博士と狂人の紹介:2018年イギリス,アイルランド,フランス,アイスランド映画。 19世紀、独学で言語学博士となったマレーは、オックスフォード大学で英語辞典編纂計画の中心にいた。それはシェイクスピアの時代までさかのぼり全ての言葉を収録するという気の遠くなるようなプロジェクトだった。困難を極める中、マレー博士を救ったのは、精神病院にいた元軍人医師マイナー。学士号を持たない叩き上げの博士マレーと過酷な戦争体験で心を病んでいたマイナーのふたつの孤独な魂が共鳴していく。しかし、これがのちにウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込むこととなる。
監督:P.B.シェムラン 出演:メル・ギブソン(ジェームズ・マレー)、ショーン・ペン(ウィリアム・チェスター・マイナー)、ナタリー・ドーマー(イライザ・メレット)、エディ・マーサン(マンシー)、ジェニファー・イーリー(エイダ・マレー)、ジェレミー・アーヴァイン(チェールズ・ホール)、デヴィッド・オハラ(チャーチ)、ヨアン・グリフィズ(ヘンリー・ブラッドリー)、スティーヴン・ディレイン(リチャード・ブレイン院長)、スティーヴ・クーガン(フレデリック・ジェームズ・ファーニヴァル)ほか
映画「博士と狂人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「博士と狂人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
博士と狂人の予告編 動画
映画「博士と狂人」解説
この解説記事には映画「博士と狂人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
博士と狂人のネタバレあらすじ:起
1872年、イギリス・ロンドンの裁判所。鎖につながれ出廷した男はウィリアム・チェスター・マイナー。アメリカ人の元軍医大尉でしたが、南北戦争の悲惨な体験で心を病み、幻覚に苦しめられていました。そして不運なことに人違いでジョージ・メレットという男を射殺してしまい裁判にかけられていたのでした。マイナーに下された判決は“心の病により無罪”。マイナーはブロードムーア刑事犯精神病院に拘禁されることとなりました。
その頃、オックスフォードではジェームズ・マレーが英語辞典の新たな編纂責任者として就任しました。オックスフォード大学ではこの20年間、英語辞典の出版を志していましたが、、いまだその目的を達成できず苦肉の策として、学士号を持たないたたき上げのマレーにプロジェクトを任せることとなったのでした。フレデリックだけがマレーの型破りな発想を買っていたものの、理事会は彼の能力に懐疑的でした。
博士と狂人のネタバレあらすじ:承
マレーは、古語、新語、廃語、俗語、そして外来語まで生粋の英語を含むすべての単語とその変遷を収録しようとしていました。そこで、彼は学者や専門家ではない一般の“英語を話す人々”から広く力を借りることを思いつきました。必要な言葉を探し、単語と用例をカードに書いて郵送してもらうという壮大な計画。依頼を書いた「声明文」はあらゆる書籍に挟まれ英語圏にまかれました。
一方、ブロードムーア精神病院は看守のひとりが鉄槍の扉に挟まれ大けがする事故が起こりました。たまたま居合わせたマイナーの適切な処置により命を助けることができましたが、この出来事はマイナーに戦時中の体験を思い出させました。それは脱走兵の頬に焼き印を付けた記憶です。この脱走兵こそが彼が苦しめられている幻覚の正体でした。
そして、同じように射殺したジョージ・メレットへの罪意識にも苦しんでいました。そこで、マイナーは看守のマンシーに軍支給の年金を、未亡人となったイライザ・メレットに渡すよう依頼しました。イライザの生活は困窮していましたが、その援助へ拒否されました。
次第にマイナーの幻覚は大きくなっていきました。そこで、リチャード・ブレイン院長は対処法として病室に絵画道具や本など、マイナーの愛用品が運びこませました。
クリスマスの日。マンシーから差し入れられた一冊の本の中にマレーの「声明文」が入っていました。それを読んだマイナーは雷に打たれたような衝撃とともに、むさぼるように単語と引用文を書き出し始めました。
博士と狂人のネタバレあらすじ:転
イライザの家ではクリスマスを祝う余裕はなく、子供たちが空腹を我慢して内職をしていました。そこへ再び食べ物を抱えたマンシーがやってきます。それを見た子供たちの輝く顔をみて今夜ばかりは拒否できなかったイライザは、マイナーとの面会を条件に援助の受け入れを考えると言いました。
一方、いまだ「A」で暗礁に乗り上げていたマレーの元に、引用文を記した1000枚のカードが届きました。差出人はマイナーでした。マレーは必要な単語のリストをマイナーに送ると、またすぐに用例の束が送られてきました。マイナーの存在により編纂作業が一気に進んでいきます。こうして幾度となく繰り返された文通によりマレーとマイナーには絆が生まれていきます。
記念すべき第一巻の初稿刷りが出来上がると、マレーはマイナーに渡すためにブロードムーアを訪れます。そこで初めて彼が精神病院に収監された犯罪者だと知りました。
面会を重ねていったイライザも次第にマイナーと心を通わせていきます。字を読むことができない彼女にマイナーは字を教え、イライザは覚えたばかりの言葉を使って短いメッセージを送ります。しかしある日、彼女が送った「愛があれば、その先は?」という手紙にマイナーは苦しめられます。彼女の愛を得ることは、殺した夫をまた殺すことになる、そう考えたマイナーは自分の性器を切り落とすという凶行に出ました。
この出来事により、病状は急激に悪化。マイナーを大きく変えてしまい、ついには友であるマレーを厳しく拒絶してしまいます。
博士と狂人の結末
第一巻が無事完成し、マレーはこの功績により博士号を授与されました。しかし喜んだのも束の間、ウィーン大学やフィガロ紙から不備が指摘され、マレーを理事会から追放する動きが起こります。この騒動は、フレデリックがマレーをかばう形で辞任することで、マレー追放を逃れることができましたが、マイナーに続きフレデリックまで失ったマレーは悲しみに沈みます。
ブロードムーアではプレイン院長が非人道的な方法でマイナーの治療を施していました。辞典編纂では殺人犯がかかわったと新聞で報じられ、マレーは窮地に瀕します。しかしマレーの妻エイダが理事会を説き伏せ、辞職は免れました。
プレインの治療によりマイナーは変わり果てた姿になっていました。これを見たマレーは友人を救うため、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルに釈放を求め直訴しました。釈放すれば間違いなく国民の怒りを買うこととなります。チャーチルが出した答えは、釈放の代わりに“国外退去”。マイナーは自由を手にしました。
マレーとマイナーは固い握手をしました。再び2人には絆が戻ってきました。
以上、映画「博士と狂人」のあらすじと結末でした。
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