国葬の紹介:2019年オランダ,リトアニア映画。1953年のヨシフ・スターリンの死に当たってソ連全土で、追悼行事や指導者を悼む人々の表情が撮影された。だがそれを素材とする映画『偉大なる別れ』は公開されることがなかった。ウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァは、200人弱の撮影者による合計37時間の、白黒フィルムだけでなくカラーフィルムも多く含む未公開フィルムと、国営ラジオ局の28時間に及ぶ音声アーカイヴを基に独裁者の国葬をドキュメンタリー映画として再現した。音楽も、スターリン追悼のためにその場で演奏された音源を使用している。映画の最後に字幕によって触れられるスターリンによる「粛清」という史実を知っているのに、市民たちのたたずまいや顔の美しさに心打たれます。
監督:セルゲイ・ロズニツァ 出演者:ゲオルギー・マレンコフ、ラヴレンチ―・ベリヤ、ヴァチェスラフ・モロトフ、ニキータ・フルシチョフ、周恩来、その他ソ連及び各国の要人、ソ連市民、ほか
映画「国葬」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「国葬」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
国葬の予告編 動画
映画「国葬」解説
この解説記事には映画「国葬」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
国葬のネタバレあらすじ:起
3月6日の早朝、モスクワの中心部にある労働組合会館に赤い棺が運び込まれる。中にはスターリンの遺体が入っている。
ソビエト連邦全土の人々が、ウクライナの村でも、アゼルバイジャンの油田でも、雪積もる町でも、モンゴルの草原でも、スターリンの死を告げるラジオ放送に耳を傾ける。
やがて人々は、エストニアのタリンでも、ラトビアのリガでも、もちろんモスクワでも指導者の死を報じる新聞を手に取る。
空港ではチェコスロバキア、フィンランド、中国等、各国の代表団が順次降り立ち、ソ連の要人に出迎えられる。代表団の人々は黒い自動車で空港を後にする。
国葬のネタバレあらすじ:承
ソ連各地で人々は花輪をもって追悼のパレードをする。花輪はスターリンの銅像の前に供えられた。
何十万人ものモスクワの人々は、スターリンの棺が置かれた労働組合会館の「円柱の間」に弔問に訪れる。会館に入ると市民は赤い布が手すりにかけられた階段を上っていく。警護の兵士たちだけが立ち止まっている。遺体の横には遺族や要人がいた。一般市民は花に囲まれた棺を横目に見て通り過ぎていく。涙を流す人たちも多い。
そのころキーロフの工場の労働者たちも追悼の集会を開く。スターリンの功績を讃え、彼の示した道を前進することを代表者たちが宣言する。
国葬のネタバレあらすじ:転
夜、円柱の間が閉まっても、労働組合会館に次々と花輪が持ち込まれていた。それら、会館内に入らない花輪は会館を囲んで安置されていた。
ソ連各地の街頭の放送は、いよいよスターリンとの別れの時が迫ったことを伝える。葬儀はクライマックスを迎えようとしていた。
国葬の最後の日である3月9日、赤い棺は労働組合会館を出て、馬車の上に置かれる。馬車はゆっくりと、勲章を手にした兵士たちや花輪をもつ人々に先導されて進む。
国葬のネタバレ結末
棺の後を赤い喪章を腕につけた各国の要人が歩む。行き先は赤の広場。レーニン廟の前に棺が置かれると、壇上でマレンコフ、ベリヤ、モロトフが紹介されて追悼演説をする。
社会主義を建設し、戦争に勝利し、民族問題を解決した指導者が讃えられた。壇上では各国の要人がそれに耳を傾ける。そして数十万人の群衆が広場を埋め尽くしていた。
棺がレーニン廟に入り、大砲が一斉に放たれ、ソ連の全ての人々が一斉に動きを止めて指導者を追悼する。そしてレーニン廟の閉じられた扉を兵士が守る。
映画は最後に、スターリン時代に犠牲になったおびただしい人々の数や、その後のスターリン批判に言及する。そして1961年にスターリンの遺体がレーニン廟から外に出されたことを告げるのだった。
以上、映画「国葬」のあらすじと結末でした。
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