王様になれの予告編 動画
映画「王様になれ」解説
この解説記事には映画「王様になれ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
王様になれのネタバレあらすじ：起
神津祐介（岡山天音）は2年前に他界した父親の影響で、将来プロのカメラマンになるという夢を抱いていました。祐介は叔父の“大将”（オクイシュージ）が営むラーメン屋で働きながら、スタジオでカメラマンのアシスタントとして修行を積んでいましたが、祐介はいつまで経っても目が出ない自分の現状に焦りを募らせており、今やプロのカメラマンとして名を馳せている専門学校時代の同期だった西小路健（岩井拳士朗）の活躍に嫉妬心を抱いていました。
そんなある日、大将のラーメン屋に大将と同じ劇団に所属する女性・藤沢ユカリ（後東ようこ）がやってきました。ユカリに一目惚れをしてしまった祐介は彼女に近づきたい一心で、ユカリが大ファンだというロックバンド、the pillowsのライブに足を運びました。祐介はライブそのものよりも、むしろライブを撮影しているカメラマンの存在が気になりました。
終演後、何とかユカリと会話を交わすことが出来た祐介は、彼女からthe pillowsの曲について教えてもらい、次第にその魅力にハマっていきました。そんな祐介にユカリは「必然かもね。the pillowsと出会ったの」と嬉しそうな表情を見せました。
ユカリはthe pillowsのこれまでの軌跡になぞらえ、「祐介君は今、第何期？」と問いかけてみました。祐介は「僕はまだ、何者でもないんだ」と答えるしかありませんでした。
やがて祐介はアシスタントのバイトをしていたスタジオを解雇されてしまい、途方に暮れていると、大将は「お前の本当にやりたいことが、そこにはなかったんだろ」と祐介の父が祐介と同じ年齢の頃に撮ったという写真を見せてくれました。
王様になれのネタバレあらすじ：承
祐介はthe pillowsのライブを撮影していたカメラマンの虻川塁（岡田義徳）の存在を知り、虻川に弟子入りを歎願しました。土下座までして頼み込む祐介の熱意を買った虻川は渋々ながらも祐介を弟子にすることにしました。
祐介は虻川に同行してthe pillowsの盟友バンドTHE KEBABSのライブに行けることになり、嬉しい気持ちを早速ユカリに報告しました。ユカリはこれを祐介の“第二期”と捉え、お祝いとしてthe pillows公式グッズのカーディガン」をプレゼントしてくれました。祐介はユカリに落ち込んだ時の立ち直り方を尋ねると、ユカリは「宛先のない手紙を書く」と答えました。
そんなある日、大将のラーメン屋に何とthe pillowsのメンバーが来客として訪れました。リーダーの山中さわおはネギなしラーメンを注文したのですが、気が動転した祐介は間違ってネギ入りラーメンを出してしまいました。山中は作り直すようクレームを入れ、祐介はそのことをユカリに愚痴ったところ、ユカリは不機嫌になり「あなたのミスでしょ。私がどれだけthe pillowsの曲に助けられたか知らないくせに！」と怒りを露わにしました。
祐介とユカリは初めてケンカしてしまい、思い直した祐介はカメラを携えて以前ユカリと一緒に行ったことのある小高い丘を上りました。そこではユカリが手紙を書いており、祐介はその姿をカメラに収めました。祐介はユカリに告白しようとしましたが、ユカリは「もう会わないほうがいい」と拒んでしまいました。
王様になれのネタバレあらすじ：転
the pillowsはいよいよ結成30周年を迎えようとしていました。祐介の脳裏には「私が生まれた頃からずっと続けているなんて凄いよね。さわおにとってのギターと祐介君にとってのカメラは一緒。写真やめないでね。いつか見れるのを楽しみにしてるわ」というユカリの言葉が浮かんでいました。
the pillowsはGLAYのTERUやJIRO、ストレイテナーなど親交のあるミュージシャンをゲストに迎えて30周年記念のアコースティックライブを催し、その客席にはユカリの姿もありました。涙ぐむユカリはどこか胸が苦しそうでした。
一方その頃、ユカリにフラれた祐介は自宅で悶々とした日々を過ごしていました。そんな祐介に虻川が胸を貸し、the pillowsのレーベルメイトであるTHE BOHEMIANSのジャケット写真撮影を任されました。ところが、その写真を見た山中は「打ち合わせと全然違う。これじゃ主役はお前だろ！」と祐介を怒鳴りつけ、虻川も「お前は自分自身に嘘を付いたことが悔しくねえのかよ」と責めました。
現実からも夢からもユカリからも、そして自分自身からも逃げ、自暴自棄に陥った祐介。立ち直るきっかけとなったのはthe pillowsの音楽、そして大将から聞いたユカリの心臓の病のことでした。
王様になれの結末
ユカリは生まれつき心臓に病を抱えており、手術が必要な程に陥っていました。ユカリの苦しみに気付いた祐介は己の心の弱さと甘えにも気づき、心機一転再びカメラに真摯に向き合うようになっていきました。祐介の奮起に心を打たれた虻川は、山中にもう一度祐介にチャンスを与えてほしいと願い出、祐介の熱い想いを感じ取った山中は祐介にthe pillowsのライブ写真を撮らせることにしました。
ライブを前にして、祐介の元にユカリから手紙が届きました。手紙には「the pillowsに会ったのは必然って言ったの覚えてる？ それは私にとってあなたでした」と書かれてありました。祐介は手術を控えるユカリを病院に見舞いに行き、the pillowsのライブを撮ることになったことを伝えると自分の弱さを謝りました。
そしてライブ当日、山中から「良い写真を頼むよ」と頼まれた祐介は「さわおさんも良いライブお願いします」と返し、楽屋はリラックスモードに包まれました。そしてライブハウスを埋め尽くしたバスターズ（the pillowsのファンのこと）の中、祐介は無我夢中でカメラのシャッターを切り続けました。
祐介は心なしか、会場にユカリがいるような気がしました。祐介はユカリからの手紙に書いてあった、the pillowsの楽曲「王様になれ」のタイトルを思い出していました。
それから程なくして、祐介はささやかな個展を開いていました。そこにはthe pillowsのライブ写真も展示されていました。個展の会場には見慣れた女性の姿がありました。それは心臓の病を克服したユカリでした。祐介の“第三期”が始まろうとしていました。
以上、映画「王様になれ」のあらすじと結末でした。
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