暗殺のオペラの紹介:1969年イタリア映画。北イタリアの町に呼び寄せられた男が父の暗殺の真相の究明を依頼される。英雄だった父と、父の謎を探る息子をジュリオ・ブロージが二役で演じる。アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『伝奇集』に収められた「裏切り者と英雄のテーマ」から着想を得ているが、舞台を北イタリアの架空の町に置き換えている。『地獄の黙示録』をはじめ3度アカデミー賞撮影賞に輝くヴィットリオ・ストラーロが本作で初めてベルトルッチ作品の撮影監督になり、以後二人は名コンビとして『ラストエンペラー』等の傑作を生みだす。
監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演者:ジュリオ・ブロージ(アトス・マニャーニ)、アリダ・ヴァリ(ドライファ)、ピッポ・カンパニーニ(ガイバッツィ)、ティノ・スコッティ(コスタ)、フランコ・ジョヴァネッリ(ラゾーリ)その他
映画「暗殺のオペラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「暗殺のオペラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
暗殺のオペラの予告編 動画
映画「暗殺のオペラ」解説
この解説記事には映画「暗殺のオペラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
暗殺のオペラのネタバレあらすじ:起・父の伝説の生きる町
1960年代半ばの夏、北イタリアのタラという小さな町の駅に列車が停まる。二人降りた客のうちの一人の若い男の名はアトス・マニャーニ。この町にはアトス・マニャーニ通があり、アトス・マニャーニ記念館があり、アトス・マニャーニの胸像の記念碑がある。かつて男と同じ名の父、アトス・マニャーニは反ファシストの闘士としてタラとその近隣で名を知られた存在だったが、1936年6月15日の夜、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「リゴレット」が上演されている劇場で何者かによって射殺されたのだった。宿でアトスが名を名乗ると、宿の主人がたちまち息子であると気づくほど彼は父に生き写しだった。
アトスは自転車を借りて、彼を町に呼んだ父のかつての愛人ドライファの屋敷へ行く。彼女は父の死の真相を探ってほしいとアトスに言う。しかし、暗殺の前に父アトスに届いた、劇場に入れば命はないという脅迫の手紙といい、ジプシーが父アトスの死を占っていたという話といい、シェークスピアから引用したような文学臭い逸話を真に受けられずアトスはすぐに町を去ろうと思うが、ドライファが気絶してしたせいでそこにとどまる。
暗殺のオペラのネタバレあらすじ:承・老人と子供の町
宿に戻ったアトスは夜、危うく納屋に閉じこめられる。朝、目覚めると突然見知らぬ男に襲われる。宿の主人は「この町の人はいい人ばかりだ」と言うが、老人と子供しか見当たらない不思議な町で、しかも彼は歓迎されていないようである。
再びドライファのもとを訪れた彼は、ドライファからかつてファシストだった大地主ベカッチャのところへ行くように言われるが、ベカッチャの屋敷ではつまみ出されてしまう。その彼を自動車に拾ったのはかつてのアトス父の三人の同志の一人ガイバッツィである。アトスはガイバッツィ、元教師ラゾーリ、映画館主のコスタの話を順に聴くことになる。4人だけの反ファシストグループのリーダーであるアトスはファシストたちに嫌われているが、ファシストが陣取る祭に現れて、若い女を誘ってダンスに興じる度胸のある人だった。町の劇場のオープンにムッソリーニが来ると知ると、アトスはムッソリーニ暗殺を提案する。4人グループは「リゴレット」の上演中に暗殺を決行する計画を立てた。しかし、その直前に何者かがその計画を密告したため、ムッソリーニはタラに来るのをやめた。アトスは父アトスの死がムッソリーニ暗殺計画をなぞるように「リゴレット」上演中になされたことを不審に思う。そして三人の同志が口裏を合わせているようだとドライファに話す。
暗殺のオペラのネタバレあらすじ:転・罠にかかるアトス
日を変えてアトスはさらにドライファから父の話を聞く。彼女がアトスの母に抱いていた嫉妬。最後に父アトスと会った日のサーカス団から脱走したライオンの思い出話。そして夜、ガイバッツィらが地主のベカッチャを「お前がアトス殺しの張本人だろう」とつるし上げるのを見る。
しかし、翌日、ベカッチャに劇場へ呼ばれたアトスは、父アトスは目の仇だったが殺したのは自分ではないと断言される。劇場から出たアトスをガイバッツィが彼の自動車に押し込む。気分が悪いと言っても降ろしてくれない。父アトスと同志の会合場所だった廃トラックのある場所に着く。そこにはラゾーリとコスタが待っていたが、アトスは逃げてしまう。アトスは暇乞いをするつもりでドライファを訪れるが、ドライファは、自分の姪を呼び寄せる、三人で暮らそうと言い、父に生き写しのアトスを離したがらない。
暗殺のオペラの結末:忘れられた町
アトスは列車の停まることのない駅で時間を過ごす。やがて劇場に入ったアトスの前に父の同志三人が現れ、ついに真相を話す。ムッソリーニ暗殺計画を密告したのは父アトスその人であった。裏切り者は死んでも裏切る。だから彼は英雄として死ぬことを選ぶ。三人の同志に自分を処刑させながら、それをファシストによる暗殺とみせかける。脅迫の手紙やジプシーの占いも父アトスが『ジュリアス・シーザー』や『マクベス』から思いついた。
アトスは真実を知りながら、自分も父の演出の一部になることを選ぶ。6月15日に父アトスをしのぶ集会に集まった人を前に話をするが、真相を語ることはなかった。彼はとうとう町を去るべく駅に行った。しかしパルマ行きの列車は遅延を重ねる。この町は忘れられている。線路を見渡すと、それは錆びつき、草に覆われているのだった。
以上、映画「暗殺のオペラ」のあらすじと結末でした。
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