KOTOKOの紹介:2011年日本映画。世界が二重に見える原因不明の病を抱えたシングルマザー、琴子の息子への過剰な愛と母性。リアリティー溢れる歌詞で無二の存在感を放つ沖縄出身歌手、Coccoと「ヴィタール」「野火」などマニアックな世界観が特徴の映画監督、塚本晋也がタッグを組んだ共作。原案、美術、音楽をCoccoが手掛け、この作品はベネチア国際映画祭で最優秀作品賞と併設部門のシルバーマウス賞を受賞した。
監督:塚本晋也 出演:Cocco(琴子)、塚本晋也(田中清太郎)、KOTO(大二朗)真喜志佐和子(琴子の姉)ほか
映画「KOTOKO」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「KOTOKO」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
KOTOKOの予告編 動画
映画「KOTOKO」解説
この解説記事には映画「KOTOKO」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
KOTOKOのネタバレあらすじ:起
琴子は幼い頃の「ある出来事」がきっかけで日常の人や物が2つに見えてしまう心の病気を抱えながら、未婚で生んだ一人息子、大二朗を育てていました。友達も子育て支援も利用せず、病気の影響で世の中に敵意と警戒心を抱く琴子。「死にたい」のではなく、自分の「生存確認」をするために腕を傷付ける癖もあります。泣き出す息子を何度か外に連れ出しても出逢った見知らぬ人が「善」と「悪」の人物に見えてしまい、現実の区別がつかず、他人に危害を加えて引っ越しを余儀なくされるのでした。
KOTOKOのネタバレあらすじ:承
それでも、琴子自身は彼を養う為に仕事をしています。最初は雑貨屋、その次は不動産事務。周囲が琴子の様子を不審に疑い、琴子は虐待の疑いをかけられ、大二朗を沖縄にいる姉の実家へと預けます。琴子は転職した不動産事務の仕事に奮闘しながら、休暇を利用して大二朗とのささやかな親子の時間を過ごすのでした。ある日、琴子が大二朗に会いに行く為に乗っていたバスに同乗していた田中という小説家が琴子に一目惚れして彼女の後をついてきます。田中は琴子に結婚を前提に付き合ってほしいと不器用ながらアプローチを繰り返すのですが、他人に不信感を募らせる琴子は田中に暴力を振るって拒絶し続けます。しかし、田中は琴子にどんなに攻撃されても、彼女が妄想と現実を行き来して混乱をきたしても根気強く優しく接するのです。
KOTOKOのネタバレあらすじ:転
暴力はやめませんが、田中となら大二朗を一緒に育ててゆけるのではないかと淡い期待を胸に抱く琴子。「ようやく世界が一つになった」大丈夫だと思っていた矢先、大二朗が琴子の元へ帰ってくる日に、田中は忽然と姿を消します。琴子が掴んだ幸せは崩れ、大二朗さえも2人に見えてしまいました。テレビに映るテロや、子どもが亡くなる事件を見るうちに、琴子は大二朗を「守る」ために彼の幼い首に手を掛けようとします。「この子が知らない所で知らない人に引きずり回されるのはいやだ。そのとき自分が助けられなくなるのもいやだ。だったら私が殺してあげる。痛くないように尊厳を持って・・・」
KOTOKOの結末
琴子は再び、仮想世界へと誘われ、我を忘れます。気が付けば精神病院にいて、息子とは再び引き離されていたのでした。大二朗は生きていて、思春期に成長した元気な彼は琴子の面会に来ました。琴子とそっくりの優しい笑顔と、かつて母が彼に折ってくれた鶴を残して・・・。琴子は無言で涙を流しながら学校での出来事を話す大二朗の明るい声に耳を傾けるだけです。面会時間が終り、大二朗は「また来るね、母さん」と言って病院を後にします。傍観者のように彼をぼんやり見つめる母親に手を振りながら雨の中を走り去る大二朗とそれを何も言わず「見守る」琴子で物語は終了します。
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