ウイラードの紹介:1971年アメリカ映画。ウイラードは会社では社長のパワハラに耐え、家ではお母さんの小言に耐える日々を送っている。彼の友だちはネズミたちだけだったが、ネズミの賢さは人の想像を超えるものだった。数百匹のネズミが人々を襲うホラー映画。演じるのは全部本物のネズミたち。自由気ままなネズミたちを相手に撮影は難航したと言われる。この作品の大ヒットにより続編『ベン』も製作された。ウイラードを演じたのは『いちご白書』のブルース・デイヴィソン。
監督:ダニエル・マン 出演者:ブルース・デイヴィソン(ウイラード・スタイルズ)、エルザ・ランチェスター(ヘンリエッタ・スタイルズ)、 アーネスト・ボーグナイン、(マーティン)、ソンドラ・ロック(ジョーン)、マイケル・ダンテ(ブラント)、ジョディ・ギルバート(シャーロット)ほか
映画「ウイラード」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウイラード」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ウイラード」解説
この解説記事には映画「ウイラード」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウイラードのネタバレあらすじ:ネズミをしつける
ところどころ傷んでいる豪邸に、身体の弱い母親と暮らすウイラードは、製造業の会社の営業部門に勤めていた。帰りがけにマーティン社長と腹心の部下のブラントの乗る自動車から呼び止められ、書類を押し付けられ、週末も家で働かなければならなくなる。
自宅に帰ると、「ハッピー・バースディ」と老人たちに迎えられる。ウイラードの27歳の誕生日のお祝いを、母と母の友人たちが準備していたのだ。だが、老人たちが会社での彼の弱い立場を知らず、人付き合いも大事だとか、お前は副社長になるべきだとか、好き勝手なことを言うのを嫌ってパーティーから逃げる。
今の会社は元々ウイラードの父の物だったが、現社長が乗っ取ったのだった。外に出たウイラードがネズミを見てバースディケーキをちぎって投げると、ネズミはそれを食べた。それが始まりだった。
週明けの会社では書類が完成していないことをマーティン社長に責められ、このままではクビだと言われる。だが、その日からウイラードの仕事を助けるために臨時に雇われたジョーンが同情するほど、ウイラードは大量の仕事を押し付けられていた。
母親に庭のネズミを始末しなさいと言われていたウイラード。庭の水槽に水を流してネズミを溺れさせようとしたが、ネズミの親子を不憫に思って生かしてしまう。やがて彼はネズミたちに「餌」等の言葉を教え始める。
特に一匹の白ネズミにソクラテスと、一匹の黒ネズミにベンと名付けてかわいがる。そして地下室でネズミたちは繁殖していった。
ウイラードのネタバレあらすじ:母の死
ある日、社長室に呼ばれたウイラードは、自分は夜も週末も働いているのに昇給がないと抗議する。だが、マーティンは彼を相手にせず、金が欲しければ俺に家を売れと言うだけ。そして他の社員の前でウイラードを能なし呼ばわりする。
その夜、マーティンは取り引き相手の人々を集めて庭でパーティーを開く。ウイラードはカバンにネズミたちを入れてその家に近づき、こっそりネズミを放つ。ネズミのせいでパーティーは大混乱になった。
翌日、会社に家から母親の具合が悪いという電話が来て、ウイラードは帰される。だが、帰宅すると母はもう死んでいて、しかも母の友人のシャーロットが勝手に、友人の葬儀屋に遺体をもう引き渡してしまっていた。
ウイラードのネタバレあらすじ:家を守る
母親の死は悲しみと同時にウイラードにとって解放でもあった。自動車を買い、土曜日、カバンにソクラテスとベンを入れて出勤する。午後は二匹のネズミといっしょに一人で仕事をするはずだった。ところが、土曜の遅く、ジョーンがウイラードへのプレゼントをもって会社にやってくる。
それはよりによって、クロエと名付けられたネコだった。ジョーンはウイラードが一人で寂しいと思ってネコを買ってくれたのだが、結局ウイラードドは後で、電話ボックスの中にいた男にクロエを押し付けて逃げてしまう。
その日、税金を払わないと家を売るという通知が来ていた。葬儀の後で知ったことだが、母は家を抵当に入れて金を借りていたのだった。ウイラードはネズミと暮らす家を売る気はないが、ネズミはどんどん増えているのに餌を買う金もない。金策のために母の友人たちを訪れるが、誰も助けてくれない。
だが、マーティンの友人がヨーロッパ旅行のために大量の現金を用意したことを会社で知る。ウイラードはその男の家に忍びこみ、ドアをネズミたちにかじらせて開け、ネズミに驚いて男とその妻が逃げたすきに金を奪った。
ウイラードのネタバレあらすじ:ネズミの恐怖
ウイラードの不動産を狙うマーティンはウイラードに家を売るように説得しろとジョーンに言うが、拒否される。その結果、ジョーンもウイラードも解雇を通告されてしまった。
その直後、女性社員が倉庫に隠れていたネズミに気づき悲鳴を上げる、マーティンは棒でつついてソクラテスを殺すが、ベンはじっとしていて気づかれなかった。ベンはソクラテスを見殺しにしたウイラードに失望したようだった。
夜、ウイラードはネズミたちと共に会社に行く。オフィスで遅くまで働いていたマーティンに、彼が自分にした仕打ちについて抗議してネズミをけしかけ、「かみ殺せ」と命じる。だが、ネズミに襲われたマーティンが窓を破って墜落死するのを見て怖くなり、ベンを残して帰ってしまう。さらに、家に残ったネズミを箱に入れて水槽の中で死なせる。
ウイラードの結末:賢いベン
翌日、マーティンの無残な死にショックを受けたジョーンを、ウイラードは初めて家に入れていっしょに食事をする。君とソクラテスのおかげで人生が変わったと言うウイラード。
だが、楽しい時間は続かない。ウイラードはベンが自分たちの様子をうかがっているのに気づく。地下室の扉を開けると、どこから入ったのか、ネズミたちがたむろしていた。
急いでジョーンを帰して、ウイラードはベンを殺害しようと殺虫剤を取り出すが、彼の狙いにベンは感づいているようだ。そこでウイラードは箒を振り回してベンを追いかける。だが物置におびき出される。
戸をかじり、開けて入ってくるネズミたちにウイラードが襲われ、かじられ、倒されるのをベンは眺めていた。
以上、映画「ウイラード」のあらすじと結末でした。
スティーヴン・ギルバートのベストセラー小説「ねずみ男の手帖」を、ダニエル・マン監督が映画化した「ウイラード」。
「いちご白書」で鮮烈な印象を残したブルース・デイヴィソン扮する、孤独な青年ウイラードが、ソクラテスとベンという二匹のねずみと仲良しになる。
その後、ねずみの大群を飼育し、亡夫の会社を乗っ取ったアーネスト・ボーグナインに復讐するが、ねずみ群がリーダーに率いられて凶暴化したため、会社の一室に閉じ込めて逃げ出す。
裏切りを知ったねずみたちは、大暴れを始めるという動物恐怖劇で、狙いはなかなか面白く、リーダーのベンが、にらみをきかすショットなど、実に不気味だ。
しかし、ダニエル・マン監督のサスペンス醸成が、あまり巧くないので盛り上がらず、安っぽい映画になってしまったのが残念だ。