映画「クライング・ゲーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クライング・ゲームの紹介：1992年イギリス映画。誘拐犯と人質の友情を軸に、危険な恋と戦いを描くサスペンス・ドラマ。IRA（アイルランド共和国軍）に所属するファーガスは、誘拐した英国軍の黒人兵士ジョディを見張るうちに彼と束の間の友情を育んだ。しかし隙を突いて逃走したジョディは、追いかけたファーガスの目の前でトラックに轢かれて死亡してしまう。ジョディの遺志に報いるため、ロンドンに住む彼の恋人ディルに接触したファーガス。不思議な魅力を持つディルに強く惹かれていくが、彼女には大きな秘密が隠されていた。第65回アカデミー賞で脚本賞を受賞。
監督：ニール・ジョーダン 出演者：スティーヴン・レイ（ファーガス）、ミランダ・リチャードソン（ジュード）、フォレスト・ウィテカー（ジョディ）、エイドリアン・ダンバー（マグワイア）、ジェイ・デヴィッドソン（ディル）ほか
この解説記事には映画「クライング・ゲーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
舞台は紛争が続く北アイルランド。英国軍の黒人兵士ジョディは、派遣された街でジュードという美女と知り合います。ジュードからセックスに誘われ有頂天になるジョディでしたが、突然数人の男に囲まれ誘拐されてしまいました。
ジョディが連れて行かれたのは、山奥にあるIRA（アイルランド共和国軍）のアジトです。実はジュード達はIRAのメンバーで、英国政府に仲間を解放させるための人質としてジョディを使うつもりでした。要求が通らなければ、３日以内にジョディを殺害すると告げるチームリーダーのピーター。見張り役を任されたのはファーガスという男でした。
はじめは険悪な雰囲気のファーガスとジョディでしたが、２人きりで話す内に奇妙な友情が芽生えます。ジョディはサソリとカエルの物語を語り始めました。カナヅチのサソリは川を渡るため、カエルに頼んで背中に乗せて貰います。しかし川の中程でカエルを刺してしまい、２匹は諸共に沈んでしまいました。何故だと問うカエルに、サソリは「これは僕の性（さが）だから」と答えたそうです。
ファーガスが人質相手にも親切にしてしまうのは、ファーガス自身の性（さが）だからだと話すジョディ。生きて帰れないと悟った彼は、ロンドンに残した恋人ディルへの伝言をファーガスに託します。愛していたと伝えて欲しいと話すジョディに、ファーガスは決して殺さないと励ましました。しかしピーターがジョディの殺害を決断してしまい、ファーガスは実行役に名乗り出ます。
翌日、外に連れ出されたジョディは隙を突いて逃げ出しました。追いかけたファーガスですが、彼の背中を撃つことが出来ません。ジョディは森を抜け道路に出ましたが、その瞬間ちょうど到着した英国軍のトラックに轢かれて死亡してしまいました。
アジトが襲撃を受け仲間が命を落とす中、ファーガスは何とか逃げ延びます。そして伝手（つて）を使い、ロンドンに潜伏することにしました。
ファーガスはジョディから得た情報を頼りに、美容室で働くディルを見つけ出しました。彼女の客になったり、行きつけのバーに通ったりして距離を縮めていくファーガス。しかしジョディのことを打ち明ける訳にもいきません。葛藤するファーガスの視線を気に入ったのか、ディルも彼に興味を持ったようでした。
ある夜、ディルがしつこい男に絡まれているのをファーガスが助け、２人の距離は更に縮まります。招かれたディルの部屋にはジョディの写真が飾ってありました。ファーガスが「彼は？」と問うと、「別格よ」と答えるディル。２人は情熱的にキスを交わし、強く惹かれ合っていきました。
ところがある夜、ついにディルと男女の関係になろうとしたファーガスは、その裸体を見て仰天します。平たい胸。しっかり付いた男性器。ディルはトランスジェンダーだったのです。あまりの動揺にディルを殴ってしまったファーガスは、謝りつつも逃げるように部屋を出て行きました。ファーガスが事情を知っているものと思い込んでいたディルは深く傷つきます。
翌日、ファーガスは何度もディルに謝りました。彼女は怒り心頭でしたが、結局は許してくれました。
ディルと仲直りした夜、ファーガスが自宅アパートに帰宅すると招かれざる客が待ち受けていました。襲撃を生き延びていたジュードです。ピーターと共にアジトを脱出した彼女は、ファーガスを要人暗殺計画に参加させようとしていました。ファーガスは拒絶しますが、断ったり裏切ったりすればディルに危害を加えると脅され仕方なく引き受けます。
翌日、ディルの周囲に出没するジュードにファーガスは焦りを隠せません。ジュードはピーターが運転する車にファーガスを乗せ、仕事について説明しました。ターゲットはホテルと見せかけた売春宿に出入りしている判事。明日彼が現れたところを襲撃するよう言われ、ファーガスは頷くしかありませんでした。
ジュードと別れたファーガスは、ディルが後をつけてきたことに気付きます。彼女はジュードをファーガスの恋人だと勘違いし、嫉妬から尾行していたのでした。ファーガスはディルを守るため、彼女の髪を短く切ってジョディの服を着せ、「男性」に仕立て上げます。ディルの部屋はジュード達に知られているので、２人でホテルに泊まりました。
翌日。ファーガスが仕事からホテルに戻って来ると、ディルの姿がありません。彼女は不安と嫉妬のあまり酒に溺れ、勝手に自宅に帰ろうとしていました。ファーガスが止めようとしますが聞き入れません。結局、帰宅したディルの家で、ファーガスはジョディについて真実を語りました。酒と薬の影響で朦朧としているディルに頼まれ、ファーガスは部屋に泊まることにします。
翌朝。静かに起き上がったディルは、ファーガスの銃を手に取ると彼の手足をベッドに縛り付けました。目覚めたファーガスに銃を突きつけ、ジョディの死についてより詳しい説明を求めます。ファーガスはジュード達と約束した時間が迫っていることに気付き慌てました。ファーガスが仕事の場に現れなければ、彼女達は必ずこの部屋に乗り込んで来るからです。
しかしディルは許さず、時間が過ぎてしまいました。ファーガスは静かに、ディルを愛していると、何でもすると呟きます。ディルは手の拘束を解いてやり、２人は涙を流して抱き合いました。そこに銃を構えたジュードが押し入って来ます。ファーガスの代わりにピーターが強引に判事を殺害した結果、彼は判事の護衛によって射殺されていました。
激怒するジュードでしたが、ジョディの復讐に燃えるディルに撃たれて絶命します。ディルはファーガスにも銃を向けますが、ジョディが撃たせてくれないと言って自殺しようとしました。それを優しく止めたファーガスは、警察が到着する前に急いで彼女を逃がします。自分は銃からディルの指紋を拭き取り、椅子に座って警察を待ちました。
ファーガスはディルの身代わりに捕まり、服役することになりました。刑務所の面会に現れたディルは、ファーガスを最愛の人と呼びます。なぜ身代わりまで引き受けてくれるのかと問われたファーガスは、「それが僕の――性（さが）だからさ」と答えました。ファーガスがサソリとカエルの話を語り始め、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「クライング・ゲーム」のあらすじと結末でした。
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