わたしを離さないでの紹介:2010年イギリス,アメリカ映画。2017年のノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家カズオ・イシグロの同名小説を原作とし、不治の病の治療が可能となった世界で、小さな学園でともに育った三人の男女の物語。三人の課せられた、残酷な生きる目的と絆の物語。
監督:マーク・ロマネク 原作:カズオ・イシグロ 出演:キャリー・マリガン(キャシー)、アンドリュー・ガーフィールド(トミー)、キーラ・ナイトレイ(ルース)、シャーロット・ランプリング(エミリ先生)、ほか
映画「わたしを離さないで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「わたしを離さないで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
わたしを離さないでの予告編 動画
映画「わたしを離さないで」解説
この解説記事には映画「わたしを離さないで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
わたしを離さないでのネタバレあらすじ:起
舞台は不治の病の治療に成功し、平均年齢が100歳を越えた世界。全寮制の学園、ヘールシャムでキャシー、ルース、トミーの3人の少年少女はアートなどを学びながら共に育ちます。
外界から隔離された学園で、精神、身体的に健康にと育てられた3人はある日、新任の教師であったルーシー先生に、学園の子供たちの目的を伝えられます。
それは、臓器提供が子供たちの存在目的であり、十分に年をとる前にドナーとしての提供が始まること、そして何度目かの提供手術によって命を落とすことであり、そのことを伝えたルーシー先生は学園を去ります。
わたしを離さないでのネタバレあらすじ:承
癇癪(かんしゃく)を起こすことから他の生徒にからかわれているトミーと、それを気遣うキャシーは子供ながらお互いに惹かれ合いますが、キャシーの親友であるルースが彼にアピールしたことで、トミーとルースは恋人同士になります。
そんな中、18歳になった三人は、コテージと呼ばれる施設で、ほかの学園の生徒らと共同生活を送ることになります。
様々な学園から集まる同じく三人と同じ臓器提供を目的とした若者たちの間で生活するなかで、真実の恋をしている恋人同士は、臓器提供までの猶予が与えられるという噂を耳にします。
わたしを離さないでのネタバレあらすじ:転
ルースと恋人同士であるトミーは、ヘールシャムの学園で子供たちの作品を集めていたギャラリーという存在が、真実の恋を証明するためのものではないかと、キャシーに提案します。
トミーを思い続けるキャシーは、恋人同士であるトミーとルースを残し、臓器提供者の介護を行うキャリアの仕事につくため、一人コテージを後にします。
10年後、キャリアとしての仕事をこなすキャシーはある日、臓器提供によって弱ったルースに出会います。ルースの提案でトミーを含めた三人は再会し、海岸への3人での小旅行を計画します。
海岸へやってきたトミーとキャシーに、ルースは学園のトップであったマダムの住所を渡し、真実の恋の猶予を申請することを提案します。
わたしを離さないでの結末
トミーとキャシーが惹かれ合っているのを知りながら、二人を遠避けようとしてきたことを謝ります。
旅行から帰り、トミーは10年間書き溜めたアートをキャシーに見せます。結ばれたキャシーとトミーは、トミーの作品を持ってマダムの元を訪ねますが、真実の恋の猶予が存在しないことを知ります。
ルース、トミーを臓器提供によって失ったキャシーは、一ヶ月後に初めての手術を控え、トミーやルースと過ごしたヘールシャムでの思い出を思い返します。
物語は、キャシーが臓器提供先の人々と提供する自分たちの違いがどれほどあるのだろうか、と自問するところで幕をとじます。
「わたしを離さないで」感想・レビュー
-
最高の映画でした。残酷な運命を決定づけられながらも抑えることのできない希望や悲しみといった感情が登場人物の表情や仕草に溢れていて、その控えめな人間性の発露に心が揺り動かされます。臓器移植のためだけに生まれたクローン人間という現実にはあってはいけない存在ですが、その設定があるからこそ伝わる真実があります。物語の力を感じさせる映画でした。
-
臓器提供のためだけに生まれてきた子どもたちは、悲しい運命を背負いながらも1日1日を過ごします。
自分の生きられる期間が決まっていたら、大人になれなかったら、愛する人と一緒に生きる未来がないなら…。
悲しみ、絶望、無力さ、登場人物たちの様々な感情に向き合う姿がとても考えさせられます。 -
架空の世界という設定で観られているけれど、人間に搾取されるためだけに生まれた命は現実にたくさん存在する。仔牛や子羊、実験用動物など。肉が柔らかいうちに殺されることが決まっている。生まれた時から身動きのできない小さなスペース。私たちは犬猫の一部と一緒に生活をし、彼らにも純粋な心があることを知っている。悲しみや痛みという苦しみを感じることも知っている。
私たち人間の命の重さと、彼らの命の重さに何の違いがあるのだろうか。 -
同じ時期に映画アイランドが似た内容だけどド派手な展開だったような
人間に臓器を提供するためだけにつくられたクローンたちのお話でした。真実の恋の猶予があると私も信じていましたが、存在しなかったことが残念でなりません。提供するクローンと提供を受ける人間の違いは何か。キャシーと同じことを私も考えてしまいました。