鷲と鷹の紹介:1957年日本映画。井上梅次監督が自らのオリジナル脚本を元に演出した海上ミステリー・アクション。専属契約を結んでいたため日活の作品への出演の多かった三國連太郎が、珍しく石原裕次郎と共演した点も魅力。のちに裕次郎作品を多く手がける舛田利雄が助監督を務めている。
監督:井上梅次 出演:石原裕次郎(野村千吉)、三國連太郎(佐々木)、浅丘ルリ子(明子)、月丘夢路(朱実)、長門裕之(吾郎)、二本柳寛(鬼鮫)、ほか
映画「鷲と鷹(1957年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「鷲と鷹(1957年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「鷲と鷹(1957年)」解説
この解説記事には映画「鷲と鷹(1957年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
鷲と鷹のネタバレあらすじ:起
深夜の門司港で、一人の船員がナイフで刺されて殺されます。口笛を吹きながら悠々とその場を立ち去る犯人――。港には海洋丸という貨物船が停泊していますが、殺された船員というのは海洋丸の一等航海士(チョーサー)吉江吾郎の父親でした。吾郎は警察から事情を聞かれるのですが、なぜ父親が殺されたのかさっぱり分かりません。しかも現場に残されていた凶器のナイフは、父親が昔シンガポールで買ったものでした。納得できない気持ちを抱えたまま、海洋丸に乗り込む吾郎。乗組員は吾郎にとって気心の知れた仲間ばかりですが、そこに新入りが二人混じっていました。ともに船員組合から来たという男たちです。それぞれ野村千吉、佐々木と名乗った彼らは両方とも変わり者で、何かを隠している雰囲気でした。胡乱な気配を漂わせながら、予定通りに正午に錨を上げた海洋丸。
鷲と鷹のネタバレあらすじ:承
やがて、香港へ向かう間に吾郎を困惑させる様々な事件や出来事が起こり始めます。まず、船長の鮫川(通称鬼鮫)の娘で吾郎の婚約者・明子が無断で船に乗り込んでいたこと、鬼鮫が自分の机の引き出しに凶器のナイフと同じものを閉まっていたこと、船員の誰かが口笛で吹いた曲に鬼鮫が過剰な反応を見せたこと……。さらに千吉を追いかけて朱実という飲み屋の女まで密航していたことが分かり、船内はいつもの航海とは違う雰囲気に。朱実を巡っては船員同士の喧嘩まで始まりますが、彼女が倉庫に引っ込むことでなんとか収拾がつきます。
鷲と鷹のネタバレあらすじ:転
やがて、再び甲板で口笛が聞こえ、鬼鮫は船長室から飛び出します。そこにいたのは千吉でした。どうやら父親の復讐のために彼は船長を狙っているようです。「正々堂々と決着をつけてやる」と宣言する千吉。船長はビクつきながらも精一杯威厳を示し、船長室に戻ります。そしてそこにやってきた吾郎に「お前の父親を殺したのは千吉だ」と告げ、千吉を殺さないかと持ちかけます。それを拒否し、直接千吉に掛け合った吾郎は、意外な話を聞かされることに。20年前、職にあぶれた3人の水兵がイカサマ会社を設立。そこで集めた金を持ち逃げし、彼らはこの海洋丸を買いました。ところが船籍登録のことで3人の仲は決裂。騙されて除け者にされたのが千吉の父親でした。そして残りの2人が鬼鮫と吾郎の父親――。結局千吉の父親は自殺のようにして死亡。身寄りがなくなった千吉は苦労しながら生きてきましたが、飲み屋で偶然吾郎の父親に遭遇。女将相手に話していた内容から父親の仇だと知り、カッとなって殺してしまったというのです。それではずみがつき、残りのひとりが海洋丸の船長だと分かってこの船に乗り込んだのでした。吾郎はショックを受けながらも復讐の虚しさを説きますが、千吉は聞く耳を持ちません。
鷲と鷹の結末
やがて救急ボートがなくなり、無線が壊されるなど、謎の事件が続発。吾郎は一旦千吉を疑いますが、犯人は別にいるようです。まもなく、積荷の酒のほとんどが水であることも発覚。どうやら船長が荷主と結託、船を難破させ、莫大な保険金を得ようとしていることが判明します。嵐の中、全員が船長に詰め寄りますが、その最中にエンジンが故障。このままでは波に飲まれて船が沈没する羽目に……。千吉は佐々木と一緒に故障部分を修理。なんとか船は助かりますが、船長は倒れてきたクレーンの下敷きになり死んでしまいます。嵐を乗り越えた船は用がなくなったため門司港へ。そこで佐々木は自分の身元を明かします。彼は千吉を追ってきた刑事でした。千吉は逮捕を覚悟しますが、仲間意識の芽生えた佐々木は手錠をかけず、「今日一日シャバへの名残を惜しむんだな。明日になった自首しろ」といって彼を自由にしてやるのでした。
石原裕次郎さんの良さがようやく分かりました。殺人犯の役なのに、まるで悪い奴に見えない、それは良い意味で。底抜けに明るくて、オーラがあって、元気が出てくる、勇気づけてくれる。そんなスター性があります。
役作りでは三國連太郎 さんの方が上なんですけど、石原裕次郎 さんの方が目立ってしまって、三國さんが少し困惑してる?感じがありますよね