宇宙皇子(劇場版・地上編)の紹介:1989年日本映画。藤川桂介の小説「宇宙皇子 地上編」の劇場アニメーション。壬申の乱の最中に神の子の証である角を持った子供が生まれました。その子供は成長し「宇宙皇子」と言う名を与えられ、仲間と一緒に金剛山で修行に励んでいました。そんな時、朝廷から宇宙皇子に盗賊の盗伐を命じられますが、宇宙皇子は、盗賊の頭目である魚養から、普通の人民が食うに困り盗賊になってしまった実態を知らされます。そこで、宇宙皇子は、朝廷の権力者である藤原不比等の命を狙いますが失敗し、追われる立場となります。さらに、宇宙皇子は、金剛山の指導者である役小角から自分の進むべき道を自分で見つけるように言われ、苦悩していきます。
監督:吉田憲二 声優:宇宙皇子(古谷徹)、各務(山田栄子)、苦須里(木下浩之)、田加良(羽村京子)、釣(山寺宏一)、キジムナー(坂本千夏)、なよ竹(島本須美)、韓国広足(磯部勉)、藤原不比等(石田太郎)、多多良女(日高のり子)、魚養(池田秀一)、役小角(池田勝)
映画「宇宙皇子(地上編)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「宇宙皇子(地上編)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「宇宙皇子(地上編)」解説
この解説記事には映画「宇宙皇子(地上編)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
宇宙皇子のネタバレあらすじ:起
壬申の乱の最中に神の子の証である角を持った子供が生まれました。その子供は成長し「宇宙皇子」と言う名を与えられ、仲間と一緒に金剛山で修行に励んでいました。金剛山では、想像を超える霊力を備えた役小角が、数多くの弟子を育てながら、庶民の生活を救済するために活動していました。宇宙皇子も役小角の教えに従い、仲間達と共に横暴な役人を懲らしめるなど庶民を助ける行動をしていました。
ある日、宇宙皇子は、強力な仙術を持つ韓国広足に教えを乞うために戦いを挑みますが、返り討ちにあいました。しかし、韓国広足は、宇宙皇子に侮りがたい力を感じ、密かに朝廷の権力者である藤原不比等に要注意人物として宇宙皇子の事を報告しました。ある日、宇宙皇子に朝廷から都を騒がす盗賊を捕らえるよう命が下りました。
宇宙皇子とその仲間は、都を襲った盗賊を捕らえましたが、その者たちは、普通の庶民であり本当の盗賊ではありませんでした。盗賊の頭目である魚養は、藤原不比等が進めている国造りが庶民を苦しめていると言いました。魚養は、庶民が苦しんでいるのに動かない金剛山を批判し、藤原不比等を討つと言いましたが、宇宙皇子は、自分が代わりにやると言いました。
そして、藤原不比等を討つために朝廷に潜入した宇宙皇子でしたが、藤原不比等に気付かれてしまいます。藤原不比等は、自分を殺した後の事を何も考えていない宇宙皇子を批判し、さらに、自分は大陸に負けない国造りという使命のためにやっていると言うと、宇宙皇子は、藤原不比等の気概に押されて何もできず朝廷を後にしました。
宇宙皇子のネタバレあらすじ:承
その帰り、宇宙皇子は、藤原不比等が放った刺客に襲われ、重傷を負うもののかろうじて逃げ延びました。笛の音を聞いた宇宙皇子が立ち上がると、遠くに牛車に乗った笛を吹く貴婦人が見えました。宇宙皇子は牛車を追いかけますが追いつけず、そこで目を覚ましました。
目の前には1人の少女がおり、その少女が重傷を負って気を失った宇宙皇子を助けてくれたのでしたが、その少女は、魚養の妹の多多良女でした。魚養は、藤原不比等を討つ決意を固め、宇宙皇子に多多良女の事を託しました。その時、各務がやってきて金剛山に朝廷から兵士がやってきたと言いました。
朝廷軍は、藤原不比等襲撃犯である宇宙皇子の引き渡しを要求しますが、金剛山側はそれを拒否し、一触即発の状況となりますが、そこへ、役小角が現れ、自らに責任があるといって朝廷軍に連れていかれました。宇宙皇子は、役小角救出へ向かいますが、役小角はそれを止めました。
宇宙皇子は役小角に、なぜ庶民を苦しめる藤原不比等を倒そうとしないのか、と尋ねると、役小角は、藤原不比等を倒して飛鳥を救っても他の地域を救うことにはならない、と言いました。宇宙皇子は、ではどうすればいいのか、と尋ねますが、役小角は、葛藤し苦しむ中に答えはある、とだけ答え、去って行きました。
その頃、都に妖魔が現れ、人々を騒がしていました。藤原不比等は、宇宙皇子の力を利用することを考え、宇宙皇子に対し、宇宙皇子の免罪と大島に流罪となった役小角の罪の軽減の代わりに、妖魔退散を命じました。宇宙皇子は、さっそく都に行き、仲間と共に妖魔と対峙しますが、竜に変化した妖魔は強く苦戦します。しかし、かつて重傷を負った時に夢の中で聞いた笛の音が辺りに響き渡ると、竜の動きが鈍り、妖魔がその正体を現しました。
宇宙皇子は、簡単に妖魔を倒すと、妖魔は、ここに妖魔の国を作るためやったと言いました。その時、宇宙皇子は、妖魔だけでなく力なき者のための国を作ると言いました。宇宙皇子は、これまで力で戦う事だけ考えていましたが、妖魔との戦いでの笛の音を聞いて、力と力だけではない戦い方もあることに気付いたのでした。
宇宙皇子のネタバレあらすじ:転
宇宙皇子は、多多良女に新しい国作りのことを知らせに行きましたが、家に多多良女はいませんでした。そこに各務がやってきて、魚養が藤原不比等の屋敷に攻め込んだ、と言いました。しかし、魚養の襲撃は読まれており、魚養の仲間は待ち伏せしていた兵士に囲まれて次々と死んでいきました。
魚養は、なんとか屋敷の中に入り込みますが、多多良女を人質に取られ身動きすることができなくなりました。そして、魚養にとどめの攻撃が放たれますが、多多良女がかばってその身で攻撃を受けて倒れ、魚養もその後の攻撃を受け倒れました。そこにやってきた宇宙皇子が敵を倒しますが、魚養と多多良女を助けることはできませんでした。
宇宙皇子は、2人の死にショックを受け、新しい国造りをやり遂げることを誓いました。宇宙皇子の国造りは順調に進んでいました。ある日、妖魔が各務になよ竹というお姫様の話をしましたが、なよ竹が吹く笛の音が、宇宙皇子と妖魔が戦った時に聞いた笛の音とそっくり、と言うと、各務は、顔色を変えました。宇宙皇子が、笛を吹いた人と会いたがっていたためで、宇宙皇子に惹かれていた各務はなよ竹に会いに行きました。
なよ竹は、天上界に帰る日が近づいているが、そのためには宇宙皇子を会う必要があると言いました。なよ竹は、期日までに宇宙皇子に会えなければ地獄に落ちるかもしれない、と言いましたが、同時に宇宙皇子をいつかは結ばれる人と言ったため、各務はショックでその場から立ち去りました。
宇宙皇子の結末
宇宙皇子の国造りを知った藤綿野不比等は、宇宙皇子の国を制圧するために朝廷軍を派遣しました。宇宙皇子の元で国造りを行ってきた人々は、朝廷軍との戦いを前に士気を上げますが、宇宙皇子は、藤原不比等を倒して飛鳥を救っても他の地域を救うことにはならないという役小角の言葉を思い出していました。
そして、朝廷軍と宇宙皇子の国の人々の間で戦いが始まりますが、次第に朝廷軍が優勢となっていきました。その時、宇宙皇子は、人々に戦いを止めさせると、ここで培った新しい国造りをするという気持ちを持って各地に散らばり、その地で仲間と共に新たな国を作るように言いました。
宇宙皇子は、藤原不比等と戦うのではなく、新しい国造りの気持ちを広げることで、各地を救うことを選んだのでした。宇宙皇子は、人々を逃すために一人残り最後まで戦いましたが、多くの兵に囲まれ致命傷を負ってしまいました。
その時、宇宙皇子はあの笛の音を聞きました。宇宙皇子は、笛を吹いた人物が自分を呼んでいることを悟ると覚醒して巨大な不動明王に姿を変え、朝廷軍を一掃しました。元の姿に戻った宇宙皇子は、各務からなよ竹の事を聞くと、なよ竹の屋敷に向かいました。
なよ竹の屋敷に着いた宇宙皇子がなよ竹と対面すると、天上界から迎えが来て、なよ竹は空に上っていきました。宇宙皇子は、腕を鳥の翼に変えてなよ竹を追って空に上ると、そこで、なよ竹から自分が神の子であることを知らされました。
ただ、今の宇宙皇子では、なよ竹を追って天上界に帰るだけの力がないことから、宇宙皇子は、なよ竹に、神の力を得て必ずそこに行く、と誓うと、地上に帰って行きました。
以上、映画「宇宙皇子」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する