わるいやつらの紹介:1980年日本映画。松本清張の同名小説を映画化した作品。病院経営に行き詰り、赤字を埋めるために愛人達から金を巻き上げている悪徳医師。彼が思わぬ罠にはまり、身を破滅させていく様がスリリングに描かれたサスペンス映画です。
監督:野村芳太郎 出演者:松坂慶子(槙村隆子)、片岡孝夫(戸谷信一)、梶芽衣子(藤島チセ)、緒形拳(井上警部)、藤田まこと(下見沢作雄)
映画「わるいやつら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「わるいやつら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
わるいやつらの予告編 動画
映画「わるいやつら」解説
この解説記事には映画「わるいやつら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
わるいやつらのネタバレあらすじ:起
服飾デザイナー槇村隆子のファッションショーが行われています。ショーの成功とともに拍手で迎えられた隆子でしたが、乱入してきた男に殴られてしまいます。男は隆子に利用されたことを根に持っているのでした。ショーに招待された医師の戸谷信一は美しい隆子にご執心です。しかし戸谷には何人もの愛人がいます。愛人の一人である人妻の横武たつ子には、会うたびにフェナセチンという鎮痛剤を渡しています。戸谷と一緒になりたいたつ子は、この薬を毒薬だと信じ込み、病床の夫に飲ませています。戸谷は良心の呵責に苦しむたつ子を巧みに操り、金を引き出しているのでした。経営する病院が経営難で金銭的に追い込まれている戸谷は、たつ子や料亭のおかみである藤島チセを金づるとして利用しているのでした。そんな中、戸谷のもとにたつ子の夫が急死したという知らせが入ります。
わるいやつらのネタバレあらすじ:承
体内からヒ素が検出されたことで夫殺害の疑惑をかけられたたつ子は、戸谷を激しく責め立てます。たつ子の夫への殺害関与を疑われることを危惧した戸谷は、看護婦長のトヨの手を借りて、たつ子の殺害を企てます。心労が重なり衰弱している上、トヨから毒薬を注射されたたつ子はまもなく死亡します。戸谷は彼女の死因を心筋梗塞と偽って死亡診断書を書きます。ある夜酔いつぶれた隆子を送った戸谷は、彼女と一夜を共にします。別居中の妻からも高額な慰謝料を請求されており、一刻も早くまとまった金が必要な戸谷は、チセに用立ててもらおうと会いに行きます。夫が死ねば金が自由になると聞いた戸谷は、チセと共謀して夫を毒殺してしまいます。そして死因を心不全とした偽りの死亡診断書を書くのでした。戸谷に思いを寄せるトヨからは激しい束縛を受けるようになります。中でも隆子には異常なほどの敵意をむき出しにします。犯罪の全容を知るトヨに弱みを握られることに耐えられなくなった戸谷は、ホテルでトヨの首を絞め、神奈川の山中に捨ててしまうのでした。その後行方不明となったトヨへの捜索願いが出されます。
わるいやつらのネタバレあらすじ:転
戸谷は弁護士の下見沢に依頼し、病院の土地を担保にして、一億三千万円もの借金をします。銀行口座に預金が入っていることを確認した戸谷は、隆子をドライブに連れ出し、その金で彼女の気を引こうとします。一方でチセからも金を巻き上げようと考えていましたが、チセは海外へ出張しており連絡が取れません。自宅へ戻るとトヨの遺体が川越で見つかり、すでに火葬を済ませてきたと下見沢から報告を受けます。戸谷がトヨを捨てたのは神奈川であったことから、その遺体がトヨだとはどうしても信じることができません。戸谷はチセの料亭からこっそりと持ち出した茶碗などを小道具屋に売り付けたものの300万にしかならず、苛立ちを募らせていきます。隆子から避けられていることを感じた戸谷は、彼女の職場に乗り込みます。隆子は電話で戸谷の良からぬ噂を耳にしたことを告白します。トヨの仕業ではないかと疑惑を深めた戸谷は、遺体を捨てた山中へと車を走らせます。しかし捨てたはずの遺体は忽然と姿を消しており、トヨの生存を確信するのでした。借金をした企業からは一億円の返済を迫る督促状が届きます。慌てて銀行から預金を引き出そうとしますが、口座に残っているのがわずか二万円であることを知って驚愕します。戸谷は信頼していた下見沢に金をだまし取られたのでした。さらに警察からはチセの料亭から茶碗を盗んだ容疑をかけられ、参考人として警察に連行されます。
わるいやつらの結末
戸谷に待っていたのは井上警部からの厳しい尋問でした。たつ子やチセとの愛人関係を暴かれ、たつ子に毒薬を渡して夫を殺害させたのではないかと問い詰められます。たつ子に渡したのはただの風邪薬であることを訴える戸谷でしたが、彼の主張は受け入れられません。戸谷はたつ子やたつ子の夫、チセの夫への殺害容疑で警察に逮捕されます。トヨの殺害について問いつめられると、たつ子を殺したのはトヨで、彼女は今も生きていると口走ってしまいます。生存していたトヨはこの時すでに警察に逮捕されていました。井上から誘導尋問された戸谷はトヨを殺害しようとしたことをみずから認めてしまったのでした。捕まったトヨとチセには殺人幇助の罪で懲役一年、執行猶予3年の刑が確定し、戸谷には無期懲役が言い渡されます。その後下見沢を告訴しようと弁護士に相談しますが、下見沢は今では隆子の事務所のマネージャーをしていると聞かされます。下見沢は戸谷の実印を使って預金を引き出し、架空名義の口座を利用して金をだまし取ったものと考えれました。しかし詐欺を立証するだけの証拠もなく、告訴はあきらめるほかありません。戸谷は最後まで隆子を庇おうとしますが、下見沢と隆子は共謀者であり、最初から戸谷を罠に陥れるつもりだったのではないかと弁護士は見ているのでした。それから三年、刑が確定した戸谷は網走刑務所へと輸送されることになりました。船の中で戸谷は刑事からある事件が新聞を賑わせていると聞きます。それは下見沢がファッションショーで隆子を刺し、重症を追わせたというものでした。戸谷はどこかすっきりしたような表情を浮かべているのでした。
この映画の感想を投稿する