タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜の紹介:2018年チェコ, ドイツ, フランス, ブルガリア, ルーマニア映画。第68回ベルリン国際映画祭で金熊賞と最優秀新人作品賞を受賞したヒューマンドラマです。強迫性障がいを抱える孤独な中年女性が病院でたまたま見かけた無毛症の男と車椅子の患者同士が互いの身体に触れ合うことで自分を見つめていく不思議なカウンセリングをきっかけに変わっていく様を描きます。
監督:アディナ・ピンティリエ 出演者:ローラ・ベンソン(ローラ)、トーマス・レマルキス(トーマス)、クリスチャン・バイエルライン(クリスチャン)、グリット・ウーレマン(グリット)、アディナ・ピンティリエ(アディナ)、ハンナ・ホフマン(ハンナ)、シーニー・ラブ(シーニー)、イルメナ・チチコワ(モナ)、レイナ ー・ステッフェン(ステファン)、ゲオルギ・ナルディエフ(エスコートする男性)、ディルク・ランゲ(ラドゥ)、アネット・サヴァリッシュ(看護師)ほか
映画「タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜」解説
この解説記事には映画「タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜のネタバレあらすじ:起
ドイツ。50歳前後の女性・ローラは強迫性障がいを抱えていました。ある日、ローラは自室に若い男娼を招き入れました。男娼は服を脱ぎ、シャワーを浴び、ローラはその様子を観察していました。ローラは男娼の体に彫られたタトゥーの文字が気になりましたが、男娼は個人的なことだとして詳細までは明かしませんでした。その後、男娼はローラのベッドの上で自慰行為を始め、ローラはただ黙って見つめるだけでした。男娼はそのまま帰っていきました。
ローラは時々入院中の父の見舞いに訪れていました。そんなある日、ローラは病院で白い服を着た謎の集団に出くわしました。集団は10人ほどで2人1組のペアになり、療法士のもとでグループセラピーのようなことを行なっていました。
療法士ラドゥはペア同士で見つめ合い、そして指でゆっくり相手の顔を触るよう指示しました。ってみろと言いました。参加者の中には無毛症の男トーマスと重度の障害で車椅子生活を送る男クリスチャンがいました。ペアになったトーマスとクリスチャンは互いに顔を触り合い、ラドゥ療法士は二人に何を感じたのか尋ねると、クリスチャンは「トーマスの魂を感じたけれども具体的には見えなかった」、トーマスは「顔は体のなかでも特徴的なものなので簡単なことではない。あまり近づくと崖から落ちるような感じ。顔に触れられるのは心地よいけれども怖い。口を触られるのは唾液や体液がある場所なので抵抗があった」と答えました。その様子を見ていたローラはそのまま父の病室へと向かいました。
タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜のネタバレあらすじ:承
帰宅してたローラはネットをチェックし、ハンナというトランスジェンダーの動画を見つけました。ハンナはカウンセリングをしていることから、興味を持ったローラはハンナを自宅に招き入れました。ローラは興味を持った理由を「ハンナの映像を見て心地よさを感じた」と語りました。
ハンナは音楽家である父の影響で幼少期からクラシック音楽、特にブラームスに慣れ親しんで育ってきたことを明かしました。ハンナは作曲家ブラームスの曲をかけ、ローラは「緊張は解けたけど距離は保ちたい」と語りました。
ハンナはローラの家に訪れる男娼の話を聞くと、自らも服を脱いで全裸になりました。ハンナが“女性”として生きる決断をしたのはちょうど50歳の頃であり、ローラが自分の生き方について考えるようになった頃と同じでした。
トーマスとクリスチャンはこの日もグループセラピーを受けていました。トーマスが無毛症になったのは13歳の頃で、後に性的なことに目覚めるまでは自分は身体を持っているという実感がなく。脳しかないように感じていたと振り返りました。その後、ローラはセラピーを終えたトーマスの後を尾行しました。トーマルはあるショップで服を試着していた女性モナを見つめ、モナが買わなかった服から彼女の髪の毛を入手しました。モナは遺伝で毛が多い体質でした。
ある時、ローラはシーニーという男性カウンセラーのカウンセリングを受けることになりました。今までローラは他者に触られることに拒否反応を示してきたのですが、シーニーはローラも感情を抑え込まず解き放つよう促しながらゆっくりとローラの体を触り始めました。ローラは最初のうちは拒絶しなかったものの、シーニーが軽く断りを入れてから胸を軽く叩くとローラは大声で叫び出しました。シーニーはそのままローラの体中を触ると、ローラは不快感を覚え、目に涙を浮かべました。
タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜のネタバレあらすじ:転
トーマスとクリスチャンはセラピーを続けていくうちに互いの身体に触れ合うことに慣れ、互いに心を開いて話し合うことができるようになっていました。ローラはまたもやセラピーを終えたトーマスの後をつけ、モナと待ち合わせているカフェへと行って様子を確認しました。
ローラは再びハンナを家に招きました。ハンナはローラにブラームスの話をしました。作曲家シューマンが脳の病気に罹り、孤独を抱えたシューマンの妻はブラームスと恋に落ちてしまいましたが、ブラームスは彼女を抱くことができず、辛い胸の内を全て音楽に注ぎ込んだということでした。
ローラがまだ抑圧があるのではないかと感じたハンナは服を脱ぎ、自分の胸を曝け出しました。ハンナは右の胸に「グスティ」、左の胸に「リロ」と名づけており、両胸は姉妹だとして性的嗜好に変なものは存在しないと語りました。
セラピーの中で、クリスチャンは自分の身体で一番好きな部位は目であり、続けて髪の毛や性器も好きだとトーマスに打ち明けました。クリスチャンは自分は重い障害だけれど性器は正常に機能しており、自分は特に障害については苦しんでいないと語りました。
トーマスは実はかつてモナと交際していましたが破局していました。トーマスはモナの家を訪れましたが、モナはもう終わったとして突き放しました。その後、トーマスはモナがある建物に入るのを尾行し、ローラもその様子を観察しました。この建物の中では多くの男女が集い、それぞれセックスをしていました。その中にはハンナやクリスチャンもおり、クリスチャンはパートナーのグリットと愛し合っていました。
タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜の結末
ローラは映画監督アディナ・ピンティリエの取材を受けていました。アディナはローラに自分が見た夢の話をしました。それは、アディナが恋人と抱き合おうとした際にその隣で母が横たわっているというものであり、アディナは母を追い出したものの母は再び現れたというものでした。アディナは誰かを必要とすると弱く傷つきやすくなると語り、自分を見失わずに人を愛することは難しいと感想を述べました。
トーマスはクリスチャンとグリットの二人には深い結びつきがあることを感じていました。一方、ローラはこの日もシーニーのカウンセリングを受けており、胸や下腹部を触られる度に不快感を覚えていました。シーニーは何かが変わるチャンスだとして、ローラに感情を包み隠さず曝け出すよう促しました。
ローラは父の入院する病院にイキ、父の目の前でレコードを割ってみせました。その後、道を歩くローラは野良犬の吠え声を聞き、叫び返しました。
トーマスはセラピーを通じて、自分がこれまで造っていた壁は外部から自分を守るものではなく足枷になっていたことに気づいていました。トーマスは例の店に行き、モナが男を平手打ちしているところ、そしてモナが男たちに触られているところを目撃しました。
ローラはトーマスに会いに行き、「裸の私を見てほしいの」と告げると服を脱ぎ始めました。トーマスはローラに自分のことを見ろと告げ、自分の顔を手で覆っていたローラは次第に心を開いていきました。ローラはトーマスと触れ合うことで、自分のへその緒は大人になっても繋がったままだと感じました。そしてローラは生まれた姿のままで音楽に合わせて激しく踊り始めました。
以上、映画「タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜」のあらすじと結末でした。
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