ある人質 生還までの398日の紹介:2019年デンマーク,スウェーデン,ノルウェー映画。戦争の中の日常を世界に伝えたい、そんな熱い想いを抱いて内戦中のシリアに渡った 写真家ダニエル。怪我で体操選手の道を絶たれ、絶望していたところにやっとやりたいことを見つけたところだった。そんなダニエルがある日突然誘拐された。彼を待ち受けていたのは拷問と飢え。それまでごく普通の生活を営んでいた家族は愛するダニエルを救出するために奔走することになる。24歳だった2013年5月から翌2014年6月まで398日間、シリアで過激派組織IS(イスラム国)の人質として監禁され、奇跡的に生還を果たしたデンマーク人写真家ダニエル・リューの衝撃の実話。
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ 出演:エスベン・スメド(ダニエル・リュー)、トビー・ケベル(ジェームズ・フォーリー)、アナス・W・ベアテルセン(アートゥア)、ソフィー・トルプ(アニタ)、クリスティアン・ギェレルプ・コッホ(スサネ)、ほか
映画「ある人質 生還までの398日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ある人質 生還までの398日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ある人質 生還までの398日の予告編 動画
映画「ある人質 生還までの398日」解説
この解説記事には映画「ある人質 生還までの398日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ある人質 生還までの398日のネタバレあらすじ:起
デンマークの体操チームのメンバーだったダニエル・リューは、競技の途中で着地に失敗し、足の負傷により選手生命を絶たれることとなりました。
他にやりたいこともなく、やきもきしている中でダニエルはずっと好きだった写真を仕事にしたいと思うようになり、写真家のもとを訪れました。
「パスポートはもっているか」その質問だけで即採用となったダニエルはボスに言われるままに戦場カメラマンの助手としてソマリアへ行き、サッカーをする子供たちの姿をカメラに収めました。このことがダニエルの心を動かしました。戦争の中の日常を記録することこそ自分のやりたいことだと確信したのです。
ダニエルが次の現場に選んだのはシリアでした。
コペンハーゲンで共に新生活を始めたばかりの恋人シーネやダニエルの両親と姉妹は不安を口にしましたが、戦闘地域へは行かないと聞き、ダニエルの渡航を見送りました。
しかし、安全だと思われていたトルコとの国境付近の町アザスでの撮影中、ダニエルは突然、男たちに拉致されました。同行していた警護の兵士は逃げ出し、コーディネーターが持っていた自由シリア軍の許可証も役に立ちませんでした。この地を収めている支配勢力が替わったためです。
アレッポへ移送されたダニエルは拘束されました。
ある人質 生還までの398日のネタバレあらすじ:承
ほどなくして、数人の男たちがやってきました。
彼らはダニエルに「お前はCIAだろ」「西洋人は信用できない」などど、身に覚えのないことを言いながら拷問をし、ロバの真似をさせるなど屈辱的な行為で心身もろともずたずたにしていきました。
しかし、ダニエルはあきらめていませんでした。男たちがいなくなると、窓をこじ開けて自前の身体能力で逃げ出しました。命からがら逃げ込んだ家で、食べ物や水を与えられほっと一安心していると、すぐ拷問した連中がやってきました。逃げ込んだ家の者が通報したのでした。再びダニエルは連れ戻されることとなりました。
一方、デンマークでダニエルを待つ家族たちは、彼が予定の便で帰国しなかったため、あらかじめ伝えられた連絡先に電話をかけました。電話の相手は、人質救出の専門家アートゥア。彼は早速現地へ飛び誘拐犯を突き止めると、その男アブ・スハイブと接触しました。提示された身代金は70万ドル。テロリストと交渉しないという方針を持っているデンマーク政府から支援は一切してもらえるはずもなく、この身代金は全額家族が用意するしかありませんでした。
その頃、ダニエルはラッカへと移送されていました。
ラッカでは様々な国のジャーナリストや支援活動家が同じ部屋に拘束されていました。恐怖で震えるダニエルにふたりのフランス人ジェレミーとルイが親切にしてくれ、監視役の覆面4人組はイギリス人だと教えてくれました。人質たちは彼らをビートルズと呼んでいて、この4人の中でも“ジョン”が最も狂暴だと言いました。
ある人質 生還までの398日のネタバレあらすじ:転
ダニエルの家族は犯人側から送られたダニエルの写真を見て、すっかり痩せ変わり果ててしまった姿に衝撃を受けました。家を担保に借り入れしたり、年金を現金化しても集まるのは25万ドル。アトゥールに反対されつつも、この金額で手を打ってもらえないか提示したところ、犯人は激怒し一気に200万ユーロにまで引き上げてきました。そしてその怒りはダニエルにも向けられます。
すでに殺された男が横たわる部屋で天井から鎖で繋がれ、激しく鞭打たれました。苦痛と絶望から手に撒かれていた鎖で自らの首を絞め自殺を図りますが、これに気付いた見張りがすぐに救出。彼は一命をとりとめました。
200万ユーロを用意するために、姉アニタの提案で家族は募金活動を始めました。公になればダニエルの命が危険にさらされるため、マスコミに知られず、しかも違法にならない方法でデンマーク中の企業や団体に協力を求めていきます。
一方、アレッポではダニエルたちのもとへ、新たにアメリカ人の人質が連れて来られました。このジェームズ・フォーリーという男、実はアートゥアが以前から探していたジャーナリストだったのです。
明るく前向きなジェームズは、絶望しかなかった人質たちの部屋に少しの安らぎを与えました。ダニエルは「旅をして現地の様子を伝えることが生きがい」と語るジェームズに共感を覚え、絆を深めていきました。
アートゥアはダニエルの収容先を特定しました。そして、同じ場所にジェームズもいることを知ります。しかし、その情報を共有したアメリカ軍が急襲。察知した犯人たちは直前で引き払ってしまいました。
ある人質 生還までの398日の結末
ダニエルたち人質はオレンジ色の囚人服に着替えさせられ、砂漠に掘られた穴の前に並ばされました。穴の中には食事中に騒動を起こしたコソボ出身のアレクセイがひざまずいていました。アレクセイの祈りも空しく“ジョン”は容赦なく射殺。恐怖に震えるダニエルを遺体の隣に座らせ、メッセージを掲げさせ写真を撮られました。メッセージには「48時間以内に200万ユーロを払え」と書かれていました。
この動画を突き付けられた家族は迫ってくる絶望に押しつぶされそうになりました。集まった募金ではまだ足りず、両親は融資してもらえるところを全てあたり、姉アニタは思いつく企業全てに連絡をしました。しかし、到底目標金額には達しません。
そんな中、母スサネはある男に望みをかけました。それは、知り合いの夫であり年商60億の大企業の社長でした。彼にごくわずかな望みをかけしがみつくように融資のお願いをしました。
ところが、彼の答えはノーでした。大企業が個人にそんなことをしたら、世の中に与える影響ははかりしれない、と言うのです。スサネは静かに言いました。「あなたにお子さんは?」と。スサネは最後のプライドを振り絞り、コーヒー代は自分が出すと言うのが精いっぱいでした。これで全ての望みは絶たれました。
その翌日。誰かの寄付金により、目標金額を達成しました。最後に大金をつぎ込んでくれた人は匿名ではありましたが、スサネだけがその相手を知っていました。
こうしてダニエルは解放されました。
ジェームズから家族に伝言を頼まれたダニエルは「また会えるよね」と言いますが、彼は自分の運命をすでに受け入れているかのような目をしていました。互いにとって辛い別れでした。
後日、ジェームズは“ジョン”に刺殺されました。
ダニエルはアメリカに渡り、ジェームズの葬儀で彼から預かったメッセージを家族に伝えました。帰路につくダニエルは、ジェームズとの約束を果たせた安堵と彼を失った悲しさとで複雑な表情をのぞかせていました。
ダニエルは当時恋人だったシーネと結婚し息子と平和に暮らしながら、現在も写真家として活躍しています。
以上、映画「ある人質 生還までの398日」のあらすじと結末でした。
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