シャイニングの紹介:1980年イギリス映画。スティーヴン・キング原作の小説を映画化した作品で、ジャック・ニコルソンの狂気に満ちた顔が有名であり、そのシーンの撮影だけで2週間以上行われたとされています。シャイニングは、冬の間ホテルの管理人を任された家族三人が様々な怪奇現象に遭遇し精神が蝕まれ、小説家志望の男が家族を惨殺しようとする恐怖を描いたスリラーホラー映画です。2019年にはシャイニングの続編で、40年後が舞台となる映画『ドクター・スリープ』が公開となりました。
監督:スタンリー・キューブリック 出演:ジャック・ニコルソン(ジャック・トランス)、シェリー・デュヴァル(ウェンディ)、ダニー・ロイド(ダニー)、スキャットマン・クローザース(ディック)、バリー・ネルソン(スチュアート)ほか
映画「シャイニング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シャイニング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シャイニングの予告編 動画
映画「シャイニング」解説
この解説記事には映画「シャイニング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シャイニングのネタバレあらすじ:起・ホテル管理人の仕事
小説家志望の男、ジャック(ジャック・ニコルソン)。小説を書きながら職を探していた所、条件のよい仕事が舞い込んできます。
それはロッキー山上にあるオーバールック・ホテルの管理人。このホテルは山奥にある事から冬が訪れると道路が雪で覆われる為、客足も途絶えてしまう事から冬期休業をします。しかしその間ホテルを管理する者が必要だという時にジャックが立候補します。ホテルで管理人をしながら誰にも邪魔されることなく静かに小説が書ける環境は、自分にとって好都合だったからです。
しかしオーナーは誰も来ない冬のホテルの中に缶詰めになる事は、肉体的よりも精神に負担がかかると説明します。そして数年前、グレイディという同じ仕事を請け負った男が、妻と二人の娘を斧で惨殺したうえ、自分は猟銃自殺するという凄惨な事件が起こった話も付け加えて忠告するも、ジャックは気にせずに仕事を引き受けます。
シャイニングのネタバレあらすじ:承・シャイニングという力
さっそくジャックは自分の家族、妻ウェンディ(シェリー・デュヴァル)、一人息子のダニー(ダニー・ロイド)と共にホテルに向かい、営業停止と同時に住み込みを開始します。ダニーはそのホテルで会った黒人コックのハロラン(スキャットマン・クローザース)から、ダニーには「シャイニング(輝き)」という不思議な力があると、告げられます。
それは自分にも同じシャイニングの能力があると。そしてこのホテルで過去に忌まわしい事件が起こった為、怖い物に遭遇するかもしれないが、何もできないと告げます。最後にダニーに警告します。237号室には近づいてはいけない、と。
今年も例年通り激しい吹雪に覆われ、完全に家族三人は山奥のホテルの中に孤立状態になります。ダニーはホテルの廊下を三輪車で走り回って遊んでいます。そこにふと現れる双子の女の子。ここには自分の家族三人しかいないはずなのに…。日々遭遇する霊現象に悩むダニー。
そしてハロランからの警告も忘れ、237号室に足を踏み入れてしまいます。
その頃、ジャックはウェンディとダニーを殺してしまう悪夢を見たと、起こしに来た妻に泣きながら告げます。そこへダニーがやってきます。ダニーの首にはアザがあり、ウェンディはかつて酒に酔ったジャックが悪戯をしてダニーの腕を骨折させてしまった過去がある事から、ジャックの仕業だと責めてしまいます。実際は237号室にいる幽霊にされたものだったのだが。
その頃、家族の危険を察知したハロランは、彼らを救うべく雪の中ホテルへ向かいます。
シャイニングのネタバレあらすじ:転・異変と警告
ここから家族三人に大きな溝が生まれ始めます。誰もいないロビーの机に置いてあるタイプライターを、何気なく覗くウェンディ。そこには、”仕事ばかりで遊ばない。ジャックは今に気が変になる” という文字が何ページにも渡って打たれています。
そこへジャックが現れるが明らかに尋常ではない。襲われそうになった所をウェンディは持っていたバットで殴って気絶させ、食料倉庫に閉じ込めます。これから起こる危険をダニーは察知したかのように、ドアに口紅で「REDRUM」と書きます。鏡に映ったこの文字を見てウェンディは悲鳴を上げます。逆さに読むとそれは「MURDER(殺人)」でした。
シャイニングの結末
ジャックは幽霊の力を借りて、食料倉庫から出る事ができます。あるはずのない幽霊の集うパーティーで『言うことを聞かなければお仕置きをすればいい』と言う悪霊にそそのかされた言葉を思い出し、ジャックは斧を持ってウェンディとダニーに襲いかかります。
部屋にいたウェンディとダニー、ダニーをトイレの窓から逃がしますが自分は窓が小さくて通れません。その間ジャックは斧でドアを壊していきます。壊されたドアから覗く狂気に満ちた顔。完全に狂ってしまっている夫の姿に、ウェンディの悲鳴は止まりません。様子を見に来たハロランがホテルに到着するも、ジャックに斧で殺されてしまいます。
ダニーは雪の中、ホテルの庭にある巨大迷路に逃げ込みます。それを追うジャック。ダニーは機転を利かせ、雪についた自分の足跡を隠してジャックを困惑させて迷っている隙に、ダニーは自分の足跡を辿って迷路を脱出します。そこへホテルから出てきたウェンディと会います。ふと見るとハロランが乗ってきた雪上車があります。二人はそれに乗ってホテルから逃げます。
ジャックはとうとう迷路から出る事ができず、凍死してしまいます。しかしホテルに飾ってある写真の中に不思議な事が…。
何十年も昔に撮られたはずの写真の中にはジャックの姿が映っているのでした。
以上、映画「シャイニング」のあらすじと結末でした。
続編「ドクター・スリープ」のネタバレあらすじはこちら。
「シャイニング」感想・レビュー
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ジャック・ニコルソンによる主人公の狂気の演技はすばらしく、それ抜きでは語れない映画であることは確かです。
ただ、かすみがちなのですが、シェリー・デュヴァルの演技もまたよいのです。
ジャックが妻と息子のいる部屋のドアを、斧で叩き割るシーンがあります。個人的にはあれがすごく怖かった。どうしてだろう、と長年考えていました。だって、ホラー映画ではごくありきたりのシーンではありませんか。にもかかわらず怖いのは、あれはシェリー・デュヴァル演ずる妻の恐怖が観ているこちらに伝染して、それで恐ろしいのだと思うのです。
その意味でも、彼女の演技はもう少し評価されてもいいと思います。 -
いわずと知れたスティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督作品。一般的には原作と比較して、今ひとつという評判にもなったりもするのだが、筆者としては活字と映像は別物と捉えている。特に男の子が三輪車でホテルの廊下を走るシーンや、クライマックスの吹雪のなか、父親から逃げる迷路をとらえたカメラワークは斬新だと思うのだが……。
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どんどん狂気の沙汰になっていく、ジャック・ニコルソンの怪演も怖いけれど、奥さん役のシェリー・ドュヴァルの叫ぶ姿もニコルソンと同じくらい怖かったです。映画の中ではとてもかわいい男の子のダニーも、メイキング映像では成功した子役にありがちな生意気くんでちょっとがっかりした覚えがあります。何度観ても展開がわかっていても怖い作品です。なかなか映像化が難しい作品ではありますが、キューブリック監督は見事に映像化していると思いました。エレベーターから血がドバーっとシーンとか。
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ホラー映画の金字塔です。キューブリックならではの細部まで手のこんだ作り込みによって、映画が進行していく最中、常に掴み所のない恐怖感がじわじわと押し寄せてきます。冒頭の車内での人肉食の会話、少年がホテルの廊下を三輪車で円環運動する背後を追う移動撮影、双子の惨殺死体のイメージ、エレベーターのドアから溢れ出す血液、着ぐるみのままベッドで戯れるパーティー客・・・。ジャック・ニコルソンの怪演ももとより、そういったイメージの連鎖が何よりも怖いし美しいです。何年間に一度無性に見たくなる映画です。
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1980年のアメリカ映画です。
なぜ突然比較的新しいアメリカ映画、それもホラー映画を取り上げたかというと、実はこの映画、ずっと以前に一度観たのだが、子供が高校生の時、どういう経緯だったか忘れたが、子供と一緒に再度観ている。だから記憶に新しく、書きやすかったからなのだ。
私は実は恐いのは苦手である。「エクソシスト」も「13日の金曜日」も、断じて見ようとはしなかった。最も、両方とも、結局のちにテレビで観て、やっぱり見なきゃよかったと思ったものだ。
だから一体どういう巡り合わせで最初「シャイニング」を観ることになったのかは記憶にないが、観たときの恐怖といったらただ事ではなかった。
しかし考えてみると、この映画には、怪物も幽霊も一切登場しない。にもかかわらず、この恐怖感を出せるというのは、やはりスタンリー・キューブリック監督ならではだと思う。
キューブリック監督といえば、「ロリータ」
がある。「博士の異常な愛情」がある。そして何と言っても「2001年宇宙の旅」や、「時計じかけのオレンジ」は、映画史に残る傑作としか言いようがないだろう。実は私はそのキューブリック監督の作品だから、敢えて恐いのを我慢してこの映画を観たと言ってもいい。
ネットの「映画.com」の解説から、一部物語を抜粋する。
冬の間は豪雪で閉鎖されるホテルの管理人職を得た小説家志望のジャックは、妻と、心霊能力のある息子とともにホテルへやって来る。そのホテルでは、かつて精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、当初は何も気にしていなかったジャックも、次第に邪悪な意志に飲み込まれていく(以上映画.comより抜粋)。
この映画はどこからどこまで現実で、どこからが幻想なのか、結局のところ分からない作りになっている。それがまた、一層不気味なのである。
「映画.com」によれば、高い評価を受けた作品だが、内容が原作とかけ離れていたため、原作者のスティーブン・キングが、キューブリック監督を批判したとのことだ。
しかしこの映画、怖かったなぁ!
スタンリー・キューブリック監督のおなじみのシュールな構図やカット割り、独特の間などが堪能できる作品です。ジャック・ニコルソンの怪演やウェンディ役のシェリー・デュヴァル、料理長ハロラン役のスキャットマン・クローザースなどなど役者陣も個性的で完璧なキャスティングだと思います。(原作のスティーブン・キング氏は批判的だったそうですが)ジャックを狂気に陥れるホテルに潜む「何か」を、直接的ではない独特の映像美で表現していくあたりに、キューブリック監督の凄さを感じます。