リバティ・バランスを射った男の紹介:1962年アメリカ映画。西部開拓時代を経て新時代に突入したアメリカ西部。しかし無法者による蛮行は続いており、弱者は虐げられていた。若手弁護士ランスは現状を変えるため奮闘し、幅を利かせる悪党リバティ・バランスとの決闘を制する。しかし対決には意外な真実が隠されていた。原作はドロシー・M・ジョンソンの同名小説。ジョン・フォード&ジョン・ウェインのコンビとしては最後の西部劇映画となった。
監督:ジョン・フォード 出演者:ジョン・ウェイン(トム・ドニファン)、ジェームズ・スチュワート(ランス・ストッダード)、ヴェラ・マイルズ(ハリー・ストッダード)、リー・マーヴィン(リバティ・バランス)、エドモンド・オブライエン(ダットン・ピーボディ編集長)ほか
映画「リバティ・バランスを射った男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リバティ・バランスを射った男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「リバティ・バランスを射った男」解説
この解説記事には映画「リバティ・バランスを射った男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リバティ・バランスを射った男のネタバレあらすじ:突然の訪問
舞台はアメリカ西部の田舎町、シンボーン。汽車で駅に降り立った上院議員ランス・ストッダードとその妻ハリーは、引退した連邦保安官リンク・アップルヤードと再会します。彼らは旧知の仲でした。政界の大物の登場に町の新聞社は大騒ぎになります。突然の訪問の理由をしつこく尋ねる記者達。ランスは友人トム・ドニファンの死を聞いて駆けつけたと答えます。ランス達が葬儀社に移ると柩が安置されていて、部屋には夫妻の知人でトムの使用人ポンピーが項垂れていました。悲しむランス達に記者は事情を教えて欲しいと食い下がります。そこでランスは自身がシンボーンに来たばかりの頃を語り始めました。
リバティ・バランスを射った男のネタバレあらすじ:法律家の青年
西部開拓時代末期、シンボーンにはまだ鉄道も通っていませんでした。学校を出たばかりの若手弁護士ランスは期待に胸膨らませ西部へやって来ましたが、3人組の無法者に襲われ大怪我を負ってしまいます。そんなランスを発見したのがトムとポンピーでした。彼らはランスをシンボーンまで運び、トムの恋人ハリーに手当てを頼みます。そのまま食堂を経営しているハリーの家に身を寄せることになったランス。自分を襲ったのが名うての荒くれ者リバティ・バランスの一味だと知り、法律で対抗しようとします。しかし西部でものを言うのは銃だとトムは忠告しました。やがて傷が回復したランスは食堂を手伝うようになり、読み書きの出来ないハリー達に文字を教える約束をします。
リバティ・バランスを射った男のネタバレあらすじ:動き出した町
ランスは現状を変えるため、町の新聞社シンボーン・スター社の一室を借りて学校を開くことにしました。町の人々に合衆国の仕組みや選挙について解説するランス。有権者の力が国を動かすと説くランスは、シンボーンが属する準州を州へ昇格させるため、ワシントンで開かれる連邦議会に代表者を送るべきだと語ります。州に昇格すればシンボーンにも様々な発展が望めます。しかし利権を貪りたい大牧場主達は昇格に反対し、バランス達を雇って脅しをかけていました。トムが危険を指摘すると町の人達は慌てて教室を出ていきます。ランスはバランスに立ち向かうため、嫌っていた銃の練習を始めました。トムは練習に付き合ってやろうと砂漠の自宅へランスを招きます。トムはいずれハリーと結婚するつもりで家の増築を行っていました。そして後日、シンボーンの代表者を選出するため集会が開かれます。町の人々から推薦されたのはランスと、シンボーン・スター新聞社の編集長ダットン・ピーボディでした。そこへバランスが乱入し立候補しますが町の人々は彼に票など入れません。面目を潰されたバランスは、ランスに殺害予告を突きつけ一旦去っていきました。
リバティ・バランスを射った男のネタバレあらすじ:決闘の真実
その夜、宣言通りバランス一味がシンボーンへやって来ます。まず新聞社を襲撃した彼らはピーボディを半殺しの目に遭わせ、ランスを挑発します。銃を手にしたランスはバランスとの1対1の決闘に挑みました。右腕を撃たれたランスは左手で必死に銃を構えます。鳴り響く銃声。倒れたのは意外にもバランスの方でした。バランスの死に沸き立つ町。ランスは食堂に戻り、ハリー達から治療を受けました。泣きながらランスを抱きしめるハリー。それを目撃したトムはハリーの恋心を察しました。酒場で泥酔したトムはポンピーに連れられて帰宅し、増築中の家に火を放って焼いてしまいます。そして準州会議当日、キャピトル・シティーへやって来たランス達。ランスは「リバティ・バランスを射った男」として英雄視され、準州代表に推薦されます。しかし彼自身は人殺しを悔み、部屋から出ていきました。追いかけたトムは意外な真実を教えます。「あんたはバランスを殺してない」と言い出したトムによると、あの夜バランスを射殺したのは、少し離れたところからライフルで狙撃したトムだったのです。ハリーを大切にしろとランスの背を押しトムは去っていきました。
リバティ・バランスを射った男の結末:それぞれの思い
その後ランスは代表としてワシントンへ行き準州を昇格させ、知事を務めた後現在は上院議員の座についています。記者達はこの話は記事にはしないと言って去っていきました。そしてランスとハリーもシンボーンを出る時間になります。帰りの汽車の中でもランスは「リバティ・バランスを撃った方のため」と何かと便宜を図って貰います。「リバティ・バランスを射った男」として出世したランス。しかしそれは真実ではありません。ランスとハリーは物思いに沈みます。緑の中を汽車が遠ざかり、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画リバティ・バランスを射った男のあらすじと結末でした。
「リバティ・バランスを射った男」感想・レビュー
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感慨深い映画だった、二度目の観賞だったが、アメリカの州の成り立ち、民主主義制度の成り立ちの一旦を垣間見た感じです
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ジョン・ウェインが男の友情と悲哀を、ジェームズ・スチュワートが男の友情と人生の皮肉を演じて味あいある作品になっている。
西部劇には無くてはならない男、それがジョン・ウェインです。この映画では主人公ジェームズ・スチュワート扮するランス・ストッダードに対し西部におけるしきたりなどでサポートをするトム・ドニファン役として、西部の男としての見事な演技を披露します。その一方ランスとは自分の恋人を巡っての恋敵にもなるのです。開拓後間もない西部の町で法の秩序の守られない中での無法者の残虐さには見ていても腹が立ちます。西部の町を舞台にジョン・フォード監督がどんな悪の支配よりも法律の大切さを見事にスクリーンで表現した作品です。ジョン・ウェインとジェームス・スチュワートの二大スターが西部劇で見せる感情が激しく対立する場面の数々を、じっくりと楽しまれてはいかがでしょうか。