男はつらいよ お帰り 寅さんの紹介:2019年日本映画。渥美清主演の伝説的人情喜劇シリーズ『男はつらいよ』の映画シリーズ開始50周年記念作にして、第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)から約22年ぶりとなる第50作です。シリーズの生みの親である山田洋次が自身の監督作通算88作目となる本作でもメガホンを執り、新規に撮影された部分と4Kリマスターされた過去の厳選されたシーンを融合、寅さんの甥の満男と初恋の人イズミの再会がこれまでの登場人物の“今”と共に綴られていきます。吉岡秀隆、倍賞千恵子、前田吟らオリジナルのレギュラー陣に加えて23年ぶりの女優復帰となる後藤久美子、往年のマドンナ役の浅丘ルリ子らが出演、主題歌をサザンオールスターズのリーダー桑田佳祐が歌っています。
監督:山田洋次 出演者:渥美清(車寅次郎)、吉岡秀隆(諏訪満男)、倍賞千恵子(諏訪さくら)、後藤久美子(イズミ・ブルーナ/及川泉)、前田吟(諏訪博)、浅丘ルリ子(リリー)、夏木マリ(原礼子)、池脇千鶴(高野節子)、美保純(朱美)、佐藤蛾次郎(源公)、桜田ひより(諏訪ユリ)、北山雅康(カフェくるまや店長・三平)、カンニング竹山(編集長・飯田)、濱田マリ(書店の客)、出川哲朗(出版社社員・山中)、松野太紀(ジャズ喫茶店長)、林家たま平(ケアセンターの職員)、立川志らく(噺家)、小林稔侍(窪田)、笹野高史(御前様)、橋爪功(及川一男)、桑田佳祐(桑田佳祐)ほか
映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
男はつらいよ お帰り 寅さんの予告編 動画
映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」解説
この解説記事には映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
男はつらいよ お帰り 寅さんのネタバレあらすじ:起
“フーテンの寅”こと車寅次郎(渥美清)の甥の諏訪満男(吉岡秀隆)は夢の中の砂浜でかつての想い人だった及川泉(後藤久美子)と会っていました。そして満男は中学3年生になる一人娘のユリ(桜田ひより)に起こされました…。(このあと桑田佳祐による主題歌歌唱に入ります)
第1作『男はつらいよ』(1969年)で産声を上げた満男も今や50歳、かつて勤めていた靴会社を辞めて今では小説家に転身していました。満男は6年前に妻を亡くしており、今ではユリと二人暮らしをしています。ユリが学校に向かった後、出版社に向かった満男は担当編集者の高野節子(池脇千鶴)から著書のサイン会開催を提案されますが、恥ずかしいからという理由で断りました。
後日、満男の亡き妻の七回忌が柴又の実家で営まれ、満男の母で寅さんの妹のさくら(倍賞千恵子)、満男の父・博(前田吟)、ユリ、妻の父・窪田(小林稔侍)らが集い、先代からその座を受け継いだ御前様(笹野高史)を迎え入れて法要が始まりました。満男はかつて両親の縁を取り持った寅さんのことを思い出していました。窪田や博の勤め先の“タコ社長”の娘・朱美(美保純)は満男に再婚を勧めますが、満男は余計なお世話だと乗り気ではありませんでした。
しかし、この賑やかな光景に、満男は物心ついた時からお茶の間が寅さんも交えて賑やかだったと振り返っていました。
男はつらいよ お帰り 寅さんのネタバレあらすじ:承
満男はかつて、寅さんに「人間は何のために生きているのか」と問いかけた時のことを思い出していました。寅さんの答えは「生きていてよかったと思う事のために生きているんじゃないかな」でした。
駅で満男とユリを見送るさくらは、満男の初恋の相手だった泉は今頃どうしているのかと思いました。泉は今やヨーロッパで結婚してイズミ・ブルーナと名乗り、国連難民高等弁務官事務所の職員として働いているのです。
そんなある日、結局都内の書店でサイン会を開くことになった満男は、見覚えのある女性からサインを頼まれました。イズミだったのです。久しぶりに再会を果たした満男はイズミを寅さんのかつての想い人だったリリー(浅丘ルリ子)の経営する神保町のジャズ喫茶に連れて行きました。イズミには既に二人の子がおり、満男も娘がいることまでは話しましたが、妻に先立たれたということまでは話せませんでした。リリーと再会を喜び合ったイズミは、どうして寅さんと結婚しなかったのかとリリーに問いかけてみました。リリーはかつて、さくらを通じて間接的にプロポーズを受けたことを明かしましたが、それを聞いた満男はいつも肝心な時に自分から逃げ出す寅さんの悪い癖を思い出しました。
満男はイズミを両親の住む柴又の実家の2階に泊めることにしました。さくらと博は喜んで迎え入れ、満男は明日、神奈川の介護施設で暮らす父・一男(橋爪功)に会いに行くというイズミを車で送る約束をして家路につきました。満男の家では高野がユリに英語を教えつつ帰りを待っており、飯田編集長(カンニング竹山)から依頼されている書き下ろし小説の話をしてきました。高野が帰った後、満男はかつて寅さんと一緒に旅に出た時のことを思い出しました。寅さんは自らの恋愛をはぐらかす満男に「思っているだけで言葉で言わないと何もしないと同じだ」と語っていました。
男はつらいよ お帰り 寅さんのネタバレあらすじ:転
翌日、満男は車でイズミを施設まで送っていきました。車中でイズミは満男の家族が羨ましいとこぼし、両親との関係がうまくいってなかったのでヨーロッパに行ったことを明かしました。施設ではイズミの母・原礼子(夏木マリ)が待っていました。かつて一男の浮気が原因で離婚したイズミの両親の間は今でもギクシャクしており、礼子が部屋を出た後に一男はイズミにそばにいてほしいと頼みますが、イズミはヨーロッパに家庭を持っているため断りました。
一男はイズミに1万円渡して孫に絵本でも買ってあげるよう告げますが、イズミが席を外した後に一男は満男に2万円をせがんできました。その後、礼子はイズミが家出した時のこと、そして寅さんに夫が出て行った時の胸の内を明かしたことを思い出していました。
その頃、柴又の満男の実家で留守番をしていたユリは朱美の息子・浩介(中澤準)と共に散歩に出かけ、その後祖父母からメロンをごちそうになりました。さくらはかつて一家でメロンを食べていたところにたまたま旅先から寅さんが帰ってきて自分の分がないことにごねていたことを思い出しました。
一方、満男はイズミと礼子を車に乗せて帰路につきましたが、万が一のことがあったら誰が一男の面倒を見るかについてイズミと礼子は口論になってしまい、礼子は怒って車から降りてしまいます。満男は伯父さんだったらイズミしか止める者はいないと言うはずだとイズミを諭し、イズミは礼子に謝りにいきました。その後、満男は柴又にユリを迎えに行きますが、ユリは父の帰りが遅いので祖父母の元に泊めてもらおうと考えていました。満男は明日にもヨーロッパに戻るイズミと離れる寂しさを寅さんに聞いてほしくてたまりませんでした。
男はつらいよ お帰り 寅さんの結末
翌日、満男は成田空港までイズミを送っていきました。満男は一男のことで力になると約束し、イズミは次に日本に帰ってきたら満男の妻に会いたいと言ってきました。満男はイズミの負担になると思って妻の死を明かさなかったことを打ち明け、イズミは「満男さんのそういう所が好き」とキスをしてきました。
イズミはヨーロッパに帰っていき、帰宅した満男はユリから「この3日間、パパは遠い所に行ってた気がしたから」と言われました。満男は高野に依頼されていた書き下ろし小説を書くと連絡し、タイトルを「お帰り 寅さん」と決めました。小説の中では、寅さんはものすごく美人な女房をめとって帰宅してきたのです。満男は寅さんから「困った事があったら風に向かって俺の名前を呼べ。どこからでも飛んで来るから」と言われたことを思い出していました。
以上、映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」のあらすじと結末でした。
「男はつらいよ お帰り 寅さん」感想・レビュー
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タイトルを真に受けて、本当に帰ってくるのかと思い、どんな形でよみがえらせるのか凄く楽しみでいた分拍子抜けしてしまいました。
映像をデジタル修正した回想録で、でも最後に未だ旅の空の下、齢80を超えても放浪している寅から、ハガキ1枚か電話一本くらいあるんしゃないかと期待してしまったので最後のオチには、えーっそういう意味だったの?
と、ごめんなさい山田さん、スタッフ俳優陣の皆さん、正直な感想はがっかりでした。 -
無理矢理作った、それしかない。
48作目が自分にとって最終作とします! -
男はつらいよってのは喜怒哀楽のバランスが絶妙なんだけど、この作品は哀だけでできてる感じ。
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私も48作が最終作です。満男と泉が抱き合う・キスするシーンは良かったんですが、48作目でそうしても良かった気がします。
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何故、仏壇に寅さんの写真が無いの?生きている設定?
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コロナ禍の一年半で1作目から順に全て観ました。相変わらず優しい諏訪夫妻。寅さんがいない喪失感より、まだそこに居てくれくれる細かい演出良かったです。フーテンの寅さんだけに、行き倒れになっているかも知れないけれど、ふらっと帰ってきてくれる雰囲気も感じました。ラストも良かった。泉ちゃんらしくミステリアスな退場。一つだけ残念なのは、矢切りの渡しや川の風景、町の情景が様変わりしたとしても、あったら良かったかな。徳永英明の歌もどこかに絡んでるも良かった。あと、啖呵売をもう少し聴いてみたかったなー。昭和、平成を旅した人懐こい優しい主人公。1作目の段階で既に肺が片方無かった渥美清さん。黒柳徹子さんが書いてましたが、お客さんに体調の悪さを気づかせたらウケなくなると病気を隠し通したプロ根性。完全に騙されてました。名優、名キャスト、名スタッフ、名観客と、これだけ時代を超えて愛される作品もないでしょう。山田監督ほか、ありがとうございました!
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冒頭から涙が止まりませんでした
寅さんそっくりな満男が一番受け継いではいけないところを受け継いでイズミとは違う女性と結婚してる設定もわかっていながら残念感満載です
イズミとイズミの父親に会いに行った帰りや空港のシーンはデジャヴのような錯覚に襲われました
男はつらいよとしては賛否ありでしょう
ただ男はつらいよと共に人生を歩んできた者への最高の贈り物だと思います -
気温差症候群やら何ならで、この数日で燻っていましたが、久しぶりにこの映画見て又もや
ありがとう!皆さん、ありがとう山田監督!!
ずっと寅さんが好きで良かったです♥
山田さん、次の映画を待ってます♥ -
ラスト、柴又に電車が到着する、そしてその電車から降りる男が1人・・ってオチにして欲しかった。足元だけ映して
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凄い映画だと思いました。もう映画の枠を出てしまっていると思いました。寅さんとともに生きた人たちへの最後のけじめとか後悔の共有的な映画だと思いました。劇中で寅さんの現在は語られません。なぜなら寅さんは生きている訳でも死んでいる訳でもないからです。そのことを観客の全員が知っています。それは、渥美清さんがもうこの世にいないから寅さんは出てこれないのです。生きてもいないけど死んでもいないのです。これが成立するのは驚異的だと思いました。
最後の満男が小説「おかえり寅さん」の冒頭の文章を書いて涙するシーンは我々観客と監督の後悔だと思いました。面白おかしく寅さんをかまって共に生きてきましたが、最後は寅さんと誰かと結婚させて幸せなエンディングにしてあげたかった。それが、本当に描きたかった「おかえり寅さん」なのだろうと感じました。 -
何回見ても飽きない。筋書き知っていても楽しく見ている土曜日の7ちゃんねる。いつも出てくる日本の源風景。配役が代わっても、山田監督の映画は素晴らしい。
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観る前は懐疑的でしたが、意外と寅さんを感じられる部分はありました。
ちなみに、英語のタイトルは「I wish you were there(寅さんがいてくれたら)」なんですよね。
満男の気持ち、ファンの気持ちをとても言い当ててると思います。こんな時代に、寅さんのような人が、「男はつらいよ」のような映画があったら、少しは生きるのも楽になりそうです。
満男君の回想シーンは亡くなった人がたくさん出てきて泣けてきました