東京の宿の紹介:1935年日本映画。深刻な不景気だった当時の世相を取り入れた小津作品のひとつ。「喜八もの」としては珍しくシリアスそのものの展開になっていて、結末も悲劇で終わっている。キネマ旬報ベスト・テンでは第9位に入選。
監督:小津安二郎 出演:坂本武(喜八)、岡田嘉子(おたか)、突貫小僧(善公)、飯田蝶子(おつね)
映画「東京の宿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京の宿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「東京の宿」解説
この解説記事には映画「東京の宿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京の宿のネタバレあらすじ:起
広い敷地を持つ工場がいくつも建つ東京の下町。原っぱに囲まれた人気のない道を喜八とその幼い息子2人が歩いています。喜八は女房に逃げられ、おまけに旋盤工の職も失って、いまは宿なしとなって放浪しているのです。工場の門を叩いては仕事口を探すものの、どこもけんもほろろです。とりあえず木賃宿に泊まって雨露だけはしのげるものの、親子3人ロクに飯にもありつけません。
東京の宿のネタバレあらすじ:承
ある日、息子たちが抱えていた風呂敷包みをなくしてしまい、いよいよ所持金がわずかになります。残りの金の使い道で「宿を選ぶか飯を選ぶか」と言われ、飯を選ぶ子供たち。ある一膳飯屋で久しぶりに食事をしていると、外で雨が降り出しました。野宿も出来ず、途方に暮れていると、喜八に声をかけた女性がいます。昔なじみのおつねです。驚いたことに彼女がその一膳飯屋の女将でした。喜八が窮状を語ると、おつねは「仕事を探してやるよ」と請け負います。
東京の宿のネタバレあらすじ:転
彼女は顔が広く、おかげで喜八にもすぐに工場の仕事が見つかりました。とりあえず長屋に落ち着き、息子たちも学校へゆくことになります。一時期は一家心中も考えただけに、喜八はホッと安心しますが、そうなるとおせっかいの気持ちが出てきます。工場での就職口を探している間、偶然知り合った同じ宿なしの母娘がいました。母親の名前はおたか、娘は君子です。喜八は勤め先の工場へゆく途中、原っぱでボンヤリしているおたかたちと再び出会い、その境遇を心配します。彼にできることは飯をおごることくらいですが、子供たちは一緒に遊んだりして、母子にとっても喜八の存在は気強いもののようです。
東京の宿の結末
しかし、君子が疫痢にかかり、仕方なくおたかは客席にはべる飲み屋の女中に。偶然そこに飲みに来た喜八は、水商売に手を出したおたかを責めるのです。しかし君子が病気になったという事情を聞くと顔を曇らせ、一緒に病院へ。30円の病院代を払えないおたかのために、おつねに金を無心するのですが、遊ぶ金だと勘違いしたおつねは断ってしまいます。喜八は心を決め、金を工面するため犯罪行為に手を染めます。警官に追われた喜八はおつねに息子の世話を頼み、自ら警察署に向かうのです。
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