虹をつかむ男の紹介:1996年日本映画。就職試験に失敗して家を飛び出した、平山亮は四国の徳島の光町で今にも潰れそうな映画館オデオン座で働くことになり、オーナーの
活っちゃんに振り回されるが、映画に対する情熱と町の人々の人情に触れて、段々と感化されていく、人情コメディーです。
監督:山田洋次 出演:西田敏行(白銀活男)、吉岡秀隆(平山亮)、田中裕子(十成八重子)、倍賞千恵子(平山春子)、田中邦衛(常さん)ほか
映画「虹をつかむ男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「虹をつかむ男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「虹をつかむ男」解説
この解説記事には映画「虹をつかむ男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ
就職試験に失敗して夏は北海道のスキー場、冬は南アルプスの山小屋とアルバイト暮らしをしていた平山亮。久しぶりに帰って来たが、父(章)の真面目に暮らせと言われて大喧嘩し、母(春子)が止めるのも聞かず家を飛び出してしまう。電車に乗り、たどり着いたのが四国の光町であった。そこで、オデオン座という古い映画館の看板を直している男・活っちゃんから声をかけられます。映画館には二人しかお客はいません、映写室に案内されて自分が就職活動をしていると話すと即雇われます。それから何度か亮がバイト代を聞き出そうとしますが、いつも活っちゃんにごまかされてしまいます。吉井巡査:(鶴田忍)が自転車で近づき、活っちゃんに昔警察日記という映画があったやろ、また上映してくれんかと話しかけます。それを中学生の時にオデオン座で見て警察官になろうと思ったと話します。活っちゃんが警察日記のストーリーをゼスチャーを入れて、情感を込めて語ります。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–喫茶カサブランカ–
亮は活っちゃんに、喫茶カサブランカに連れて来られます。カサブランカのオーナーは八重子といって活っちゃんの友達の妹で幼馴染です。八重子は一度結婚しましたが、死別して故郷に帰って来て、このカサブランカを開いたのです。八重子もお兄ちゃんといって慕っていますが、活っちゃんは惚れています。亮はオデオン座の二階に住みますが、幽霊が出て驚きます。朝になって部屋が汚すぎるのと幽霊が出たことで、怒ります。バイト代の話しをごまかされてしまうので、映画館から逃げ出します。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–八重子の話し–
外の土手を歩いていると八重子に出会い、二人で話しをします。その頃、オデオン座ではお坊さんに幽霊のおはらいをしてもらっています。亮は八重子から活っちゃんは映画館で設けようとは考えていないこと、町の人に良い映画を見てもらって、見て良かったなと満足した顔を見たいだけだと聞かされます。パチンコに使うお金をほんの少しだけさいて、映画を見てほしいと考えるのは間違っていないと思うの。それだけを判って、東京に帰ってと八重子は亮に話します。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–亮のアルバイト–
オデオン座では常さんに活っちゃんが協の土曜日に上映する映画の話しをしています。ニューシネマ、パラダイスのストーリーをいつものように情感を込めて語ります。そこへフイルム巻を持って亮が上がってきて、次は何をしますかと声を出します。活っちゃんは、一瞬驚きますが、じゃっ宣伝に行こうと誘います。ワゴンのスピーカーでニューシネマパラダイスと映画の宣伝をしながら走ります。その夜に映画を見ようと八重子がかけ込んで来ると亮が迎えてくれたので、嬉しいと喜びます。活っちゃんはこの上映で三周年記念のお礼を言い、ニューシネマパラダイスの上映が始まる。実際に上映しながら、皆の様子を映します。上映が終り、皆は感動して涙を流しながら帰っていきます。あの映画のように、オデオン座を駐車場になんかしたら、あかんぞとお客が言います。残った常連たちがそれぞれ今の映画の感想を話します。活っちゃんが昔はこの映画館も人でいっぱいだったと話し、その頃上映した鞍馬天狗の話しをします。話しにかぶさって、鞍馬天狗の映像が流れます。皆が帰った後で、活っちゃんが満足した顔で皆が帰っていくのを見送るのが僕の生きがいだと話します。亮が儲かりましたかと聞くと、活っちゃんは苦笑いで儲かったよと言います。それを聞いて亮は微笑みます。亮は母親宛に手紙で四国で映画館に勤めていることを知らせます。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–出張映画–
今日は公民館で上映会があるので三人はワゴンで移動しています。その中で活っちゃんと常さんが若者達の映画の話しで盛り上がっています。到着して自転車で今夜の映画の宣伝をしています。四万十川の沈下橋を、スピーカーで話しながら通っていきます。役場の斉藤課長(柄本明)が夜の九時に上映を終るようにと言われましたが、映画はそれを超えてしまいます。その事を説明しに活っちゃんが役場に行くと、斉藤課長は頑固に承知しません。斉藤課長は映画のどこかを削ればいい、しょせん娯楽なんだからと言います。それに対して、今回の上映する、野菊のごとき君なりきは、日本の文化を代表する芸術ですと話します。斉藤課長の娘の名前が民子と知ると主人公の名前も民子だと教えて、ストーリーを語り始めます。いつものように、表現豊かに語ると、映像がかぶさって流れます。場面は映画の上映に移り斉藤課長が見ています。九時になり、活っちゃんが時間ですから終りますかと耳打ちすると斉藤課長は今一番いいところだと答えます。活ちゃんが規則でしょと耳打ちすると、そんなもん、どうでもいいやないかと押しのけて涙を流して映画に没頭します。上映が終り、入り口で活っちゃんと斉藤課長は硬く握手をします。活っちゃんが時間オーバーを詫びますが、斉藤課長は気にするな責任は私が持つといいます。その時に娘の民子が来ると、斉藤課長は好きな人が出来たら紹介するんだぞと涙声で娘に言います。活っちゃんは亜全と見送ります。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–八重子のお見合い–
次の上映作品を決める話し合いに八重子は家で取込みがあるからと欠席すると伝えます。実家で兄、修次郎(笹野高史)が八重子にお見合いの話しを持って来ました。八重子が断ると、修次郎は活男となんかあるんじゃないかと嫌味を言います。八重子は真剣な顔で、活男さんは死んだ兄の親友やないの、なんであんないい人をそんな風にいわなあかんのと抗議します。修次郎は罰が悪くなり、妻・かおり(宮下順子)に当たります。土曜映画の企画委員会が始まります。メンバーは、活っちゃんと映写技師の常さんと町の有志です。客の入りが良く、尚且つ、芸術性の高い映画を上映したいと言うと、それぞれ、映画の名前を並べます。風と共に去りぬ・サウンドオブミュージック・ライムライト・七人の侍・カサブランカ。しかし、活っちゃんが今並べた映画史上に参禅と輝く映画をしたいけどプリント代が高いから無理だと話します。プリント代の安い映画はないかと、皆で考えるが黙ってしまいます。常さんの意見を聞くと、阪妻の無法松の一生と言うと古すぎると言われてしまいます。活っちゃんが思い出したように、かくも長き不在という映画を紹介します。皆があまり知らないので、またストーリーの紹介を全身で表現します。バックに音楽が流れて、活っちゃんは立って身振り手振りで主人公に成り切ります。その後で映像が流れます。活っちゃんの台詞と映像が向後に流れます。皆は良さそうな映画やなということで、この作品が決まります。上映の日に、映画を見た皆の感想は、あまり良くありません。活っちゃんの話しの方が面白かったと言って帰ります。八重子だけが涙を流して感動していました。寝ている活っちゃんを起こして、帰ろうとすると雨が降っていて、活っちゃんが送ります。その帰りに八重子があの映画みたいに愛を貫けられたらと思ったと話します。自分が段々と亡くなった夫のことを忘れている時があると話します。一人でいることが寂しくなること、そして自分が何かを待っていると話します。活っちゃんは必ず来るよ王子様がと話し、オスカルの話しをしてはぐらかせてしまいます。カサブランカに着いて、来週の映画は明るくなるよと話します。来週はジーン・ケリーの雨に歌えばだと言って出ていきます。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–雨に歌えば–
外に出た活っちゃんは雨の中、ジーン・ケリーのように踊ります。その姿が本物のジーン・ケリーと入れ替わります。そして、雨に歌えばの映像が流れます。再び、活っちゃんのステップが移り、見事に演じます。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–八重子の妻の代行–
今日は中野小学校の最後の文化祭で映画上映に来ています。八重子も一緒で先生に活っちゃんの奥さんだと思われています。来年の三月に学校が閉鎖になるので、その思い出の上映会です。生徒は一人だけで、活ちゃんが少年に思い出を残してほしいと伝えます。上映されたのは、禁じられた遊びです。終った後で、校長から採算度返しで、一人の生徒の為に上映してくれた活っちゃんにお礼を言います。先生から何か一言と言われますが、先ほど話しましたと答えると、では奥さんにと八重子に言います。八重子は活っちゃんの妻として、活っちゃんの上映する者がいなければゼロだと言う言葉と、一人の生徒さんの為に上映した夫に惚れ直しましたと弁舌しました。その後は、アワオドリの回が楽しく続きました。宴会が続きました。八重子の父親が急に亡くなり、お通夜の用意でばたついています。その時、大阪から服部という男が八重子を訪ねて来ます。彼はなくなった八重子の夫の同僚です。二人は人目を偲んで話しをします。その様子を亮は見てしまいます。東京の母親から新しい下着と手紙が亮に届きます。手紙には、早く東京に帰って来いと書かれてあります。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–活っちゃんの失恋–
活っちゃんがお洒落をして手にはカサブランカの花を持っています。そして、喫茶カサブランカに来ました。八重子に葬式の疲れを労い、カサブランカを渡します。八重子が喫茶カサブランカを閉店することにしたと告げます。活っちゃんが理由を尋ねると、父親が亡くなり、居ず楽なることと、大阪から亡夫の同僚が結婚に申し込まれて承諾したと言われます。活っちゃんはうろたえますがなんとか、良かったやないかと言います。同僚なら、一流会社やし、そんな人を探していたんやと心にもないことを話します。八重子が涙を見せます。お兄ちゃんが私に好意を持っていることは気づいていたと。それでも、答えてあげられず、裏切るようなことになってすみませんと誤ります。活っちゃんはうろたえながら、五戒や、親友の妹としか思っていないと話します。
虹をつかむ男のネタバレあらすじ–常さんの決断–
オデオン座では東京物語が上映されています。活っちゃんの元気はありません。上映の後でいつものメンバーにオデオン座を閉館したいと告げます。刀折れ、屋も尽きました。閉館は自分の経営努力が足りなかったからですと詫びます。和尚から八重ちゃんが去ってショックやったんは判ると言うと活っちゃんは激しく怒ります。俺は八重ちゃんに振られたから、このオデオン座をやめるんじゃないと抗議します。活っちゃんがお金で苦労していることは皆ようわかっていますと興奮する活っちゃんをなだめます。皆が寄付をつどうと言いますが、それぐらいのお金ではどうしようもないと活っちゃんは言います。話しを終らせようとした時、常さんが声を出します。これを使ってくれと貯金通帳を活っちゃんに渡します。先代の社長から活っちゃんを助けてやってくれと頼まれてから貯金をしていたと話します。活っちゃんも皆もそれほどの金額はないと考えていました。安い給料から12万円も貯めてと苦笑いをして活っちゃんが言います。通帳をよく見て、120万円、さらによく見て、1200万円と驚きます。活ちゃんはこんなお金使えるはずがないやろと受け取りません。しばらく押し問答して常さんが出て行きます。活っちゃんが昔不動産屋がここを駐車場にしたいと大金を提示してきたときに売るか迷っていたら、常さんが手放したら映写室を燃やすと言って黒い煙が出た時は驚いたと笑いかけて、はっとなり外映写室に向かいます。皆が映写室に行くと鍵がかけられて、常さんが閉じこもっています、あわてた活っちゃんはドアに体当たりしますが、ドアが開き、転げ込みます。そして、消火器で部屋は真っ白になってしまいます。
虹をつかむ男の結末–亮の別れ–
八重子が大きなトランクを持って町を出て行きます。オデオン座はピザを売ることで、なんとか利益を出すことにしたので、銀行の融資が受けられるようになりました。活っちゃんは東京行きの飛行機のチケットを購入しました。亮に今までの給料と退職金を渡します。亮は首ですか、一生懸命したのに何が気に入らないのですかと怒ります。活っちゃんがお前のことを気に入らないわけはないやろと言います。10年20年とここで働けるか、ここを離れて仕事を探して、家庭を持たなければいけないと話します、だから、首にするんやと言い聞かせます。亮は離開しますが、自分のことは棚に上げてと言うと、且つっちゃんは棚にあげて話してもいいんやと答えます。今の自分の気持ちはこの映画やと亮と二人で映画を見ます。タイトルは男はつらいよ代一作です。それを見ながら活っちゃんは涙を拭います。亮は東京の我が家に帰って来ました。手紙で無事に東京に帰ったことと就職活動をしていることを告げます、仕事が決まり、休みが取れたら、会いに行くと書きました。その手紙を読んでいると、隣にリュックを背負った若者に気づいて働くように勧めます。
設定が一部、「男はつらいよ」の外伝のようで、良かったですね。
実現しなかった「男はつらいよ」第49作目のキャストで撮影したようです。
松竹の「男はつらいよ」と渥美清へのリスペクトを感じる作品です。