輪廻の紹介:2005年日本映画。転生をテーマにした泣けるホラー映画だ。あまりに壮絶で生々しく、心が締め付けられる。優香が期待の新人女優を演じるが、悍ましい事件と被害者の霊魂の無念の舞台が幕を開けた。
監督:清水崇 出演者:優香(杉浦渚)、椎名桔平(映画監督、松村郁夫)、杉本哲太(渚のマネージャー、村田忠司)、香里奈(木下弥生)、小栗旬(尾西和也)、松本まりか(女優の卵、森田由香)、佐々木麻緒(子役)(大森千里)、ほか
映画「輪廻」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「輪廻」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
輪廻の予告編 動画
映画「輪廻」解説
この解説記事には映画「輪廻」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
輪廻のネタバレあらすじ:起
昭和45年に群馬県のリゾートホテルで起った痛ましい大学教授による彼の家族を含めた無差別殺人事件。犯人の大森範久が犯行後に自殺しましたが、妻の大森歩美は重体ながらも唯一の生き残りとなりました。この事件を基にした映画、「記憶」のオーディション面接が行われます。何人もの女の子達の中に、森田由香という女の子は自分には前世の記憶があり、自分の前世は殺された人間だったこと、だから殺害される被害者の役ならできると自信満々にアピールします。そのオーディションの中に、目立たないけど存在感を放つ女の子がいました。この物語の主人公、杉浦渚です。渚はオーディションで見事主役の大森教授の娘、千里役に監督の松本郁夫から抜擢されました。
輪廻のネタバレあらすじ:承
電車の中でマネージャーの村田との帰りに、渚は殺された幼女、千里の姿を見て驚愕します。彼女は亡くなった時のままの姿で黄色いワンピースに不気味な風貌の抱き人形を抱えて渚を睨んできたのです。渚のように女子大生の弥生も何度も赤い屋根のホテルの夢を見ることに悩まされていました。自分は幼い頃そこへ行った記憶もなければ、両親にそのことを話すと両親はそんな場所知らないと何かを隠しているような態度をとられたこともありました。授業でクリプトムネジア現象(転生→前世→生まれ変わり)について学んだ弥生は自分は事件被害者の生まれ変わりなのではないかと思い始め、渚もそれは同様でした。撮影が始まり、キャストやスタッフ全員で事件現場だった「ONO KANTOU HOTEL」へ向かいます。松本は実際の被害者の心情と一体化出来るようにとキャスト達に被害者達が亡くなった場所で演技するよう指示します。渚は他のキャスト達が監督の指示に渋々従ってリハーサルを進めていると、被害者達の亡くなった瞬間がフラッシュバックしてしまいます。益々自分は被害者の生まれ変わりなのではないかと疑惑を感じるのです。渚はリハーサル中にまたしても千里や加害者、大森、更には大森の息子、優也の霊も見てしまい、パニックになってある和室へと逃げ込みます。その部屋は父親に無残にも最期の被害者として殺された少女、千里が逃げ込んで亡くなってしまった場所でした。渚の後を追いかけた松本が一瞬、大森のように見えて渚は怯えますが、我に返った時に彼からそう説明されました。渚は自分の部屋のベッドに八ミリカメラがあることに気付いて村田に現像を頼みます。村田が現像したフィルムを再生すると、犯行当時の様子が生々しく映し出されていました。
輪廻のネタバレあらすじ:転
弥生は大森の妻で事件の唯一の生存者である歩美の家を訪ねました。そこで彼女から大森の研究記録が描かれた資料を見せてもらい、大森範久は多くの人の命を奪った後、自殺したので犯行動機も不明で「いかれていた」と言われていましたが、彼は狂っていなかったこと、肉体と魂の関係性の研究をしていて、「肉体は器でしかない」という結論に到達し、実験目的であのような残酷な犯罪に及んだという真相を知りました。そして弥生は何度も夢に見ているホテルの事やその夢の様子を子ども時代に描いた絵を歩美に見せます。歩美はこのホテルへ行った事があるのかと弥生に聞くと、弥生は言った事がないけれど何故か記憶にあると伝えました。ホテルでは弥生だけでなく、被害者達の生まれ変わりが当時と同じ死に方をしてゆき、恐怖に包まれます。
輪廻の結末
渚は本番中に松本監督が大森の息子、優也の生まれ変わりだと知りました。千里の生まれ変わりは渚ではなく、弥生だったのです。作品「記憶」は試写会で披露されています。渚は恐怖を抱えたまま演技に挑みますが、自分が事件の犯人、大森の生まれ変わりだと知ってショックと恐怖のあまり発狂します。演技を続けられた時、渚もまた、大森と同じように逃げて同じ場所に到着していたのです。そんな渚の前に千里が人形と入れ替わりながら渚に迫ります。「ずっと一緒だよ」と。人形は元々、話す機能がついたものでだからこそおぞましく、父親の生まれ変わりの渚を目の敵にして千里が追い詰めます。現実の渚は本番中に気が狂ってパニックになり、精神病棟へ入院しています。渚はあまりに状態がひどいらしく、拘束服を着せられて真っ白い部屋に隔離されていました。そんな渚への当てつけのように、殺された無念を抱えた幼い子ども達の母。歩美が千里の遺品であるあの人形と息子、優也が大事にしていたビー玉を病室の部屋に投げ入れます。そして、渚の傍には冷ややかに彼女を見守る千里と優也の姿がありました。渚は自然に笑みをこぼします。彼女の中で加害者だった父、範久の心が表れたのかもしれません。
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