ウォッチメンの紹介:2009年アメリカ映画。1980年代のアメリカ。ある条例によりヒーロー活動を禁止された時代。一人の男の殺害によりゆっくりと物語は動き始める。殺されたのは元ヒーローコメディアン。その死に違和感を覚えた同じく元ヒーローのロールシャッハはそれをヒーロー狩りだと考えた。そして時を同じくして一つの街だけではなく世界を巻き込む事件が動き初めていた。アメリカの同名コミック「ウォッチメン」の実写映画化。監督は「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」のザック・スナイダー。
監督:ザック・スナイダー 出演:マリン・アッカーマン(ローリー・ジュスペクツィク/シルク・スペクター)、ビリー・クラダップ(ジョン・オスターマン/DR.マンハッタン)、マシュー・グード(エイドリアン・ヴェイト/オジマンディアス)、カーラ・グギーノ(サリー・ジュピター/初代シルク・スペクター)、ジャッキー・アール・ヘイリー(ウォルター・コバックス/ロールシャッハ)、ジェフリー・ディーン・モーガン(エドワード・ブレイク/コメディアン)、パトリック・ウィルソン(ダン・ドライバーグ/ナイトオウル)、スティーヴン・マクハティ(ホリス・メイソン/初代ナイトオウル)、マット・フルーワー(エドガー・ジャコビ/モーロック)、ほか
映画「ウォッチメン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウォッチメン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ウォッチメン」解説
この解説記事には映画「ウォッチメン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウォッチメンのネタバレあらすじ:始まり
ある夜一人の男が殺された。部屋に残された写真には大統領と握手する男の姿。警察はその男が何者なのか分からずにいた。男の正体はコメディアンと呼ばれる元ヒーロー。ただでは死なないはずの男が殺されたことにより一人の男が動き出す。ロールシャッハも男も同じ元ヒーロー。かつての同僚が殺されたことに不信感を拭えない彼はコメディアンの死の真相を突き止めるため一人行動を開始する。彼の頭の中にはヒーロー狩りの文字が浮かぶ。この時代、とある条例によりヒーロー達の活動は禁止されていた。
ウォッチメンのネタバレあらすじ:研究
1980年代、世界は核戦争の恐怖に怯えていた。戦争の始まりを告げる終末時計は5分前をさしている。アメリカはソ連の攻撃に備えていた。その抑止力のために存在するのは神と崇められるDr.マンハッタン。人間という存在を超越した彼はある男と戦争を終わらすべく研究の日々を過ごしていた。Dr.マンハッタンと共に研究に明け暮れるのは元ヒーローオジマンディアス。アメリカ一の財政力を持つ彼もまた世界平和の為に身を犠牲にしていた。そんな二人に伝えられたのはコメディアンの死。しかしコメディアンに強い恨みを持つ二人は彼の死に驚いた様子を見せなかった。
ウォッチメンのネタバレあらすじ:再会
人間と関わることを止めてしまったDr.マンハッタンの唯一の世界との繋がり恋人のローリー。しかしそんな彼女も人間性を失いつつある彼から去ってしまうことになる。行き場を失くしたローリーが向かったのはかつての仲間、同じ元ヒーローとして活躍していたダニエルの元だった。久しぶりの再会、それを気に二人は距離を近づける。コメディアンの死の捜査をしていたロールシャッハもまた旧友ダニエルの元へとやってくる。そして二人はある人物に対し不信感を募らせた。それはやがて確信へと変わった。
ウォッチメンのネタバレあらすじ:世界平和
ダニエル達ははるか氷の大地へと向かっていた。そこにあるのは一つの基地。そしてそこにはオジマンディアスの姿があった。彼がコメディアンを殺した犯人だった。そしてその事件の真相が明らかになる。ダニエル達はオジマンディアスからの説明を受けようとした、その時。街で大規模な爆発が起こる。それはまるでDr.マンハッタンがワープする時に起こる衝撃波そのものだった。オジマンディアスは彼の起こす衝撃波を利用しその大爆発を起こした。その結果何百万人もの犠牲が出る。テレビに臨時ニュースが流れた。先ほどの大爆発で大規模な犠牲が出た。その結果、ロシアとアメリカは手を組むことになった、と。
ウォッチメンの結末
多大な犠牲が出たことによりオジマンディアスの考えた世界平和が誕生した。犯人はただ一人Dr.マンハッタン。彼はその事実を受け入れ地球から姿を消した。
「ウォッチメン」感想・レビュー
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個人の身の周りで起こる出来事は、時に国家の判断や世界情勢と深く関係しているものです。
この1980年代のアメリカン・コミックスを原作にした映画「ウォッチメン」は、一見無関係なマクロな状況とミクロな視点を融合させたエンターテインメント大作だ。
ヴェトナム戦争やジョン・F・ケネディ大統領暗殺、キューバ危機。20世紀のアメリカを揺るがし、震撼させた事件の陰に「ウォッチメン」と呼ばれる”監視者”たちがいた——。
だが、政府の命令で1977年に彼らの活動は禁止され、メンバーの中には一市民として日常を送るものもいた。
ニクソン大統領が政権を握り続けていた1985年のニューヨークでメンバーの一人、ブレイクが暗殺される。謎の男ロールシャッハが、科学実験で超人となったジョンや、事業を成功させて巨大な富を築いたエイドリアンら、かつてのメンバーを訪ね、事件の闇に迫っていく。
善と悪を絶対視せず、とことん暗いトーンでヒーローを描く手法は「ダークナイト」を連想させるが、構成はより複雑で、その世界観も壮大だ。
アフガニスタン情勢をめぐってアメリカとソ連の間の緊張は頂点に近づき、核戦争の恐怖が日増しに高まっていく。このように、予断を許さない政治サスペンスと、殺人事件をめぐるミステリーが並行し、時に交錯しながら進行していく。
超人が瞬時に空間移動するなど、フィクションであるのは明らかだが、安心しながら観ることはできない。”核の恐怖”と”敵国”に対する妄想に悩まされた時代の”空気”が実にリアルで、私の気持ちを不安にさせ、ストーリーに引きずり込むのだ。
宇宙や生命、倫理、アクション、ラブストーリーといった要素を詰め込みながらも、ザック・スナイダー監督は違和感なくまとめていると思う。
この映画は、21世紀の視覚効果が、20世紀の風景や衣装とこれまたうまく融合していて、私の感性を限りなく刺激するのだ。
アメリカの大作グラフィックノベルを実写映画化。私は、いわゆる「アメコミ」ヒーローの「絶対正義」でリアリティがない感じがあまり好きでないのだが、本作は、ヒーローが「正義とは何か」について苦悩し続ける姿が印象的だった。「ヒーローがいる世界の歴史」というif歴史を丁寧に考察しているのも面白い。ただし、元が長編漫画ゆえに元の漫画のウィキは事前にチェックしたほうが込み入った設定などが楽しめるかもしれない。