浮草物語の紹介:1934年日本映画。「出来ごころ」に続く喜八ものの第2作。のちに小津監督自身が「浮草」としてリメイクしている。ローアングル、独特の構図など、後の小津監督のスタイルが要所要所に見られ、ファンにとって興味深い過渡期の作品となっている。
監督:小津安二郎 出演:坂本武(喜八)、飯田蝶子(おつね)、三井秀男(信吉)、八雲理恵子(おたか)、坪内美子(おとき)
映画「浮草物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「浮草物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「浮草物語」解説
この解説記事には映画「浮草物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
浮草物語のネタバレあらすじ:起
ある地方の田舎町。夜遅く駅に列車が到着し、市川喜八の旅芝居一座が降り立ちます。4年ぶりの巡業でした。出迎えに来た世話役は以前一座にいた小さな子供が少年になり、まるで空豆のようだった少女が綺麗な娘になったことに驚かされます。翌朝、さっそく一座は小屋で準備にかかり、チラシを町で配布。座長の喜八は楽屋でおときにお灸をしてもらった後、他の座員の目を盗んで外へ出ますが、ゾロゾロと村の子供達が跡をつけてくるのに閉口します。間もなく彼は1軒の飲み屋へ。そこには女将のおつねがいて、彼を笑顔で迎えます。実はおつねは喜八の愛人で、彼らの間には信吉という息子までいたのです。
浮草物語のネタバレあらすじ:承
彼女から、息子が去年農学校を卒業し、今では補習科へ通っていることを聞き、喜八は少し悲しげな顔を見せます。喜八は、自分が父親だということを信吉に知らせず、伯父のふりをしていました。自分のような親父なら、いない方がましだ、と思っているのです。やがて信吉が帰宅。喜八は彼の体を盛んに触っては、息子が立派に育ったことに喜びを覚えます。その夜、芝居は初日の幕を開けます。「慶安太平記」で客席は盛り上がりますが、激しい雨で小屋はひどい雨漏りとなり、以後、客足はまばらとなります。金のない座員がずっと楽屋で無聊をかこっているというのに、喜八の方は毎日おつねの店へ。彼の女房おたかは、ベテラン座員の会話から愛人の存在に気づき、おつねの店へおときと共に出かけます。
浮草物語のネタバレあらすじ:転
喜八とおたかの間で喧嘩が始まり、間もなく女房の怒りの矛先がおつねと信吉に向かったため、喜八はその手を取って外へ。雨の中、喜八はおたかに対し、「お前とは縁を切る」と宣言し、その場を立ち去ります。おつねに対して嫉妬の炎を燃やすおたかは、おときに金を出し、信吉を誘惑するよう依頼。おときは早速補習科から帰ってきた信吉を逢びきへと誘い、2人きりで会って自分の色香に迷わせるのです。しかし、純粋な信吉の心に触れ、おときも本気になってしまいます。やがて2人の逢びき現場を目撃した喜八は、小屋へ帰ったおときを平手で殴打。「金目当てか」と聞かれて腹を立て、おたかの依頼の件を喋ってしまいます。喜八はおたかを散々殴りつけ、またおつねの店へ。驚いたことに信吉とおときはそのまま駆け落ちしていました。
浮草物語の結末
やがて興行の不入りのため、一座は金目のものを売り払って解散。喜八がおつねのところへゆくと、ちょうどそこへ駆け落ちを諦めた信吉も姿を見せます。おときも一緒でした。喜八がおときを殴ったのをきっかけに男2人が殴り合いを始めたため、ついおつねは喜八が父親だということを告白してしまいます。ショックを受けた信吉は喜八のことを罵り、2階へ。喜八はおつねに別れを告げ、駅へ向かいます。一方、おときの方はおつねの店に居つくことに。駅へ着いた喜八は偶然おたかと顔を合わせます。結局腐れ縁というしかない2人は一緒に汽車に乗り、上諏訪へと旅をすることになるのです。
「浮草物語」感想・レビュー
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本作は六度観ました❗何回見ても面白いですねぇ‼️無声映画の「予測感」を観客自信で創作出来る醍醐味に、痺れます‼️
「コミカル」ななかの「哀愁」がたまりません‼️素晴らしい「名作」です‼️ -
最後みんなそれぞれ、想いを持って生きていて、みんな、人生の主役なんだって 思いました。 神保町シアターでピアノ伴奏つきで 見ました
すっごく良かったです!
将に「浮き草」稼業の「悲哀」ですね❗小津ワールド満載のシーン「財布流れ」「蝶子母ゃん」との「別れ」ラストの汽車シーン「酒を交わす「八雲理恵子さんの「目」等、「哀しみ」が増します❗
小津監督の隠れた「名作」に乾杯しましょう