ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実の紹介:2019年アメリカ映画。1966年4月11日、ベトナム戦争下での救出作戦で、米国空軍の落下傘救助隊の医療兵として60人以上の兵士たちを献身的に救った英雄ウイリアム・H・ピッツェンバーガー。彼は激戦の最前線で仲間たちのために自らの命を犠牲にした。この功績を評して最高位の勲章である「名誉勲章」を推薦されたが授与は却下されてしまう。なぜ、名誉勲章は授与されなかったのか。なぜ30年以上もの間、戦友たちは英雄への名誉勲章授与を求め続けたのか。1999年、30年の時を経て米国国防総省のエリート職員スコット・ハフマンが調査を担当することになり真実に迫る。名優ピーター・フォンダとクリストファー・プラマーの遺作となった。
監督:トッド・ロビンソン 出演:セバスチャン・スタン(スコット・ハフマン)、アリソン・スドル(タラ・ハフマン)、ウィリアム・ハート(タリー)、ジェレミー・アーヴァイン(ウィリアム・ピッツェンバーガー/ピッツ)、クリストファー・プラマー(フランク・ピッツェンバーガー)、ダイアン・ラッド(アリス・ピッツェンバーガー)、サミュエル・L・ジャクソン(ビリー・タコダ)、ピーター・フォンダ(ジミー・バー)、エイミー・マディガン(ドナ・バー)、エド・ハリス(レイ)、ジョン・サヴェージ(ケッパー)、ライナス・ローチ(ピーターズ長官)、ブラッドリー・ウィットフォード(スタントン)、デイル・ダイ(ホルト上院議員)ほか
映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ラストフルメジャー 知られざる英雄の真実の予告編 動画
映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」解説
この解説記事には映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラストフルメジャー 知られざる英雄の真実のネタバレあらすじ:起
1999年、ペンタゴン空軍省。
ピーターズ長官の辞任によって人事異動が行われる直前、官僚ハフマンは30年以上も請願されてきたある兵士の名誉勲章授与の調査を行うことになりました。
ある兵士とは空軍落下傘救助隊のピッツェンバーガー。彼は1966年のベトナム戦争下で敵兵の奇襲を受け孤立していた陸軍中隊の救助にヘリで向かい、あまりにも激しい戦闘のため身一つで地上に飛び降り、自らの命を顧みず負傷兵たちを救出し戦死した英雄でした。
気乗りしないハフマンでしたが、「人事異動が行われるまでの辛抱だから適当にやって時間稼ぎしろ」と同僚で友人のスタントマンになだめられしぶしぶ調査を開始しました。
証言を得るためにピッツェンバーガーの両親と戦友だったタリーのもとを訪れたハフマン。ピッツの父フランクは癌を罹っていました。タリーは、彼の功績は名誉勲章授与にふさわしいとこれまでに幾度となく軍に働きかけるも却下され続けていると語りました。
ラストフルメジャー 知られざる英雄の真実のネタバレあらすじ:承
ハフマンは次に当時少尉だったタコダのもとへ向かいました。
タコダはハフマンが手にしていたICレコーダーを取り上げ川へ投げ捨てると、「証言を得たかったら頭に入れろ」と言うのです。タコダはコートナイのゴム園で繰り広げられたアビリーン作戦について語り始めました。
この作戦は、第1歩兵師団C中隊の動きにベトコン側が食いついたら、A,B両中隊が来援し、ベトコンを殲滅する手筈の作戦でした。しかし、C中隊は苦戦を強いられ、次々と現れる敵の攻撃に死傷者が続出。至近距離まで迫ってくるベトコンに現場は敵や味方も判別がつかないほどの混乱を極めていました。そこで、苦肉の選択としてデンジャー・クロースと呼ばれる至近距離での砲弾を要請したのです。しかしこれが誤って味方を攻撃。この要請をしたのが、タコダでした。
次に話を聞いたレイは現在スクールバスの運転手をしていました。ハフマンを射撃場へ連れていき、今も健在な銃の腕前を見せました。レイは言います。「ここで撃つことでスクールバスを撃たなくて済んでいるんだ」と。そんなレイは負傷し死にかけていたところをピッツに助けられたことを語りました。当時、死を覚悟したピッツはレイに彼女への遺書を託しました。そして横たわっていた味方の遺体をレイの上に積み、敵に見つからないようカモフラージュすると、銃弾飛び交う森林へ向かっていったのでした。
ハフマンは帰還後、PTSDに悩まされているジミーからも話を聞きました。夜は眠ることができないせいで、昼間はずっと眠りに付き野ウサギやネズミがいるとライフルを撃たずにはいられないほど彼の心は病んでいました。
ハフマンはこうした歴史に埋もれた英雄を知る退役軍人たちの話しを聞くうちに、ピッツェンバーガーの勇気ある行動を知り、大きく心を動かされていきます。
ラストフルメジャー 知られざる英雄の真実のネタバレあらすじ:転
その頃、ペンタゴンではハフマンの昇格の話が持ち上がっていました。スタントンから聞いたハフマンは複雑な面持ちを見せました。昇格を受け入れるということは、同時に今行っているピッツェンバーガーの調査を強制的に終了させることになります。
身ごもる妻タラと愛する息子を守っていくためのキャリアと、軍人たちへの誠意との間で大きく揺れ動くのでした。
退役軍人たちにも変化がありました。
ハフマンが過去を掘り起こしたことで、当時の記憶が蘇り、タコダは自分の行為を恥じ、ジミーは一層苦しみました。
そんな中、ハフマンは名誉勲章の推薦状が紛失していることに気付きました。推薦状がなければ授与されるはずもありません。
推薦状を書いた当時軍曹だったケッパーはベトナムにいました。戦地近くに住むケッパーを訪ねたハフマンは、ここで忘れられない体験をします。
あの日、戦いが行われたゴム園で、ケッパーに案内されたのは一角に設営された蝶の飼育小屋。中に入ると鮮やかで美しい蝶々が飛び交っていました。それはまるで異世界のようでした。そしてこの場所こそが、空軍落下傘救助隊のピッツがヘリコプターから救助のために最初に降り立った場所でした。負傷し動けなくなっていたケッパーを、ピッツは「この怪我を見せたら女にモテるぞ」と励ましヘリに乗せてくれたおかげで一命をとりとめたのでした。
ケッパーのピッツへの思いに触れたハフマンは、胸がいっぱいになりました。
帰国したハフマンは調査を進めていくうちに、自身もベトナム戦争に行ったホルト上院議員にたどり着きました。彼は間近に控えた選挙のために、自叙伝を出版するところでした。そして、この自叙伝を加筆や代筆をしていたのが、スタントンだったのです。
ハフマンは、早速スタントンに推薦状のことを聞きました。しかしその答えは意外なものでした。「これ以上関わるな」と。
ハフマンは、アビリーン作戦にかかわったホルトの選挙への影響を考慮しスタントンが推薦状を隠したのだと確信しました。
ラストフルメジャー 知られざる英雄の真実の結末
翌日、ハフマンは食事中のホルト上院議員とスタントンを直撃しました。半ば脅すように制するスタントンを無視し、ホルトへピッツェンバーガーの名誉勲章を懇願しました。
ホルトもまた当時の記憶をよみがえらせていました。アビリーン作戦を指揮したのはホルトだったのです。多くの兵士を失ったあとにタコダから言われた「敵の待っているところにあんたが突っ込ませた」という言葉を思い出します。ホルトもまた罪悪感と後悔に苦しめられていたのでした。
後日、予算委員会でホルトが名誉勲章について話題を持ち出しました。
しかし、会場では取り合ってもらうことができませんでした。
ハフマンはもどかしい思いで、自宅の壁を埋め尽くす軍人たちの切り抜きや彼らの言葉を見つめました。キャリアを取るか、正義を取るか。迷うハフマンに妻タラは背中を押しました。
ハフマンはこれまで独自に調査してきたことをマスコミ公表。これにより世論が動きピッツの名誉勲章授与が決まりました。
授賞式が行われ、癌で余命わずかなピッツの父フランクへ最高の栄誉が贈られました。
以上、映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」のあらすじと結末でした。
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