エルミタージュ幻想の紹介:2002年ロシア,ドイツ,日本映画。ロシアの至宝エルミタージュ。幾たびも歴史の移ろいを見てきたその建物の中に眠る記憶を、語り部と案内人が紡ぎだす。
監督:アレクサンドル・ソクーロフ 出演:セルゲイ・ドレイデン(キュイスティーヌ)、マリヤ・クズネツォーワ(エカテリーナ大帝)、レオニード・モズゴヴォイ(間謀)、ダヴィッド・ギオルゴビアーニ(オルベリ)、ほか
映画「エルミタージュ幻想」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エルミタージュ幻想」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「エルミタージュ幻想」解説
この解説記事には映画「エルミタージュ幻想」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エルミタージュ幻想のネタバレあらすじ:黒服の案内人に導かれて
とある、豪華な宮殿の中、語り部が迷っていると、前時代的な服装の人々が館の中に入っていく。彼らに声をかけようとしても自分の声は届かない。どうやらその姿も見えていないようだ。しかしその中で一人だけ、黒服に身を包んだ男には姿が見えているようだった。ここはフランスのシャンボールだと彼は告げる。そして今自分たちが見ているのは史実なのだからどうにもできないとも。そしてピョートル一世が現れる、舞台で踊る役者たちには上出来と拍手を送られる。黒い服の男性も、語り部と同じくみなには見えない。ペテルブルクのエルミタージュにはたくさんのイタリア絵画ある。それはかつてロシアがイタリアやフランスに夢をはせた名残だった。時折イタリアに夢を見た。今ではエカテリーナ二世の集めたそのコレクションを観光客が見ている。
エルミタージュ幻想のネタバレあらすじ:エルミタージュに入ってくる盛装をした人々
吹き抜けの階段では下から盛装をした人々が登ってくる。中にはプーシキンなど歴史上の人物もいた。黒服の男は、フランドル絵画の間に入っていく。そこにはエカテリーナ二世の集めた、ファン・ダイクやルーベンスの絵が並んでいた。白手袋の美術館員にもう占める時間だと言って、その広間を追い出された黒服の案内人は、小品の間へ入っていく。そして、突き当りにあった大きな絵の前で跪き、アーメンと首を垂れた。その絵はペテロとパウロを描いた作品だった。案内人はエル・グレコの間を通って、ある広間でレンブラントのダナエの前に佇む女性と出会う。彼女は、その絵と自分の間には秘密があるのだと言ったけれど、それ以上詳しくは語らずエルミタージュの中に姿を消した。
エルミタージュ幻想のネタバレあらすじ:ロシア革命を前に
語り部と案内人は階段の間で、ロシアに国民公会が80年存在したことを話す。今は共和制かと尋ねると、ロシアには共和制は向いてないと案内人は語った。 今度は軍服の人に退出を求められた案内人は、語り部が止めるのをよそにとある部屋へ入った。そこは額縁ばかりの部屋だった。その部屋にいた人物は、ここは戦争の間、ドイツとの戦争で100万人が死んだと語る。案内人はにわかには信じられないというような声を出した。 明るい広間に出るとそこにはエカテリーナ二世とその家族がいた。子供たちにお辞儀の仕方を教えると管所は雪の中に中庭に歩き出した。次の扉を開けると、そこは楽屋のような控えの間で道化たちが化粧をしていた。続く大広間では、ニコライ一世がペルシア使節団を迎える式典の最中。それはペルシアでロシア使節団が犠牲になったおわびだった。案内人の男は場違いなので出ていくように言われる。そして次に入った場所は、式典後の晩餐用の部屋。食器を見ていると、準備中だから出てくれるように言われる。そして次に入ったのは、暗い広間だった。そこは玉座の間で、その椅子に座る者はいない。専制は長続きしない。
エルミタージュ幻想の結末:皇帝家族の日常と、舞踏会
案内人は回廊で、少女たちを追った。追い越したシスターと夫人が不安について話している。お祈りをしようとシスターは夫人を慰めた。やがて少女たちはアナスタシアもいる皇帝の家族の食堂へ。シスターは、少女達をそこから追い払った。大広間では、オーケストラの演奏に乗せて舞踏会が始まった。ここの舞踏会は一番豪華と語る婦人。案内人の男も、夫人たちと踊った。演奏が終わると皆がオーケストラに大拍手を送った。語り部が、大広間から出ていく人波に合わせて前に進もうを言うと、案内人はここに残ると言った。語り部は、彼に「さよなら、ヨーロッパ」と声をかけた。大広間から去った人々は大階段にあふれていた。ある婦人は、これが人生最後の舞踏会のような気がすると語る。回廊に響く人の声がやがて遠くなっていく。外へ出ると周りは海。語り部はつぶやく、「私たちは永遠に泳ぎ、永遠に生きるのです」と。
エルミタージュ幻想のレビュー・感想:石の建物の記憶
数世紀にわたり、サンクトペテルブルクに佇むエルミタージュ。そこは帝政ロシアの歴史を現在もうかがうことができる。西欧の歴史は、石の歴史とよく言われるように、何世紀をもまたいで建造物がそこに存在することがある。そこは歴史を変えることが起きたような場所でもあり、その歴史が積み重なった場所でもある。映し出される映像は現在のエルミタージュであったり、かつて皇帝や女帝がいた頃の華々しい記憶であったりそれは様々な記憶である。しかしそれらすべてが、エルミタージュにまつわる記憶であることに変わりはないのだ。
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