ビリーブ 未来への大逆転の紹介:2018年アメリカ映画。名ばかり自由の国アメリカが真の自由と平等の国になるまでを、80歳を超えてもアメリカの最高裁判事を務めるルース・ギンズバーグの半生を、苦難と第一歩となった裁判を通して描く。女性が活躍しにくい時代に弁護士となって、女性の権利を訴え続けた姿を描きます。
監督:ミミ・レダー 出演:フェリシティ・ジョーンズ(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)、アーミー・ハマー(マーティン・ギンズバーグ)、ジャスティン・セロー(メル・ウルフ)、サム・ウォーターストン(アーウィン・グリスウォルド)、キャシー・ベイツ(ドロシー・ケニオン)、ジャック・レイナー、ケイリー・スピーニー、ほか
映画「ビリーブ 未来への大逆転」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビリーブ 未来への大逆転」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ビリーブ 未来への大逆転の予告編 動画
映画「ビリーブ 未来への大逆転」解説
この解説記事には映画「ビリーブ 未来への大逆転」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビリーブ 未来への大逆転のネタバレあらすじ:起・男社会アメリカ
1950年代アメリカ、ハーバード大学のロースクールンに入学したルースは、男子学生に混じって弁護士になることを目指していた。まだ男社会の根強かったアメリカでは、大学の集まりや、授業でもルースの発言は一蹴されてしまう。
同じくハーバード大学で法律を学ぶ夫との間に娘を持つルースの生活は忙しなかったが、充実していた。しかし、ある日、夫マーフィーの精巣ガンが発覚。治療に励む夫の代わりに大学の授業にでてノートを取った。そこで、時代の移り変わりと法のについて学んだ。
ガンを克服し、大学を無事に卒業したマーフィーは法曹界の中心、NYで就職した。ルースは付いていくために、ハーバード大のロースクールからコロンビア大のロースクールへの移籍を願い出るが学長の答えは芳しくなかった。
ビリーブ 未来への大逆転のネタバレあらすじ:承・弁護士ルースの初仕事
ハーバード大、コロンビア大で主席、更に論文も書いたと言う実績を持って、NYの弁護士事務所をいくつも受けたが、どこも門前払い。そこで、弁護士としての経験は詰めないが、大学の教授として教鞭をとることにした。
70年代、学生達はベトナム戦争反対のデモをし、大学には女生徒も多くいた。そして、高校生になった娘のジェーンも活動に興味をもち、頭のいい母ルースに反抗をしだすようになった。
ある夜、夫と訪れたパーティーで侮辱されたと感じたルースは、大学教授とし後進を育ててるのではなく、自分が弁護士として働きたかったと本音を吐露する。男女同権とは言い難い社会を変えようとするルースに、マーフィーは、とある男性の介護控除が認められなかったという判例を彼女に見せた。差別を受けているのは女性だけでなく、男性も同じだと気づいたルースは、控訴しようと決めた。
ビリーブ 未来への大逆転のネタバレあらすじ:転・差別とは
まだ弁護士としての経験のなかったルースは、ACLU(アメリカ自由人権協会)に所属する旧知のメル・ウルフに協力を仰いだが、ベトナム戦争関連の仕事で忙しいメルは首を立てには振らなかった。そこで本人を訪ね、彼が独身の男性という理由で差別を受けているという事に行きあたり、弁護人として控訴することにした。
控訴にあたり、趣意書を作成し、裁判所とメル、そして伝説の弁護士ケニオンの元にもそれを送った。ジェーンを連れてケニオンの元を訪ねると、男性が差別されていると言う判例を見つけたのはいいが、教授職である事を言い当てられ、法廷での女性の権利は無いに等しい事を言い渡されてしまった。ケニオン曰く、この裁判をするには、まだこの国の社会が整っていないと言う。しかしその帰り、娘のジェーンが見知らぬ男性からかけられた暴言に、怯まず言い返したのを見て、この国は変わったと確信した。
ビリーブ 未来への大逆転の結末:未来へのための判決
相手側のブラウン弁護士から、過去における男女差別に関する判例を送られ、メル達に寄り模擬裁判も思わしくない。挙句たった1ドルでの和解を申し入れられた。ルースは当人と話し合い、壱ドルではなく賠償金全額、男女差別をした判決との明記など条件を出し、和解案はご破算、裁判での対決に挑む。
裁判当日、マーフィーとの共同弁論はうまくいかず、相手側の弁論に対する反論は4分。勝負をかけたルースは、今まで百年に渡る男女差別を是とした判決を負の遺産と断じ、未来の裁判のために、男女差別を認めた前例として残して行くための判決をと述べた。
結果、負けると言われていた裁判は勝訴。
マーフィーと連れ添い、娘は法学の道へ、息子は音楽プロデューサーに、そしてその後も男女差別をなくすために弁護士として活躍したルースは、現在アメリカ最高裁判所の判事の任についている。
以上、映画「ビリーブ 未来への大逆転」のあらすじと結末でした。
ビリーブ 未来への大逆転のレビュー・考察:ルースの正義
『女』というただそれだけの理由で、抑圧されて来たルース。女性側として差別を受けた判決が幾つもある中、男性が差別された判決の控訴を選らんんだのは、彼女の真の目的が女性を社会の固定観念から解き放つだけでなく、それと同じくらい男性にも男らしさが求められ、男性優位と言いながら独身男性は差別していると言う、男女共にとらわれている固定概念から自由になる事だったからだと思う。そして、これから変わり続けるだろう世界への先見性が彼女へ道を開いたのではないだろうか。
実在の人物ルース・ベイダー・ギンズバーグの単なるスーパーウーマンとしての側面だけではない、一人の人間としての葛藤や困難も見事に描き切った佳作。くじけそうになりながらも信念を貫いた彼女の姿勢に尊敬ができる。