酔いがさめたら、うちに帰ろう。の紹介:2010年日本映画。監督・脚本はベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した巨匠・東陽一。自分勝手だけど憎めない主人公・塚原安行を浅野忠信、その元妻役には永作博美が演じる。アルコール依存症に苦しむ主人公とその家族の愛の物語。
監督:東陽一 出演者:浅野忠信(塚原安行)、永作博美(園田由紀)、藤岡洋介(園田宏)、森くれあ(園田かおる)、市川実日子(湊麻美)、高田聖子(衣田医師)、柊瑠美(猪瀬看護師)、利重剛(三笠クリニック院長)、ほか
映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の予告編 動画
映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」解説
この解説記事には映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のネタバレあらすじ:起
「来週は素面で家族と会うのです」と言いながら、浴びるように酒を飲み、ついにはトイレで吐血して倒れた戦場カメラマンの塚原安行(浅野忠信)。一緒に暮らしていた母がトイレで倒れている安行を発見し、急いで救急車を呼びます。
そして、母親が救急隊員に掛かり付けの病院を伝えていると、そこへ連絡を受けた園田由紀(永作博美)が駆けつけました。病院へは母親が付き添い、子供を家に残してきた由紀は家に戻ります。
医師の的確な処置によって何とか助かり、病院へ運ばれてから三日後にようやく目覚めた安行。ベットの横には母親がうたた寝をしています。医師からは、「もしものことを考えておいてほしい」と言われていた母親は、目を覚ました安行を見てほっとしました。
倒れたのはこれが初めてではなく、10回目の吐血です。「死にたければどこか一人で行って、家族を巻き添えにしないで」と話す母親。そしてこの日は由紀が来る予定だと話していると、そこへ由紀が二人の子供を連れて病室に入ってきました。
由紀と安行は結婚し、一男一女に恵まれました。しかし安行のアルコール依存症が原因で離婚。今は別々に暮らしています。見舞いに来た由紀に、「これからはアルコールを辞めて、アルコール専門の病院で治療する」と約束する安行。
きっぱりと酒はやめて治療に専念すると話す安行を信じた由紀は、知り合いの医師に相談します。アルコール依存症患者がアルコールを辞めることは容易ではないことを話す医師。何が原因で酒を飲むのかもはっきりとはわかっていないため、そう簡単になおらないのだと医師は話します。
由紀は、安行が報道写真家のころに海外で地獄を見たのが原因だと思っていますが、本当のところなぜアルコールに走るのかわかっていません。そして実は安行の父親もアルコール依存症だった過去があり、とにかく安行を早く依存症から抜け出してやりたい由紀。医師からは、「誰も同情してくれない。家族にもそれ相当の家族が必要です」と言われ、由紀は深く頷くのでした。
そして、「離婚したにもかかわらず、なぜ元夫を親身に世話するのですか?」と尋ねられた由紀は、「一度好きになった相手で、子供たちの父親だから」と話しました。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のネタバレあらすじ:承
二人がまだ結婚していた頃、酒を飲んだ安行が暴力を振るい、由紀も子供も散々な日々を過ごしていました。子供たちは酒を飲んで暴れる父親を恐れ、由紀がせっかく書いた原稿を安行に破り捨てられたこともあり、二人は離婚にいたりました。
退院した安行は、母親に連れられて由紀が紹介した病院へ行きます。母親は「子どものことだけは考えて生きなさい」と安行に伝えます。すると「自分の父親は自分のことは全く考えていなかった」と話す安行。二人に沈黙が流れます。
病院の医師と話した結果、安行は通院して治療することにしました。抗酒剤を出され、睡眠薬ももらいます。抗酒剤を飲んで酒を飲むと、気持ちが悪くなり、これで酒をたつことができるはずです。
休日、公園で由紀や子供たちと会ったあと、安行はすし屋に行きました。そして奈良漬けを食べてしまい、その後すぐに店で酒をたくさん飲んで倒れて、頭から血を流して倒れてしまいます。そんなこともあり、後日母親に連れられて安行はついに精神科病棟に入院することになりました。
安行は嫌なことがあるとふいに怒鳴る癖があります。そのことで看護師や医師を困らせてしまいますが、本人は全く気が付いていません。医師から安定剤を処方され、数日後にはアルコール病棟へ移されました。
アルコール病棟は閉鎖病棟で、患者は男性ばかりです。精神科病棟よりも閉鎖的な環境となり、独特の雰囲気がありました。医師からは「次倒れると、緊急手術をしても助からない」と言われ、死にリーチがかかっているとまで言われてしまいました。
たまに由紀や子供たちが病院へ会いに来てくれて、医師と話している時、安行は急に気を失って倒れてしまいます。肺に穴があいていて、二週間病院へ入院することが決まりました。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のネタバレあらすじ:転
退院した安行がアルコール病棟へ戻ってくると、他の入院患者や看護師たちから温かく迎えてもらうことができました。アルコール病棟の入院患者の中では役割が決まっており、会長や書記、食事係などの役割がありました。安行が戻って来た日、それまで食事係だった新入りの男性が辞めさせられて、代わりに安行が食事係をすることになります。
しかしそのことに腹を立てた男性が安行を殴ってしまい、安行は鼻から血を流して倒れてしまいます。このこともあって会長を務めていた男性が外出したまま脱走してしまいます。会長がいなくなり、新しく会長兼食事係となった安行。
症状が改善し、面会に来た由紀や子供たちとこの日は外出を楽しむ安行。「もし退院出来たら、みんなで一緒に暮らしたい」と話す安行に由紀は微笑み返します。家族の深い愛情に支えられ、体力も心も次第に回復する安行ですが、その頃、由紀は知り合いの医師から安行がもう長くはないと聞かされていました。最期が近いので、すべてを受け入れ家族で過ごすよう勧められ、由紀は悲みと喜びとの両方を感じ、複雑な気持ちでいました。
ある夜、眠れない安行は翌日に退院する患者の男と二人で話をします。その男は両親に捨てられ、義理の父と母に育てられました。義理父はいい人でしたが、義理母は意地悪で、14才の頃から酒を飲んでいました。30才の頃にはアルコール依存症状態で、車で義理の父と走っていた時に事故を起こして義理の父親は亡くなり、自分だけが助かってしまいました。その話を聞いて、深く考える安行。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の結末
翌日、検査結果を聞きに行くために一人で病院へ向かう安行。腎臓がんだと宣告されました。しかも手術はできないと言われ、落ち込む安行。病院からまだ安行が戻らないと連絡を受けた由紀が心配して安行を探していると、川で一人たたずむ安行がいました。久しぶりに二人で川沿いに座り、並んで話をします。
そしてついにアルコール病棟を退院する日になります。アルコール依存症だった父親を見て育ち、自分も中学のころから酒を飲んでいた安行。東京で知り合った戦場カメラマンの影響でバンコク等の様々な国を訪れ、悲惨な状況を目の当たりにしてきました。それで酒の量が増え、結婚したにもかかわらず嫌いな父親と同じ状況になってしまいます。自分の生い立ちなどを他の入院患者に話す安行。
その後風呂に入った安行は、そのまま気を失ってしまいます。次に目が覚めると、家族が安行を覗いていました。「また家族みんなで暮らすことができる」と嬉しそうな由紀。
それから3か月後、家族と一緒にリビングでテレビを見ている安行。「まだ生きてるね」と言いつつ、「どんなに悲惨な人生でも生きていたほうがいい」と、由紀は話します。いつも家族の前では明るく笑顔の由紀ですが、一人台所で泣き崩れます。その様子をそっと陰で見ている子供たち。
ある日、海に家族で出掛けることにしました。子供たちは安行と波で戯れます。しかし由紀には、手を振って去っていく安行の幻想が見えるのでした。
以上、映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のあらすじと結末でした。
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