映画「リング・ワンダリング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
リング・ワンダリングの紹介：2020年日本映画。東京の下町を舞台に、漫画家志望の青年が不思議な女性や彼女の家族との出会いを通じて下町に眠る過去の記憶と現在が交錯する不思議な体験に遭遇する姿を描いたファンタジードラマです。
監督：金子雅和 出演者：笠松将（間草介）、阿部純子（川内ミドリ／梢（二役））、安田顕（川内青一）、片岡礼子（川内藍子）、品川徹（川内黄太（老年））、伊藤駿太（川内黄太（少年））、横山美智代（川内桃子）、古屋隆太（川内土志朗）、増田修一朗（内東大志）、細井学（千場常男）、友秋（鷹田勇斗）、石本政晶（田中忠一）、桜まゆみ（守山やす江）、川綱治加来（鈴村良人）、納葉（秋川浩美）、ボブ鈴木（八兵衛）、比佐仁（作治）、山下徳久（呉郎）、田中要次（塩屋）、長谷川初範（銀三）ほか
この解説記事には映画「リング・ワンダリング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
間草介は東京の工事現場でアルバイトをしながら、かねてからの夢である漫画家になろうと努力していました。そんな草介が題材に選んだのはすでに絶滅したとされるニホンオオカミでした。
ある冬の日、草介は東京から離れた山に流れる川のほとりでオオカミのスケッチを描き始めましたが、どうしても上手くイメージできませんでした。そんな時、草介はたまたまススキの生い茂る野原で古いカメラを手にした少年と出会いました。少年は草介が描いたオオカミのスケッチは何かが違うと指摘してきました。もうオオカミはいないのだとムッとする草介に、少年はオオカミはまだここにいるから今度写真に撮って見せると告げて去っていきました。
草介は職場で先輩の内東と漫画の進捗状況について語り合い、その際に息抜きに花火大会に行ってみてはどうかと提案されました。その後、草介は工事現場で作業をしていると、土の中から動物の頭蓋骨らしきものが発見されました。草介は頭蓋骨を密かに家に持ち帰り、パソコンで検索してみると、その頭蓋骨の特徴はオオカミのものと非常に似通ったものでした―――。
―――草介が制作中の漫画の世界の舞台は雪深い山の村でした。ある時、村人たちが雪に付着した血痕を見て何者誰の仕業かと話し合っていました。そこに村人から快く思われていない様子の銀三という猟師が現れ、血痕を一目見るなりオオカミの仕業だと見抜きました。しかし、この村ではオオカミは古くから神のように崇められてきた存在であり、村人たちは今回も不問で済ませようと考えました。ところが、銀三だけは自ら仕入れた最新型の火薬を用いた罠を見せつけて不敵な笑みを浮かべました。銀三には一人娘っった梢を自分が仕掛けた罠で死なせてしまったという過去がありましたが、それでも銀三は自分ひとりだけでもオオカミと対決する決意を新たにし、村を去ることを決断しました―――。
―――草介は再び工事現場へと向かい、頭蓋骨になかった顎の部分を探そうとしたところ、近くで女性の声が聞こえたため咄嗟に身を隠そうとしました。ところが、草介はその女性と鉢合わせになった際、女性は誤って転倒して怪我をしてしまいました。
この女性の名前は川内ミドリといい、1週間ほど前から姿が見えなくなった飼い犬のシロを探していたのです。草介は足を挫いたミドリを背負って自宅まで送っていくことにしました。途中、ミドリは近くの神社を通っていくよう指示し、草介は不安に駆られながらも言われた通りにしました。
ミドリの家は家族が経営する写真館でした。草介はミドリ、ミドリの父・青一、ミドリの母・藍子から夕食をご馳走になりました。ミドリの弟・黄太は田舎に行っているというのですが、草介は黄太は学校は休みなのかと問いかけてもミドリの家族は不審な顔をするばかりでした。草介はシロをかわいがっていたという黄太のためにシロの絵を描いてあげました。
草介はミドリ一家と束の間の団欒を過ごし、家を後にすることにしました。草介は花火大会の話をしましたが、青一は「君はさっきからおかしなことばかり言う」とまるで花火大会などあるはずがないような言い方をしてきました。
草介はミドリと共に先ほどの神社まで移動しました。草介はミドリや両親の不審な言動から、ミドリは実は生きている人間ではないのではないかと思いましたが、ミドリは否定しました。ミドリは草介にシロがいたら教えてくれるよう頼み、草介はミドリの表情をスケッチしようとしましたがあいにくペンを持ち合わせていませんでした。ミドリは近くの木の枝を折って草介に渡し、「私の姿、忘れないで」と告げました。ミドリと別れた草介はそのまま帰路につきました。冬の夜空には花火が打ち上がっていました。
翌朝、草介は工事現場で古い首輪を発見しました。草介はその首輪を手にして昨日ミドリと行った神社に向かいました。御神木の横には「焼け残った御神木」と書かれた立札がありました。
それから草介はミドリの写真館に向かいましたが、そこに立っていたのが昨日と打って変わって建て直されたかのような写真館でした。そこにいたのは黄太と名乗る年老いた人物とその娘でした。
草介は黄太の娘から、この写真館は太平洋戦争の空襲の被害に遭い戦後に再建したこと、黄太は田舎に疎開していたため一家で唯一生き残ったことを聞きました。実はミドリも両親も既にこの世にはいなかったのです。
黄太の部屋に置かれていた古い絵は昨日草介が描いたシロの絵そのものでした。頭蓋骨と首輪は実はシロのものであり、草介からそれを受け取った黄太は涙しながらシロとの再会を喜び、草介に見つけてくれてありがとうと感謝の意を伝えました。
昨夜の花火大会は、戦争で命を落とした人々への弔いの花火でした。草介は黄太の娘から古いアルバムを渡されました。古い写真に写っていた少年は以前に草介がススキの野原で出会ったカメラの少年であり、なんと少年時代の黄太だったのです。そして少年時代の黄太が撮った写真にはなんと草介の姿がありました。
驚きを隠せない草介に、黄太の娘は父が草介に持っていてほしいとアルバムを託しました。草介は帰宅するなりミドリから渡された木の枝を削ってペンにし、無我夢中で漫画の続きを描き始めました―――。
―――漫画の世界では、銀三は過酷な旅の末にようやく山の奥深くでニホンオオカミに遭遇しました。銀三が猟銃を構えたその時、何者から後ろから銀三の手を掴んできました。背後にいたのは死んだはずの梢で、銀三がオオカミに夢中になるあまりあと一歩で断崖絶壁から落ちるところだったと伝えに来たのです。銀三は思わずむせび泣きました―――。
―――漫画を描き終えた草介はアルバムを持って、少年時代の黄太と出会ったススキの野原へと足を踏み入れました。アルバムにはススキの野原を写した写真が何枚も収められていました。草介は「やっぱりいないじゃないか」と呟きながら、アルバムを抱えてこの野原に横たわりました。実はこの野原はなんとニホンオオカミの鼻の上でした。
以上、映画「リング・ワンダリング」のあらすじと結末でした。
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