ふたつの名前を持つ少年の紹介:2013年ドイツ・フランス映画。8歳のユダヤ人少年が、ナチスの手から逃れるために、ポーランド人の名前を名乗り、3年間終戦まで生き延びた実話。全編を実際のロケーションで撮影した真実味に迫る感動作。
監督: ペペ・ダンカート 出演: アンジェイ・トカチ&カミル・トカチ(スルリック/ユレク)、エリザベス・デューダ(マグダ・ヤンチック)、ジャネット・ハイン(ヘルマン夫人)、ライナー・ボック(SS将校)、イタイ・ティラン(モシェ・フレンケル)ほか
映画「ふたつの名前を持つ少年」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ふたつの名前を持つ少年」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ふたつの名前を持つ少年の予告編 動画
映画「ふたつの名前を持つ少年」解説
この解説記事には映画「ふたつの名前を持つ少年」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ふたつの名前を持つ少年のネタバレあらすじ:1942・43年冬
8歳のユダヤ人少年スルリックは、一人で盗みを働きながら、冬の森を歩き逃げていましたが、とある家の前で倒れてしまいます。半年前、スルリックはワルシャワのゲットーから逃げてきたのでした。森の中で、同じく逃げている子供たちの集団と合流します。そこで森で生きていく術を知っていくのですが、ナチスから逃げる中で、スルリックは独りぼっちになってしまいました。目が覚めたスルリックは、ベッドの中で寝ていました。そこには夫と息子二人がパルチザン(ポーランド人で武器を持つ人)で家から出て行ってしまい、一人で暮らしているマグダ・ヤンチック夫人がいました。ヤンチック夫人に名前を聞かれたスルリックは、「ユレク・スタニャック」と名乗ります。父親に「ポーランド人の名を名乗って生きていくように、でもユダヤ人であることは忘れるな、そして生き延びろ」と言われたのを守ったのです。ヤンチック夫人は、それが偽名であることを知りながらも、深くは追求せず、愛情を持ってユレクに接し、ポーランド人らしく生きる術を教えていきます。そして、ナチスの追手が迫ってきたと知ると、ユレクに十字架をあげて、家から送り出します。
ふたつの名前を持つ少年のネタバレあらすじ:1943年春・夏
ユレクは、ヤンチック夫人に教えられた通り、ポーランド人の孤児と名乗り、農場で雇ってもらえることになりました。その家の子どもたちと遊び、犬を拾い、幸せに暮らしていましたが、割礼していることからユダヤ人とばれたため、家を出て犬のアゾールと森で暮らすことになります。しかしほどなくして、パルチザンにアゾールを殺され、再び一人になってしまいます。林道を歩いていると、ポーランド人に「食べ物を食べる?」と声をかけられ馬車に乗り込みますが、連れていかれた先は、ユダヤ人収容所でした。ゲットーのSS将校の下から逃げ出したユレクは、再びヘルマン将校の農場で働くことになります。ヘルマン夫人はユレクに優しく、幸せに暮らしていましたが、ある日農具に手を挟み、大けがをしてしまいました。ヘルマン夫人が病院に運ぶも、ユダヤ人という理由で手術してもらえません。廊下に放置されているユレクを見た別のお医者さんが手術をしてくれましたが、手を切断することとなりました。手がないことに荒れたユレクでしたが、ヘルマン夫人の看病や看護婦さん、入院患者たちのやさしさで、徐々に落ち着きを取り戻していきます。しかし、そこにもナチスの手が迫り、再び一人で森を歩くこととなります。
ふたつの名前を持つ少年のネタバレあらすじ:1943・44年冬
最初に匿ってくれたヤンチック夫人の下へ逃げ込んだユレクでしたが、ユレクを探し出すために、ドイツ軍が村ごと焼き尽くしてしまいました。すべてを失ったヤンチック夫人は、ユレクを助ける術がなく、「とにかく東へ。一つの場所に長居をしないでとにかく歩いて」と言います。ユレクは言いつけ通り、ポーランド人孤児として、手を失った悲劇の少年として人々の慈悲を得て、働きながらも食べるものには困らずに生きていくことができました。春になるとロシア軍と遭遇することが多くなりました。その時に、アリーナという少女と出会います。鍛冶屋のアリーナの家はユレクを温かく迎え入れ、ユレクは働きながらしばらくとどまることになります。そして1945年の春に終戦を迎えたのでした。
ふたつの名前を持つ少年の結末:終戦後
幸せに暮らすユレクの下に、フレンケルがやってきます。ユレクをユダヤ人孤児の施設に入れるためでした。無理やり車に乗せられたユレクですが、フレンケルの説得を聞き入れます。そして故郷のブオニエに連れて行ってもらいました。そこで、名字の「スタニャック」はお菓子屋のおばさんの名字で、「ユレク」はいじめっ子の名前だったことを明かします。生まれ育った家に行ったスルリックは、自分に「絶対生きろ」と言った父親は、自分を逃がすために、ドイツ人に撃たれて死んだ、という事実を思い出したのでした。フレンケルはスタニャック夫人から、スルリックの家族の消息はゲットーに入れられて以降、知らないと告げられます。再び車に乗ったフレンケルとスルリックですが、「右へ行けばワルシャワの施設、左へ行けばヤンチック夫人の家。どちらに行く?」という選択で、スルリックは右へ行くことを選びます。その後、スルリックは学校へ行き、奨学金で大学にも進学しました。1962年にイスラエルに行き、姉とも再会を果たし、結婚して2人の子ども、孫たちと幸せに暮らしています。
以上、ふたつの名前を持つ少年のあらすじと結末でした。
とても、良い作品でした。深い内容で、犬が死んだ時初めて泣きましたね。私も犬好きで、病気で亡くして居るので胸が、痛く成りました。映画は、素晴らしい‼️