砂上の法廷の紹介:2016年アメリカ映画。大物弁護士のブーンが殺害されるという事件が起きますが、容疑者として逮捕されたのはブーンの息子マイクでした。圧倒的不利な状況の中、なぜか黙秘を続けるマイク。証言者達の嘘を巧みに利用して法廷が翻っていくサスペンス。
監督:コートニー・ハント 出演者:キアヌ・リーヴス(リチャード・ラムゼイ)、レニー・ゼルウィガー(ロレッタ・ラシター)、ガブリエル・バッソ(マイク・ラシター)、ジム・ベルーシ(ブーン・ラシター)、ググ・ンバータ=ロー(ジャネル)ほか
映画「砂上の法廷」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「砂上の法廷」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
砂上の法廷の予告編 動画
映画「砂上の法廷」解説
この解説記事には映画「砂上の法廷」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
砂上の法廷のネタバレあらすじ:起・黙秘
富豪の大物弁護士ブーン・ラシターが高校生の息子マイクに刺殺される事件が発生します。マイクの弁護をするのはラシター家の顧問弁護士のリチャード・ラムゼイ。一家と親しい間柄でブーンとは師弟関係でもありました。凶器からマイクの指紋が検出されている上に、マイクはラムゼイに対しても黙秘を貫いていたため、難しい裁判になりそうでした。
裁判の初日、裁判所のトイレで吐くラムゼイ。マイクの母親ロレッタが不安そうな佇まいで傍聴席に座っています。冒頭陳述が始まり、検察側は事件は事故でも正当防衛でもなくマイクの怒りによる計画的な犯行であり、第1級謀殺で有罪の評決を下すようにと陪審員に訴えます。一方、マイクが何も話してくれないので冒頭陳述ができないラムゼイ。冒頭陳述は検察側の証人喚問の後に行いたいと判事に頼みます。
検察側の証人喚問が始まり、まずはチャーター航空会社の客室乗務員アンジェラが証言台に立ちます。最後にブーンとマイクを乗せたのはマイクの大学の見学のためにロスを訪れた時で、UCLAやスタンフォードを見た後はオレゴンのリード大へ行くのをとりやめたと証言します。
次はブーンの車の運転手が証言します。ラムゼイはブーンは女好きという印象を持たせるために、客室乗務員と運転手にブーンは女性を同乗させた事があるかと質問しますが、客室乗務員も運転手も否定します。ラムゼイは弁護士のパートナーとして若手弁護士のジャネルを採用していました。最強の嘘発見器と評判のジャネルは、客室乗務員と運転手の言動からブーンは女性を同乗させていただろうと推測します。
次の証言者は、事件の通報を受けて現場に駆け付けた巡査です。巡査は、マイクが亡くなっている父親を見ながら「早く僕がこうすべきだった」と呟いたと証言します。ラムゼイはマイクに「本当に”僕が”と言ったのか?話してくれなきゃ負ける」と問いかけますが、マイクは無言です。
砂上の法廷のネタバレあらすじ:承・証人の嘘
ラシター家の隣人アーサー・ウェスティンが証言台に立ちます。アーサーの息子アレクサンダーとマイクが同級生だったこともあり、長年家族ぐるみの付き合いをしていました。アーサーは、子供の頃のマイクはすでに法律マニアなほどに賢くて家族の仲も良かったが、年頃になるにつれてマイクとブーンの関係は硬直したものになった。
8カ月前のパーティーでは酔ったブーンが人前でロレッタを侮辱していたので、仲裁して止めたと証言します。しかし、実際はアーサーは座って眺めていただけで、ブーンに「よせよ」と注意したのはマイクでした。
次は捜査責任者の刑事が証言します。刑事はマイクが容疑者だと確信していました。ラムゼイが「なぜですか?」と問いかけると、刑事は「プロとしての経験上、明白だからです。彼がやった」と答えます。検視官も証言台に立ち、ブーンは顔見知りの相手に突然襲われたのだろうと証言します。ラムゼイから「被害者の衣服に毛髪は?玄関ホールやバスルーム、階段には?」と聞かれますが、検視官は「何も見つからなかった」と答えます。
実はロレッタは事件が起きた時はシャワーで髪を洗っていたと刑事に言っていましたが、洗面台からロレッタの髪が見つかっていました。陪審が混乱することを恐れた刑事と検視官は、口裏を合わせてそのことを秘密にします。
次は隣人アーサー・ウェスティンの息子アレクサンダーが証言台に立ちます。ロレッタに惹かれているアレクサンダーは密かに隣家を覗き見していましたが、そのことを隠して証言します。アレクサンダーはブーンによる殴る蹴るなどの暴力的な虐待をハッキリ目撃した事はありませんでしたが、ロレッタとブーンの関係に歪さを感じていました。「彼女は毎日酷い扱いを受けていて生気を失ってました」と証言するアレクサンダー。
場面はパーティーの回想シーンになります。ロレッタはラムゼイと立ち話をし、マイクはリード大に行きたがっているのにブーンがスタンフォード大に行かせようとしている事、ブーンに離婚をほのめかしたら「殺す。どこにいても見つけ出す」と言われたことなどを打ち明けます。
砂上の法廷のネタバレあらすじ:転・マイクの証言
ジャネルは証言者はみんな嘘をついていると見抜いていました。刑事は他の手がかりを追ってさえいないので、そのことを追求すべきでは?とラムゼイに意見しますが、ラムゼイは「陪審の前で警官に恥をかかせるな」と言うだけです。
次の日、ロレッタが証言台に立ちます。事件当時、シャワーから出るとブーンがナイフで刺されて死んでいた.。マイクが「死んだの?・・・僕がやった・・・僕がやった」と言ったと泣きながら証言します。ラムゼイが「マイクはあなたがブーンに殴られるのを何度も見聞きした?」と質問すると、ロレッタは「はい」と答えます。ラムゼイはブーンが死ぬ前にロレッタに暴力をふるっていた証拠として、ブーンの死の翌日に撮影されたロレッタのケガの写真と診断書を提出します。
突然、マイクが証言台に立つと言い出します。マイクが何を証言するか分からないのでラムゼイは強く反対しますが、なら弁護人を解任すると言ってきたため仕方なく承諾します。マイクは、父が母に暴力をふるうところを目撃したことはないが、体を叩く音や母の叫び声は聞こえてきた。12歳の頃から父から性的虐待を受けており、チャーター機内でも性的虐待をされて「家に戻ったらまたやる」と脅されていたと証言します。マイクの突然の告白にみんな息を呑みます。
チャーター機の客室乗務員アンジェラが再び証言台に立ちます。検察側から、機内でブーンがマイクに性的虐待をするのを見たかと聞かれたアンジェラは「とんでもない」と否定し、そんなことがあれば止めていると答えます。マイクはジャネルに「ギンズバーグのことを」とこっそり耳打ちします。ジャネルがアンジェラに反対尋問を行い、ギンズバーグはアンジェラと交際している副操縦士であり、しかもアンジェラはコックピットに行って10分以上もギンズバーグと談笑していたことが判明します。
反対尋問が上手くいってホッとするラムゼイ。しかしジャネルはどこか引っかかりを感じ、ブーンを刺したのはロレッタで、マイクは母親を守るために嘘をついているのではと考えます。ラムゼイにそのことを言いますが、「そうかもしれないがどうでもいいさ。マイクを無罪にすることが大事だ」と言われて口論になります。
砂上の法廷の結末:真相
評決を待つ間、腕時計の絵をノートに描いているマイク。その時、ラムゼイが付けている腕時計が視界に入ります。マイクは近くの傍聴席にいたロレッタに「本当に殴られたの?」と尋ねます。「もちろん本当よ」と答えるロレッタ。陪審員が入廷し評決を言い渡されるのを待つ間、マイクは事件時のことを回想します。
マイクは母が苦しみの末に父を殺害してしまったのだと思い、自分がやったことにしようとします。ロレッタは「私がやったの。ダメ、そんなの許さない!」と必死に止めますが、マイクはロレッタが巡査を部屋に案内しに行ってる間に、ブーンの血だらけの胸とナイフに触れて指紋を付けてしまったのでした。
無罪となり、深く安堵のため息をつくマイク。閉廷した後、ラムゼイとマイクは二人きりで話し、マイクは腕時計の絵をラムゼイに見せます。「あんたの時計だ。ラグの上にあった。父さんが戻る前に寝室にいた。父さんを殺したろ。検事に全部話す」と詰め寄ります。実はラムゼイとロレッタは不倫関係にありました。ラムゼイは「”時計を見た”と言うのか?証拠にはならんぞ。もう誰も起訴はされない。君を有罪と信じ、刑事も検視官も宣誓のもと証言した。君も宣誓してる」と言います。マイクは「父を貶めて罪を被ったのは、あんたをかばうためじゃない」とラムゼイの胸ぐらをつかんで怒りを露わにしますが、なす術もなく母親と一緒に帰宅します。
ラムゼイは事件のことを回想します。
ある日、ブーンがラムゼイに会いに来て「女房が浮気してる。どうすべきだ?」と言ってきます。ラムゼイは平静を装いながら「わからないよ。離婚すれば?」と言うと、「それは無理だ。ロレッタは俺なしじゃ生きてけない」と笑うブーン。ラムゼイとロレッタはブーンの殺害計画を立てて実行します。ロレッタはバスルームで自分の体に石を叩きつけて虐待を偽装します。ラムゼイがブーンを殺害し、正当防衛に見せるためにロレッタにブーンの胸に刺さったナイフに触るように言っているところで、マイクが帰って来てしまったのでした。誰もいなくなった法廷でぼんやりと座るラムゼイ。
以上、映画「砂上の法廷」のあらすじと結末でした。
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