絹の靴下の紹介:1957年アメリカ映画。パリに魅惑されてしまったロシア人音楽家を帰国させる使命を帯びてソ連政府からパリに送り込まれたニノチカのかたくな心を、アメリカ人映画プロデューサーは融かすことができるか。グレタ・ガルボ主演、MGM製作のコメディ映画『ニノチカ』(1939)が1955年にコール・ポーター作曲のブロードウェイ・ミュージカルとなり、それがMGMミュージカルとなったのが本作品。『バンドワゴン』(1953)以来のフレッド・アステアとシド・チャリシーの共演。そして二人の最後のMGMミュージカルへの出演。
監督:ルーベン・マムーリアン 出演者:フレッド・アステア(スティーヴ・キャンフィールド)、シド・チャリシー(ニノチカ・ヨシェンコ)、ジャニス・ペイジ(ペギー・デイトン)、ピーター・ローレ(ブランコフ)、ジョージ・トビアス(マルコヴィッチ)、ジュールス・マンシン(ビビンスキー)ほか
映画「絹の靴下」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「絹の靴下」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
絹の靴下の予告編 動画
映画「絹の靴下」解説
この解説記事には映画「絹の靴下」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
絹の靴下のネタバレあらすじ:起・モスクワからの美しい使者
アメリカ人映画プロデューサーのスティーヴ・キャンフィールドがパリで映画を製作する。ロシア人音楽家ボロフを作曲家として雇うが、スティーヴがボロフのピアノコンサートに呼ばれて行くと、ボロフは「俺は自殺だ」と言って困っている。ソ連政府からモスクワに帰るように命じる電報が来たのだ。
既にコンサートホールのロビーにはボロフを連れ帰るために派遣されたビビンスキー、ブランコフ、イワノフの3人の同志がいた。ボロフが「資本主義的な映画に音楽を提供するのはけしからん」と言う彼らにスティーヴは「ボロフの父はフランス人だ」と口から出まかせを言う。「ソ連政府はフランス人でもあるボロフをフランスから帰す権限はないはずだ」と主張する。さらに3人の同志に美女をあてがって接待し、「この映画はソ連のプロパガンダになる」とそそのかして味方につけてしまう。
ビビンスキーたちはホテルのスイートに住んでパリの暮らしを満喫し、ボロフは帰ってこない。ソ連政府は事態打開のために新任の芸術人民委員マルコヴィッチに命じさせ堅物の党員、ニノチカ・ヨシェンコをパリに派遣する。
パリの誰もがヨシェンコ同士が女性、しかも美しい女性であることに驚く。ニノチカは資本主義社会の退廃した文化を蔑み、「私は同志たちのようにはあなたに懐柔されない」とスティーヴに言うが、スティーヴは「私でなくパリという都市が人を変えるのです」と言う。
絹の靴下のネタバレあらすじ:承・着替えるニノチカ
スティーヴの映画の主演女優、水着スターのペギー・デイトンもパリに到着。ボロフはペギー・デイトンに夢中だが、ペギーは脚本に不満でドラマ映画でなくミュージカル・コメディをやりたい。「ボロフと仲良くして彼の曲をポピュラーソングに変えさせろ」とスティーヴは言って、ペギーを自分の映画につなぎとめる。
スティーヴはニノチカにパリを案内する。彼女が関心を持つのは工場や労働者ばかり。でも、一日の終わり、スティーヴの「自分を解放してみないか、例えばダンスはどう?」という非科学的な求愛がニノチカに効き始める。
パリの空気に影響されたニノチカは、祖国にうしろめたさを感じながらも、新調した絹のストッキングその他を試してみる。新しいドレスで見違えた彼女はスティーヴと出かけ、午前になってホテルに帰る。シャンパンに酔った勢いでボロフの音楽がスティーヴの映画に使用されることに同意してしまう。もう彼女はスティーヴと恋に落ちていた。
絹の靴下のネタバレあらすじ:転・予想外の映画
ニノチカと4人の同志が撮影所で彼らの映画の撮影を見学する日が来た。スティーヴはボロフの父親が偽物であることを白状した上でニノチカに求婚する。だが撮影現場では、「戦争と平和」だったはずの映画が、ナポレオンと皇后ジョゼフィーヌの話になっていた。
そしてペギー・デイトンが歌うボロフの音楽に詞をつけた歌に、ロシア人たちはロシア文化への冒涜であると激怒し、スティーヴと対立する。後でスティーヴがニノチカと仲直りしようとホテルに電話をかけたとき、一行は既にモスクワ行きの飛行機の中にいた。
絹の靴下の結末:もう一度パリへ
スティーヴはソ連入国のためのビザが下りない。ニノチカ宛ての手紙は検閲されてほぼ全文黒塗りにされて届く。一方、ボロフ、ビビンスキー、ブランコフ、イワノフはニノチカのアパートに集まり、パリの思い出話に花を咲かせる。ボロフの西側音楽風の最新作の演奏が始まると、アパートの別の部屋に住む労働者たちもダンスを始める。
ビビンスキー、ブランコフ、イワノフはソ連映画の売り込みのために再びパリに派遣されるが、映画を一本も売らずに遊びほうけているという匿名の報告がモスクワに来る。マルコヴィッチの命令に逆らえず、ニノチカは辛い思い出のあるパリへ再び赴くことになる。
パリに着いたニノチカはその日オープンするレストランに通される。出し物で踊るのはなんとスティーヴ。ビビンスキーたちはロシア料理を出すそのレストランを始め、もうロシアに帰る気はないと言う。
3人の決意を知ってニノチカはモスクワに帰ろうとするがスティーヴがあらためて彼女に求婚する。ビビンスキーたちについての匿名の報告はニノチカをパリに来させるために彼が書いたものだった。ニノチカはスティーヴの求婚を受け入れるのだった。
以上、映画「絹の靴下」のあらすじと結末でした。
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