人のドームふじでの生活を個性豊かな面々で送るほんわか癒やされる映画です。ハラハラドキドキを期待する人は見ないように。ふじドームでの生活は外に出るときも分厚い防寒具を着て作業をし、水は大変重要とし、雪を外から運んで使用しています。わくわくするのは毎回出てくる豪華な食事です。かたまり肉は出てくるわ、(かたまり肉にガソリンをまいてお肉のかたまりを振りまくるおっさんのはしゃぎっぷり姿は印象に残ってます)伊勢エビは刺身にしないでエビフライででてくるわ、(私なら刺身で食べたい)フランス料理などなど。まあ他にすることがないので楽しみといったらこれぐらいだからしょうがないのか。深夜にはバーらしきものもあり、自分でシェイクしながらお酒を振る舞う姿は2丁目のママさん風でもあります。水を節約しなければいけないのに深夜におもいっきりシャワーを使用してる最中に別の隊員に見つかってしまい追いかけるシーンが結構くすりとします。おすすめのシーンです。そんな生活は終わりを迎え愛する自分の家族の元へと帰っていき結末もたんたんと終わってしまう感じです。この映画を見て不自由な生活でもネガティブにならず前向きに生きていくことの大切さを教えてもらえた気がします。帰還後の生活はかなりありがたく感謝するんだろうと思いました。私だったらここまで、できるだろうかとも。何度でも見たくなるような映画です。
「南極料理人」感想・レビュー
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南極越冬隊の調理担当にされてしまった西村淳隊員(堺雅人)の作る料理がとても美味しそうなんです。
伊勢エビの海老フライの巨大さには驚きです。
誕生日パーティーのために作った肉の塊に油を付けて焼くローストビーフの大胆な作り方にはビックリします。
南極という過酷な場所が舞台でありながら、ゆるーい空気のおかげであまり過酷さを感じさせずクスクス笑いながら南極に派遣された人たちの生活をただただ見守るすてきな映画です。台詞は少ないですが、いい役者さんばかり出ているので、表情や仕草を見ているだけで面白いです。また、出てくる料理はどれもとても美味しそうなのでどんどんお腹が空いてきます。見終わった後に幸せな気持ちになれます。