ゾディアックの紹介:2006年アメリカ映画。「セブン」や「ファイト・クラブ」で有名なデヴィッド・フィンチャー監督による本格サスペンス。実際にアメリカで起きた連続殺人、ゾディアック事件を原題としている。
監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ジェイク・ギレンホール(ロバート・グレイスミス)、マーク・ラファロ(デイブ・トースキー刑事)、ロバート・ダウニー・Jr(ポール・エイブリー)、アンソニー・エドワーズ(ウィリアム・アームストロング刑事)、ほか
映画「ゾディアック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ゾディアック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ゾディアックの予告編 動画
映画「ゾディアック」解説
この解説記事には映画「ゾディアック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ゾディアックのネタバレあらすじ:起
時は1969年、カリフォルア州で一軒の殺人事件が発生しました。そしてその1ヶ月後、新聞社に犯人からと思われる手紙が届きます。その手紙には自分が2つの殺人に関与している事、そして暗号文が記載されていました。その暗号文が解けなければ大量殺人を起こすというのです。新聞社はこの暗号を読み解くために、新聞に大々的な掲載し、住民達の協力も仰ぎます。そして、サンフランシスコで暮らす歴史教師の夫婦がその解読に成功するのでした。
ゾディアックのネタバレあらすじ:承
この夫婦の活躍により大量虐殺は免れましたが、しかしその1ヶ月半後、新たな犠牲者が出ます。湖に遊びに来ていたカップルが、ゾディアックと思しき犯人にナイフでメッタ刺しにされたのです。その2週間後にも、タクシー運転手が頭を銃で撃たれ殺害されました。ゾディアックの犯行を止めるべく、ゾディアック操作の第一責任者に任命されたのがデイヴィット・トスキとビル・アームストロングという刑事です。ゾディアックが流す数々のデマ情報に踊らされながらも、2人は1人の人物に容疑を定めつつありました。
ゾディアックのネタバレあらすじ:転
その人物の名前はリー・アレン、ですが結局筆跡がゾディアックが送ってきたものと一致せず、逮捕には至りませんでした。その後も、ゾディアックを巡る長い捜査が続きます。その長い年月に、ゾディアックを追う側の人物達も疲れ果てて行きました。敏腕記者であったエイブリーは酒に溺れ、ビルは異動願いを提出し、デイヴィットはなんとゾディアックの手紙を捏造したのではないかという疑惑をかけられていました。その中で唯一、風刺画家であるグレイスミスは執拗にゾディアックの調査を進めるのでした。
ゾディアックの結末
グレイスミスは独自の調査で、何とゾディアックの誕生日と当時のあだ名まで突き止めました。そしてそれは、かつて2人の刑事が容疑をかけていたリー・アレンの特徴と全く一致する内容だったのです。グレイスミスはリー・アレンこそがやはりゾディアックであると考え、自身の調べをまとめた著作を発表しました。警察もリーを再びゾディアックとして本格的に捜査を始めますが、DNA鑑定ではその証拠を発見できず、そして捜査の途中に何とリーが心臓発作で他界してしまうのです。こうしてゾディアック事件は、その真相が紐解かれる事のないまま終わりを迎えるのでした。
「ゾディアック」感想・レビュー
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この映画はデビッド・フィンチャー監督作品で、フィンチャーが連続殺人事件を描いたということから、出世作の「セブン」を思い出した。
だが、この映画「ゾディアック」が「セブン」と大きく異なるのは、ここで描かれているのが実際に起こった事件であり、いまだ未解決という点だ。
それと惨殺死体だけを見せた「セブン」に対して、こちらは犯行そのものを映していく。
しかも、このときのカメラが容赦ないんですね。次々と有力情報がもたらされるものの、どれも実ることはなく、結局は空振りに終わってしまう。
この描き方がドキュメンタリーとまでは言わないにしても、少し引いた目線で描かれる。ところが、それがある瞬間、一気に身も凍るスリラーへと変わる。
この話法の転換が実に見事でしたね。犯人の挑発、自己顕示欲。それにマスコミが乗ったことで、モンスターのようにその像を膨らませていった。
そして、そのことがまた真実を知りたいという男たちの執念をさらに増幅させる。
しかし、もがけばもがくほど一様に深みにハマっていく。まさに底なし沼。フィンチャーは、そんな事件に魅入られた男たちをひとりに絞ることなく複数描くことで、この事件が生み出した不条理そのものをあぶり出しているようにも見える。
論理では決して割り切れない、人間の不可解な心理と行動。
そういう意味でも、実に見応えのある映画だった。
アメリカで実際に起きた連続殺人事件「ゾディアック事件」を題材にしたサスペンス作品。原作は当時新聞社で風刺画家をしていたグレイスミス氏のルポです。主要人物が実在の人物なので人物造形やディテールが凝っていて個性的です。一連の事件も一つ一つが丹念に描かれていて怖いくらいにリアルです。デヴィッド・フィンチャー流の映像表現が随所に見られ、音楽のチョイスもすばらしい。