スコアの紹介:2001年アメリカ映画。題名「スコア」とは隠語で「泥棒」を意味し、キャッチコピーは「最後に笑うヤツは誰だ?」で、クラブのオーナーと超一流の金庫破りという2つの顔を持つニックが、旧友マックスのために最後の一仕事をこなすクライム・サスペンス映画です。ロバート・デ・ニーロ、マーロン・ブランド、エドワード・ノートンの世代が違う3大スターが競演しています。
監督:フランク・オズ 出演:ロバート・デ・ニーロ(ニック)、エドワード・ノートン(ジャック)、マーロン・ブランド(マックス)、アンジェラ・バセット(ダイアン)、ほか
映画「スコア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スコア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スコア」解説
この解説記事には映画「スコア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スコアのネタバレあらすじ:1.プロローグ:超一流の金庫破り・ニック
ある夜、パーティが開かれている豪邸の一室で、金庫を静かに手際よく開けようとしている男がいました。その男は金庫を破り、開けた瞬間、部屋に二人の男女のカップルが入ってきました。男は金庫の側のソファーの陰に隠れました。カップルはじゃれ合い、そのソファーに乗ってきました。じゃれ合い始めたとき、女は1本吸いたいと言い始め、男は女を“ヤク中”と呼び、部屋を出ていきました。女はソファーに寝そべり、ヤクを吸い始め、いい気持ちに浸っていましたが、ふと金庫の方に目を向けたとき、そこに色々な道具が並んでいました。女が立ち上がったその瞬間、隠れていた男は、背後からその女の口を手で塞ぎ、「いいか騒ぐなよ。そこでじっとしてろ」と言い女に頷かせると、男は破った金庫から宝石を盗み出し、道具を片づけました。恐ろしさのあまり目に涙をためていた女が、怖々振り向いたときには、その男の姿は消えていました。その頃、金庫破りの男はその豪邸の側に停めていた車に乗り込み、どこかに去っていきました。この金庫破りの男の名はニコラス・ウェルズ、みんなからはニックと呼ばれていました。ニックはどんな金庫も開ける超一流の金庫破りで、危ない橋は渡らない、地元モントリオールでは泥棒をしない、仲間と組んで泥棒はしないという信条を持って、これまで数々の金庫を破り、泥棒していました。
スコアのネタバレあらすじ:2.兄マックスからの大仕事の依頼
翌日、ニックは家から出ると、経営するジャズクラブに行きました。昨夜の売上状況などを、従業員から聞くと、状況の上々のようでした。ニックは自分の部屋に入って、届いた郵便物をチェックしていると、バミューダの旅から帰ってきた兄・マックスが訪ねてきました。マックスはニックとは長年の泥棒家業でパートナーでもありました。二人はテーブルに座ると、酒を飲み交わし、二人だけで話を始めました。マックスは昨夜、ニックが盗んだ宝石の報酬について話を始めましたが、その報酬率で少しニックは不満を漏らしましたが、なんとか折り合いをつけました。マックスはニックに新しい仕事の話を持ちかけてきました。その手取りの報酬は400万ドルでこれまでで一番大きな額の仕事でした。その仕事は、地元モントリオール税関に保管されたヨーロッパのアンティーク中のアンティークを盗むというものでした。ニックは地元で仕事はしないという信条を破る仕事だったので、断りました。しかし、マックスは既に盗み出す準備をしており、ある男を税関に忍び込ませていて、図面から警備状況まで知りたい情報は手に入ると言い、ニックを説得しましたが、ニックは信条を曲げず、断りました。ニックはマックスに昨夜、盗んだ宝石を渡し、いいバイヤーを見つけてくれと頼むと、席を立ちました。マックスはまだ、この大仕事はニックしかできないと思い、彼にどうにかしてさせようと考えながら出ていきました。ニックは家に戻るとCAの仕事をしている恋人・ダイアンが来ていました。ダイアンはニックが金庫破りの泥棒と知っていて、彼を恋していました。ニックはもう泥棒家業から足を洗い、ただの平凡なジャズクラブのオーナーとして、ダイアンと一緒に生活しようと考えていました。ニックがマックスからの大仕事を断ったのは、ダイアンとの事も考えていたからでした。
スコアのネタバレあらすじ:3.相棒ジャック、登場
翌日、ニックはダイアンを家から送り出すと、ジャズクラブに向かいました。その直ぐ途中で、障害者らしい若者が、ニックに道を尋ねてきました。ニックがその青年に道を教えていると、その若者は周りに気付かれないように、突然まともにニックに「ニックだろ?税関に潜入している男だ」とだけ囁き、また障害者を装い、ニックに礼を言い、立ち去りました。ニックは直ぐ、マックスの家に行きました。ニックは信条を破る地元での大仕事なのに、障害者を装い、家の近所で声をかけてくるような間抜けな行動をする訳の分からない若者に、自分の名前を教えたマックスに怒りました。すると、そこにあの若者・ジャック・テラーがやって来ました。ジャックは、「相棒として組むのなら、早く顔を合わせておいたほうがいい」と考えていたと言いました。ニックは、3週間、この大仕事の成功のために準備してきたと言うジャックの話にも、しつこくこの大仕事をさせようとするマックスの話にも耳を傾けず、マックスの家を出ていきました。ジャックは、ニックがまだ正式にこの大仕事を引き受けていないことを知り、マックスに正式に決まったら連絡をくれと言い、家を出ていきました。ジャックが家に帰り、何か飲もうとしていると、突然、背後から大男にバットで殴り倒されました。その大男はジャックをバットで威嚇し、「今夜、街を出て行け!戻ってきたら向こう脛をへし折るぞ!ニックに近づいたら殺す!危険なゲームから手を引け」と命じてきました。しかし、ジャックは大男のその言葉を聞き終えると、その男の隙をつき、喉元を殴り、バットを奪い、逆にその男を叩きのめしました。ジャックはその男の車に乗り、ニックの家にバットを持って行きました。ジャックはニックに「虫けら扱いするな。何か勘違いしてないか?これは仕事だぞ。どうしてもやりたくないなら仕方がない。でもあんまチンピラを使って俺を追っ払おうなんてセコイまねはするな。それでもプロかよ!」と怒りをぶつけてきました。言葉で怒りをぶつけ、怒りが収まったジャックは、ニックに税関の下調べをした結果を話し、この大仕事をするにはいい腕の金庫破りが必要なこと、多少のリスクはあるが成功した暁には報酬がでかいので諦めるのはもったいないことを告げ、下見だけでもしておいてくれと言って立ち去りました。
スコアのネタバレあらすじ:4.ニック、大仕事を受ける
数日後、マックスがニックのクラブへやって来ました。ニックは今回の大仕事を受けることにしました。しかし、仕事の報酬の件で、マックスは400万ドルと提示していましたが、ニックは「リスクを考えれば600万が妥当だろ」「地元でやるんじゃな。危険手当をもらわんと。仕事に見合った報酬を貰うのは当然」「金が必要なんだ。この店のローンを返して抵当権を抹消し、完全に自分の物にしたい。もう、決めたんだ、この仕事を終わったらきれいさっぱり、足を洗うと。これが最後だ」と言い、マックスはニックの要求に了承しました。そこにジャックが現れました。まだジャックの腕前も何も知らないニックは、彼にこの仕事を進め成功させるため、いくつかの条件に同意させ、計画遂行時には自分の指示に絶対従うように言いつけました。ジャックはそれに同意しました。今回の大仕事のブツは、1661年に作られた王様の杖・笏でした。それは値がつけられないほどの高価なものでした。ニックはジャックに税関の設計図を見せ、これまで得た情報を話しました。ジャックは、税関の内部に履歴書も不要な障害者を装い、偽名でブライアンと名乗り、深夜の夜間清掃員として潜入していました。職員たちとも初老の上司・ダニーとも仲良く接し、ある程度の信頼関係を築いていました。ジャックの話では警備員の数も少なく、警備システムは全て1つのコントロール・ルームで制御され、監視カメラも特別なものでなく、部屋の合い鍵は全部作ったとのことでした。ただ、盗み出すブツ・笏の保管場所が問題でした。その笏は、虫に食われてボロボロになり、フランスの送り返せなくなったグランドピアノの脚から焼却炉内で見つけたのですが、職員たちはその価値が分かるまで、一応、地下倉庫の金庫に保管したそうでした。その倉庫は、東カナダで最も頑丈な元々冷戦時代の核シェルターでしたが、監視カメラはないそうでした。一通りの情報を聞いたニックは、ジャックに「金庫の写真、なければメーカー、型番号。あとは見取り図に配線の地図」を入手するように頼みました。ジャックは2日間で手に入れると答えました。ニックは早速、その地下倉庫に地下通路から潜入し、超小型カメラで金庫の位置などを調べました。ジャックたちが車でニックを迎えに行きましたが、彼が出てきたとき、たまたまその近くの店から未成年を追い出して警官が出てきました。焦ったジャックは、道に迷ったふりをして、警官の視線を自分にそらし、ニックを助けました。
スコアのネタバレあらすじ:5.ニックとダイアン、拗れる関係
ある日、開店前のニックのクラブに、仕事を終えた恋人・ダイアンがやって来ました。ニックはテーブルにシャンパンを用意して、彼女を待っていました。ダイアンは席に座ると、ニックのプロポーズに対する答えとして「公正な取引とは、当事者の双方が何かを断念する取り引きだ」という自分の父の言葉を伝え、「今までの生活を捨てて、ここに越してくる。あなたを愛します。…ただし、不安な夜を1人で過ごすはイヤ。いいえ、いつかあなたと窓越しで話をすることになるなら、ここには越してこない。だから、もう二度と盗みはしないと、今ここで約束して。そうすれば乾杯できるわ」とシャンパンの入ったグラスを手に言いました。大仕事を引き受けてしまったニックは、彼女の言葉に困惑し、乾杯しようとしませんでした。ニックは「あと一回だけ最後の仕事をやらせてくれ。これが最後だ、約束する」とダイアンを説得しましたが、彼女はグラスを置いて、「ただ二人でいたいだけ。どうして辞めると言って、ぬか喜びさせたの!」と怒って出ていきました。その夜、ニックはジャックから前回頼んでいた情報を聞きました。ジャックは新たな情報として、税関のセキュリティシステムの解除には暗号のパスワード解読が必要だと告げました。ニックは直ぐに信頼できるハッカー・スティーヴンにその仕事を依頼しました。スティーヴンはその仕事を受けました。ニックが家に帰ると、ダイアンから留守番電話が入っていました。それは、急に交代要員として仕事が入り、帰ってきたら例の話の続きを相談しましょうという伝言でした。
スコアのネタバレあらすじ:6.見つけた金庫破りの方法
翌日、ニックは自分の仕事場にジャックを案内し、今回開ける金庫を用意して、「所詮、人間が作ったものだ」と言いながら、その開け方を模索していました。ニックは先日下調べしたときの地下倉庫の写真をジャックに見せました。その写真にはその金庫のところだけ、赤外線探知機が設置されていました。これはジャックも知らないことで、益々仕事は難しくなりました。一方、パスワード解読の仕事のほうは、スティーヴンがもう少しで解読できそうなところで、別のハッカーに妨害され、5万ドルを要求されてしまいました。事を大きくしたくないニックは、直ぐに5万ドル支払うようにジャックに指示しました。しかし銃を見せて脅してきたハッカーに、ジャックは戦おうとしました。ある日、ニックはダイアンとの関係を修復しようと、車の中で電話をかけていました。その時、偶然、前に止まっていたトラックから、積み荷の炭酸水の缶が落ちて、蓋が割れ、中の炭酸水が勢いよく吹き出てくる光景を目にしました。ニックはその光景から、うまく金庫を開ける方法を考えつきました。その夜、ニックはクラブにジャックを呼びました。そして、一度も危ない橋は渡ったことはないニックは、ジャックに「お前は頭もいいし、才能もある。だが、間違った選択をすると大成はできない。…大事なのは自制心だ」と諭しました。翌日、ニックの仕事場でジャックは作戦の打ち合わせをしました。問題は金庫破る方法だというジャックに、ニックは昨日、偶然見た方法を応用して金庫を破る方法をメモしたものを見せました。ニックの読みでは、その所要時間は最長で15分という驚くべきスピードでした。ただ、二人は盗んだお宝をどうやって運び出しマックスに届けるかで、ジャックは二人で一緒に届けようと提案しますが、ニックはジャックがいつもと異なる行動をすると不審に思われると言い、ジャックの案を受け入れませんでした。ジャックは経験豊富なジャックの意見に、不満そうに了承しました。
スコアのネタバレあらすじ:7.この大仕事の真相
その帰り、ニックは、スティーヴンが手に入れたコンピュータなどの税関のセキュリティシステムを解除する道具を、ジャックに渡すため、長年の友人・バートに託しました。そこでバートは、この計画はマックスがテディと借金でもめていて彼との手切れ金のためだという噂を、ニックに教えました。それを聞いたニックは、マックスに真偽を確かめるため、彼の家に行きました。バートからの話は本当でした。実際には、マックスは笏を3000万ドルで売り、それでこれまでの全てをきれいに清算して泥棒家業から足を洗うつもりいたのでした。ニックはテディへの借金精算のために一世一代の危険な大仕事をすることに躊躇いましたが、マックスにこの段階まで来て計画は万全、またこの計画を遂行しないとテディが自分を殺しに来ると懇願され、ニックは25年来のパートナーでもある兄を助けるため、仕方なく仕事を続行することにしました。
スコアのネタバレあらすじ:8.“ビック・スコア”は誰の手に
その頃、税関では、専門家の鑑定であの笏が17世紀のフランスの国宝と判明し、警備カメラなどが新設され、より一層ガードが厳しくなり、計画遂行の可能性が低くなってきていました。ニックたちの目標は、世界最高の警備を誇る税関、特殊警備員24名、監視カメラ9台、4つの異なる警備システムに守られた3000万ドルのお宝を盗み出すという“ビッグ・スコア”でした。そしていよいよ“ビック・スコア”決行の日が来ました。二人は打ち合わせ通り、税関に入りました。ニックは地下道から、ジャックはブライアンを装いました。ただ、ジャックは普段と違う靴を履き、みんなから指摘されました。ジャックは、バートが運転するトラックからゴミ箱に入れたセキュリティシステムを解除する道具を、ゴミ収集を装って密かに受け取り、セキュリティシステムの部屋へ潜入しセットしました。ジャックはニックと無線連絡を取り合いながら、セキュリティをダウンさせました。ニックは地下道から地下倉庫に潜入、第1ゲージを破り、赤外線システムをくぐり抜け、金庫に到着しました。ニックはジャックの合図で、金庫の上に穴を開け、そこに炭酸水を入れ、内側から爆破し、金庫を見事に破り、お宝を盗み出しました。しかし、ジャックはいつもと違う行動をしたため、上司のダニーに金庫破りをしている最中に見つかってしまいました。ジャックは銃でダニーを威嚇し、ロッカーに閉じ込めました。見つかってしまったジャックは、お宝を盗み出したニックの所に行き、ニックを銃で脅し、彼からお宝の入った袋を奪いました。ジャックはニックに「マックスと山分けするつもりなんだろう」「俺を無視するからだ」と言うと、税関の警報が鳴り響きました。もう、二人とも直ぐに逃げない危険な状況でした。ジャックはお宝の入った袋を隠し持ち、ブライアンを装い、外に脱出しました。ニックは地下道を使って、警備員の追っ手から何とか逃れ出しました。
スコアの結末:エピローグ:「ジャック、俺の負けか?」
まんまとお宝を奪って逃げることに成功したジャックは、ニックに電話をかけました。ニックはジャックに「俺の負けか?」と言ってやりました。ジャックはその言葉を聞き、袋の中を確かめると、その中にはダミーの笏が入っていました。ニックは密かにすり替えていたのでした。本当のお宝の笏はニックの手にありました。ジャックはまた、上司ダニーの報告によって、今回の金庫破りの主犯として指名手配されてしまいました。ジャックは途方に暮れました。アジトも道具も全て処分した、ただのジャズクラブのオーナーとなったニックは、空港でCAの仕事を終えてきたダイアンと抱き合いました。
この映画「スコア」は、公開当時、戦後のアメリカ映画界を代表する最高の演技派俳優、マーロン・ブランドが77歳、アメリカン・ニューシネマ以後の代表的な演技派俳優、ロバート・デ・ニーロが58歳、そして21世紀のハリウッド映画界の代表的な演技派俳優、エドワード・ノートンが32歳、というように三大名優が競演した話題作。
とにかく、三世代に渡るアメリカ映画界の代表的な名優が、この犯罪映画「スコア」で激突しているのは、映画好きにとっては、それだけで食指が動きます。
となると、この映画は深くて複雑なミステリーかと思いますが、実はお話自体はいたってシンプル。
人生最後の大仕事を仕掛けようというブローカー(マーロン・ブランド)が、高額の報酬を餌に旧知の大泥棒(ロバート・デ・ニーロ)に、財宝を盗み出す話を持ち掛けます。そこに、機知に富んだ自信過剰の若者(エドワード・ノートン)が、相棒として絡み始めていくのです。
この映画で面白いのは、三人それぞれの背景で、ブランドは破産寸前で、何としても盗みを成功させたい。デ・ニーロはジャズクラブの経営者として、恋人とまっとうな暮らしを始めるための元手が入る。ノートンは伝説の大物と組み、あわよくば出し抜いてのし上がりたい。
そんな三人の思惑が交錯し、疑心暗鬼が完全犯罪を危うくしてサスペンスが深まっていくのです。
ジャズを愛するデ・ニーロの洗練された趣味や暮らし、でっぷりと太ったブランドの迫力満点の演技。さすがのノートンも、これでは気負わざるを得ないなと思います。
この映画の実質的な主演は、当時、還暦間近だというのに、体を張ったアクションで難攻不落の税関ビルに忍び込むデ・ニーロ。最後のどんでん返しも、彼の存在感で鮮やかに決まったと思います。
北米のパリと呼ばれる多文化都市カナダのモントリオールの重厚な風景が、この映画に漂う”フィルム・ノワール”に渋い味わいを与えているようにも思います。