ZOOの紹介:2004年日本映画。人気作家乙一の同名短編小説集から5編を選出し、映画化した作品。5人の監督が多彩な演出で1編ずつを担当するコンピレーション・ムービーである。恐怖、戦慄、愛情を描くそれぞれの物語には、予想だにしないラストが待ち受ける。
監督:金田龍(「カザリとヨーコ」)、安達正軌(「SEVEN ROOMS」)、水﨑淳平(「陽だまりの詩(シ)」)、小宮雅哲(「SO-far そ・ふぁー」)、安藤尋(「ZOO」) 出演者:小林涼子(「カザリとヨーコ」ヨーコ/カザリ)、市川由衣(「SEVEN ROOMS」リミコ)、鈴木かすみ(「陽だまりの詩(シ)」私)、神木隆之介(「SO-far そ・ふぁー」ボク)、村上淳(「ZOO」男)ほか
映画「ZOO」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ZOO」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ZOO」解説
この解説記事には映画「ZOO」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ZOOのネタバレあらすじと結末:「カザリとヨーコ」
カザリとヨーコは一卵性双生児。しかし母が可愛がるのは妹カザリだけで、姉のヨーコは虐待されていました。ヨーコはある日迷い犬アソを見つけ、飼い主スズキに届けた縁で親しくなります。意気投合した二人はいつか一緒に旅に出ようと約束し、ヨーコはお気に入りの本とスズキ宅の鍵をもらいます。しかし本が母に見つかってしまい、激しい暴力の末に没収されてしまいます。諦められないヨーコは母の不在中に部屋に忍び込み、本のカバーに隠してあった鍵を取り戻します。そんなヨーコに近づく足音。部屋に入って来たのはカザリでした。ヨーコは壁とベッドの隙間で息を殺します。母のCDを勝手に持ち出そうとするカザリでしたが、うっかり花瓶を倒して母のパソコンを壊してしまいます。カザリはヨーコの仕業にしようと思いつき、ヨーコの本を持って部屋を出ていきました。母の怒りを恐れたヨーコはスズキの家に走りますが、彼女は急逝していました。逃げ場を失ったヨーコの中で何かが芽生えます。ヨーコは外でカザリに声をかけ、母がパソコンを壊したカザリに激怒していると嘘をつきます。叱られるのを嫌がるカザリに、ヨーコは身代わりを申し出ます。ヨーコはカザリに、カザリはヨーコに変装するのです。先に帰宅したカザリ。ヨーコは外でじっと「その時」を待ちます。やがて響いた衝撃音の方向へ走ると、ヨーコの姿をしたカザリが転落死していました。早朝、ヨーコはこっそり家を出ます。少ない荷物とアソを連れ、ヨーコは旅に出ました。新しい人生を歩み始めた彼女は、とても晴れやかな笑顔をしていました。
ZOOのネタバレあらすじと結末:「SEVEN ROOMS」
リミコはコンクリートに囲まれた狭い部屋で目を覚ましました。部屋にはドアが1つと、その反対側に排水溝があり水が流れています。リミコは弟サトシと一緒に、何者かに拉致監禁されてしまったのです。幼いサトシが狭い排水溝に入り出口を探しますが、上流にも下流にも柵があって脱出は不可能でした。サトシの報告から状況を整理するリミコ。まず、二人が閉じ込められているのと同じような部屋が横一列に全部で7つ。ひと部屋に一人ずつ女性が監禁され、1つだけ誰もいない部屋があります。毎日新しく女性が連れて来られることと、そして監禁されてから6日目に誘拐犯に殺害されるという事実が判明。排水溝を流れる大量の血と肉体の一部を見て姉弟は絶望します。部屋のドアがかんぬきで閉ざされていると知ったリミコは、ある計画を立てます。リミコたちが監禁されて6日目。犯人が来る前にリミコは電球を壊し部屋を真っ暗にしました。かんぬきが外れ、チェーンソーを持った長身の男が入ってきます。サトシを背後に庇いながら部屋の奥へ逃げるリミコ。無慈悲に振り下ろされたチェーンソーはサトシを狙いますが、実はそれは他の女性たちから集めた衣服で作った人形でした。本物のサトシはドアのすぐ横に隠れていました。リミコの合図で部屋の外からドアを閉めてかんぬきをかけ、犯人を姉もろとも部屋に閉じ込めるサトシ。リミコは自分を犠牲にサトシと他の女性たちを助けたのです。女性を全員救出したサトシは、リミコを助けたいと葛藤します。しかし女性たちに促され、静かに外へと続く階段を上っていきました。
ZOOのネタバレあらすじと結末:「陽だまりの詩(シ)」(※アニメーション作品)
「私」は一人の男に作られた女性型アンドロイド。目覚めた「私」に、彼は作った理由を話します。近いうちに死亡する自分を埋葬してほしい、そのために死を学んでほしいと言うのです。しばらくはほぼ無感情だった「私」でしたが、次第に動植物に関心を持つようになります。しかしある豪雨の日、崖下に落ちた兎を助けようとして「私」も転落。大きな損傷を負った彼女は兎を直してほしいと頼みますが、兎はもう死んでいました。「私」はあまりにも悲しい死という現象を学びます。男は自分の残り時間を秒単位で正確に把握していました。彼もまた、150年前に作られたアンドロイドだったのです。人間が死滅した世界で、アンドロイドたちは長い間自分を埋葬するアンドロイドを作るというサイクルを続けてきました。しかし、「私」を作ったのは自分自身の意志だと男は語ります。彼はこの世界に生まれたことを幸福に感じていました。やがて男は活動を停止し、「私」は彼を埋葬しました。一人きりになった「私」は、陽だまりの世界で眩しそうに空を見上げるのでした。
ZOOのネタバレあらすじと結末:「SO-far そ・ふぁー」
ある夜を境に、「ボク」の両親は互いの姿が見えなくなってしまいました。父の世界では母が、母の世界では父が交通事故で死亡したらしいのです。「ボク」は困惑しながらも、両親どちらも見えること、二人の仲立ちができることを伝えます。しかし元々冷え切っていた両親は喧嘩を始め、互いを傷つけるための言葉を「ボク」に運ばせ続けます。強いストレスを感じた「ボク」は、突然両親のどちらかしか見えなくなってしまいました。父の世界と母の世界を行き来する「ボク」。辛い状況に家を飛び出し、公園で泣いている「ボク」を迎えに来たのは母でした。そこで「ボク」は、母の世界で生きることを選択します。その日から「ボク」には父の姿が見えなくなりました。後日、母は「ボク」を病院に連れていきます。「ボク」の横には母が、そして後ろには父がいました。あの夜、帰りの車中で喧嘩をした二人は相手を死亡したものとして生活すると決め、何も知らない「ボク」にもそれを強要したのです。その結果「ボク」に父が見えなくなってしまったと医師は言います。「ボク」は家の庭で母の姿を見つめます。父が手を振っても気づきません。落胆する父を励ますように笑う母。そんな母に、父も笑い返しました。「ボク」はとても満足そうです。「ボク」は嘘をつくことで、幸せな家庭を守ったのです。穏やかな母と父の姿を見ながら、「ボク」は無邪気に微笑むのでした。
ZOOのネタバレあらすじと結末:「ZOO」
電話の音で男は飛び起きました。机の上には白骨化した遺体の写真。男には以前恋人がいました。ミステリアスな魅力に富んだ彼女を撮影するのが男は好きでしたが、女は嫌がっていました。そして92日前。二人はドライブ中に廃園となった動物園を見つけ、中に入ります。園内を歩きながら、彼女は幼いころずっとシマウマを眺めていた思い出を語ります。その様子を男は思わずカメラで撮ってしまいました。女は唐突に別れ話を切り出します。必死に取りすがる男と、冷たく拒絶する女。男は逆上し、衝動的に彼女を殺害してしまいます。園内に遺体を隠し車で逃げ去った男でしたが、次の日から毎日動物園を訪れ、1日1枚ずつ腐乱していく女の遺体を撮影しました。しかし、ある日突然動物園は消えてしまいました。自宅に帰った男は夢の中で女と愛し合います。そこへまた電話の音。物音がした外へ男が飛び出すと、ポストに白骨化した女の写真が1枚届いていました。電話を取ると殺害したはずの女の声がします。次第に夢と現実の境が曖昧になり、狂気にのまれていく男。生きている女を最後に撮影した写真には、いないはずのシマウマが写っています。そして夜、車を走らせる男の視線の先に、動物園は再び現れるのでした。
以上、映画ZOOのあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する