皮膚を売った男の紹介:2020年チュニジア,フランス,ベルギー,スウェーデン,ドイツ,カタール,サウジアラビア映画。シリア難民のサムは偶然出会った芸術家からあるオファーを受ける。それは大金と自由を手に入れる代わりに背中にタトゥーを施し、彼自身がアート作品になることだった。美術館に展示され、自由を手に入れた彼は離ればなれになっていた恋人に会いに行くが、思いもよらない出来事が起こり精神的に追い詰められていく。本作は保険業者役で出演している芸術家ヴィム・デルボアが2006年に発表した作品「Tim」に影響を受けている。
監督:カウテール・ベン・ハニア 出演:ヤヤ・マヘイニ(サム・アリ)、ディア・リアン(アビール)、ケーン・デ・ボーウ(ジェフリー・ゴドフロワ)、モニカ・ベルッチ(ソラヤ・ウォルディ)、サード・ロスタン(ジアッド)、ダリナ・アル・ジュンディ(サムの母)、ヴィム・デルボア(保険業者)ほか
映画「皮膚を売った男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「皮膚を売った男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
皮膚を売った男の予告編 動画
映画「皮膚を売った男」解説
この解説記事には映画「皮膚を売った男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
皮膚を売った男のネタバレあらすじ:起
2011年、シリア。
ラッカ出身のサム・アリは家柄の違う恋人アビールに向けたプロポーズが、自由への革命を求めた国家反逆罪とみなされ拘束されてします。
取り調べの担当兵士が親戚だったため運良く逃亡させてもらうことができたサムでしたが、アビールは親が決めた縁談をすすめている最中で、連れ出すことができず単身レバノンのベイルートへと亡命しました。
それから1年が経ち、サムはヒヨコの養殖場で働きながら夜は美術品の展示会に忍び込んで招待客を装い食料を漁り、PCに向かってはアビール夫婦の写真をぼんやり眺める日々を送っていました。
皮膚を売った男のネタバレあらすじ:承
ある日のこと。いつも通り展示会に忍び込んだサムは主催者のエージェントであるソラヤに怪しまれ会場を追い出されてしまいます。しかし、その姿を見ていた芸術家のジェフリーがサムにある提案を持ち掛けました。
それは難民である彼に大金と自由を与える代わりに背中にタトゥーを施し、彼自身がアート作品になるというものでした。自らがアート作品になることでシェンゲン査証を得て、自由に国境を行き来することができるのです。
サムは結婚後、夫とベルギーに移住したアビールに会いたい一心で、ベルギーに住まいを用意することを条件にジェフリーの提案を受け入れました。サムの取り分は販売額と転売額の3分の1が約束され、代わりに展示に必ず出席することなど、誠実に協力することが義務付けられました。
背中に査証を見立てたタトゥーを施し、アート作品となったサムは、ベルギーのブリュッセルで行われる初展覧会へ向かいました。自由を手に入れたサムは浮足立ち、到着後すぐにアビールへ電話をかけましたが、なかなかつながせん。ようやくかかってきたオンライン通話には、夫であるジアッドのわざと見せつけるような態度に、サムは嫌悪感を隠せずにいました。
しかし展覧会は大盛況。
目玉作品であるサムの背中は世界中から注目を浴びていました。
皮膚を売った男のネタバレあらすじ:転
そんなある日、サムのもとへ「シリア難民を守る会」を名乗る男が訪ねてきました。芸術家による搾取からサムを守るためにやってきたとのこと。しかし、サムは自分が選んだことであり搾取されているわけではないと申し出を断りました。
そしてその日の晩、母からも執拗に説明を求める連絡がありました。ベルギーにきた一番の理由であるアビールとも連絡が取れない日々が続き、苛立ったサムは直接アビールを尋ねることに。突然の訪問に動揺するアビールはサムとは反対に複雑な表情を隠せずにいました。そしてこの現場をジアッドが目撃してしまいます。
ジアッドは、サムがアート作品となっていることを知らないアビールを美術館へ連れていき、展示されているサムの前へ連れていきました。ジアッドはサムを罵倒し口論になった末、怒り任せに展示されていた1100万ユーロの価値がある美術品を壊してしまいます。
その晩、サムの自宅にアビールが訪れました。彼女が自分のもとへ戻ってきたのかと喜んだのも束の間、ジアッドが損壊した美術品の訴訟の取り下げを美術館へかけあってほしいとサムに頼みに来たのでした。サムは彼女に辛くあたり突き離しました。
一方、作品のほうも人権団体の抗議が過熱し訴えられることを恐れた美術館がサムの展示を中止しました。しかし、これでさらに話題のアートとなったサムは、多額の保険をかけられスイス在住の個人投資家へと売却されました。
皮膚を売った男の結末
それから9カ月後。人間とアートの狭間で生きるサムはオークションに出品されました。多くのバイヤーが声を上げる中、サムには500万ドルの値が付き落札が決まりました。これまでバイヤーに背中を向けていたサムは物憂げに振り向き客席に降り立ちました。
不思議そうな表情を浮かべたバイヤーたちの間を進み中ほどで歩みを止めると、ズボンから爆弾スイッチに見立てたイヤホンを取り出し会場を大混乱に陥れました。その場で拘束されたサムは人間として逮捕されました。そして皮肉にも牢獄の中で束の間の自由を得たのでした。
裁判にあたって弁護士が通訳として連れてきたのは、アビールでした。彼女はジアッドと別れ、再びサムと一緒になることができました。そんなアビールの尽力もあり、その後の裁判で無罪となったサムでしたが、更新をしていなかったため査証は失効。アビールと共に故郷ラッカへ戻ることを決めました。
イスラム過激派組織ISISの支配を最も強く受けているシリアの都市ラッカで、今や高額な取引をされるアート作品となったサム。シリアに戻った直後、そのサムがイスラム過激派に処刑される動画を見たソラヤは涙を流しました。ソラヤがジェフリーへ連絡してもそっけなくあしらわれてしまいました。サムからはぎ取られた背中は美術館で展示されていました。
しかし、事実は異なりました。
シリアへ変える前に、ジェフリーがサムのDNDを採取。人工皮膚で背中のアートを作り飾っていたのです。サムは処刑されておらず、今でもシリアのどこかの街でアビールと共にひっそり暮らしているのでした。
以上、映画「皮膚を売った男」のあらすじと結末でした。
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