さがすの紹介:2021年日本映画。本作が長編2作目にして商業長編作品第一作目となる片山慎三監督が主演に佐藤二朗を迎えてメガホンを執ったサスペンススリラーです。うだつが上がらないものの娘想いだった父親が指名手配犯にかけられた懸賞金300万円を手に入れるべく姿を消し、娘は不安を抱えながらも父の行方を捜すのですが…。
監督:片山慎三 出演者:佐藤二朗(原田智)、伊東蒼(原田楓)、清水尋也(山内照巳)、森田望智(ムクドリ)、石井正太朗(花山豊)、松岡依都美(蔵島みどり)、成嶋瞳子(原田公子)、品川徹(馬渕)ほか
映画「さがす」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「さがす」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「さがす」解説
この解説記事には映画「さがす」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
さがすのネタバレあらすじ:起
大阪市西成区・あいりん地区。日雇い労働者の原田智(佐藤二朗)は娘の楓(伊東蒼)と二人で暮らしていました。智は普段からうだつが上がらずどこか頼りなさげ、定職もなく貧しい生活でしたがそれでも親子は仲睦まじく生活していました。いつも散らかっている智の部屋には、なぜかいつも白い靴下が片方落ちていました。
智は普段から万引き常習犯であり、智がスーパーで万引きするたびに楓が謝罪に向かっていました。そんなある日、智はいつものように迎えに来た楓に対し、電車内で全国に指名手配されている連続殺人犯の山内照巳(清水尋也)という男を見かけたことを語りました。智の話によると、山内は一瞬だけマスクを外して爪を噛む仕草をしていたとのことでした。
山内には懸賞金300万円がかけられており、金に目が眩んだ智は山内を捕まえると息巻きました。いつもの冗談かハッタリかと思った楓はそんなことばかり考えていないで真面目に働くよう諭しましたが、その翌日に智は忽然と姿を消してしまっていました。
楓はどうせいつものことかと思っていましたが、いつまで経っても智は帰ってきませんでした。楓は担任の蔵島みどり(松岡依都美)の協力も得て智の顔写真入りのチラシを街頭で配り、警察にも相談しましたが、何一つ手がかりは得られませんでした。
そんな時、楓は日雇い現場で「原田智」という人物が働いていることを知り、現場に向かいましたが、その人物は智とは同姓同名の別人である若い男でした。一度はその場を後にした楓でしたが、この「智」と名乗る男は爪を噛む癖があることから、もしかしてこの男こそが父が捜していた山内照巳なのではないかと感じ取りました。
さがすのネタバレあらすじ:承
楓は山内の後をつけてみると、なぜか山内はとある卓球教室に入っていきました。その卓球教室はかつて智が経営していたところで、家賃が払えなかったためやむなく手放したところでした。山内はそこで眠りにつきましたが、楓の存在に気付くなり逃げようとしました。楓は山内のズボンを掴んで離さず、山内はズボンを脱いでそのまま逃走しました。ズボンのポケットにはなぜか智のスマホ、そして果凛島発・神戸行きのフェリーの乗船券が入っていました―――。
―――この3ヶ月前。人を殺すことに悦びを感じる山内はSNSを通じて自殺願望者を集め、「その希望を叶える」と称して殺しては遺体を損壊し、クーラーボックスに保存していました。山内は遺体の足に白い靴下を履かせていました。
この日も山内のアパートに自殺願望者の“ムクドリ”(森田望智)と名乗る女性がやってきました。山内は早速ムクドリを殺そうとしましたが、近くには警察が迫っていました。ムクドリはクーラーボックス内の損壊された遺体を見て悲鳴を上げ、山内はその場から逃走しました。
果凛島に流れ着いた山内は、みかん農家を営む馬渕(品川徹)という老人に助けられました。馬渕の家に招かれて食事を振る舞われた山内でしたが、馬渕を惨殺すると彼の家を拠点にして再び自殺志願者を募り始めました。
警察は山内に懸賞金300万円をかけて全国に指名手配しました。金に困った山内はフェリーで島を出て神戸に向かい、そして西成に向かいました。山内の目的は西成で日雇い労働者として働くこと、そして原田智に会うことでした―――。
さがすのネタバレあらすじ:転
―――13ヶ月前。智の妻・公子(成嶋瞳子)は重度の難病・筋萎縮性側索硬化症を患っていました。智は愛する公子を支え続けていましたが、日に日に病状の悪化していく公子は次第に自らの安楽死を望むようになりました。公子がSNSに投稿した切実な思いを目の当たりにした智は彼女の願いを叶えてあげようとも考えましたが、どうすることもできませんでした。
そんな智に声をかけてきたのが、この時介護施設で働いていた山内でした。山内は智に「死ぬ権利」を語り、公子を楽にしてあげようかと持ち掛けてきました。最初のうちは断った智でしたが、苦しむ公子の姿を見て決意を固め、山内に安楽死を依頼してしまいました。
山内が実行場所に選んだのは智が経営していた卓球教室でした。公子を殺害した山内は智に処理費用として20万円を要求し、智はやむなく信用金庫で金を借りて山内に手渡しました。すると山内は今度は智に自分の手伝いをしてくれるよう頼み、智も一度は断ったものの結局手伝うことになっていきました。智は主にSNSで連絡係を担当するようになっていきました。
そんなある日、あのムクドリから智に連絡がありました。ムクドリは山内に逃げられた後、飛び降り自殺を試みるも失敗して半身不随になっていました。智は山内から、東京にいるムクドリを迎えに行くよう指示を受けました。
智は山内に自分の職業カードを貸し、自分の名前を使って適当に身を隠すよう指示すると、楓には「指名手配犯を見つけた」と告げて行方をくらましたのです。山内は果凛島でムクドリの殺害を決行することにし、智にムクドリを島まで連れて行くよう指示しました―――。
さがすの結末
―――楓は手がかりを得るべく、同級生の花山豊(石井正太朗)と共に果凛島へと向かいました。その頃、馬渕の家ではムクドリは山内に金を渡し、智に見張り役を命じました。外に出た智は、まるで卓球のラケットを素振りするかのようにハンマーを振っていました。
ムクドリの首を絞めた山内は智を呼び寄せましたが、智は手にしたハンマーで何度も何度も山内の頭を殴って殺害しました。智は自らの腹を包丁で刺し、あたかも山内に刺されたかのように装おうとしましたが、まだ息のあったムクドリが智にとどめを刺してくれるようせがんできました。智の脳裏には公子の姿がよぎりましたが、もはや後戻りのできない智はムクドリの首を絞めて殺害しました。
楓が馬渕の家に駆け付けた時には、既に警察が来ていました。智は連続殺人犯を見つけた手柄で警察から表彰されましたが、楓はどうも腑に落ちないことがありました。その後、智は密かに地面に埋めていた、ムクドリが山内に渡していた金を掘り起こしましたが、実際には札束には白紙の紙が挟まれており、実際には6万3千円しかありませんでした。智は深く落胆しました。
智は山内の遺志を継ぐかのように、山内が遺したSNSのアカウントを使って自殺志願者を募り続けていました。楓は自殺志願者のフリをしてSNSに連絡を取り、一連の事件に智が関わっていたことを確信しました。
智と楓は卓球教室で卓球をしていました。楓は智に、どうか自分と母のことを忘れないでほしいと告げました。卓球教室には既に警察が近づきつつありました。
以上、映画「さがす」のあらすじと結末でした。
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