細雪の紹介:1983年日本映画。谷崎潤一郎の『細雪』が原作。関西を舞台にして、三女の縁談、四女の恋愛騒動を中心に、船場育ちの四姉妹の一年間を、独特の船場言葉で描いた映画です。
監督:市川崑 出演:岸惠子(蒔岡鶴子)、佐久間良子(蒔岡幸子)、吉永小百合(蒔岡雪子)、古手川祐子(蒔岡妙子)、伊丹十三(辰雄:鶴子の夫)、石坂浩二(貞之助:幸子の夫)、ほか
映画「細雪 (1983年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「細雪 (1983年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「細雪 (1983年)」解説
この解説記事には映画「細雪 (1983年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
細雪のネタバレあらすじ:起
大阪の船場(せんば)で由緒ある商家だった蒔岡家ですが、父親の借金で船場の家や店は手放し、本家の長女は銀行員の婿養子辰雄や子供たちと上本町に暮らしています。次女の幸子は百貨店勤務の婿養子、貞之助や娘と芦屋の分家で暮らしています。独身の三女雪子と四女妙子も分家に同居していますが、2人の生活費は本家から出ています。四姉妹は毎年恒例の花見のために、京都の料亭に集まりますが、雪子の縁談の話しになり、幸子が進める雪子の縁談を鶴子が反対し喧嘩になります。
細雪のネタバレあらすじ:承
妙子は5年前にぼんぼんの奥畑と駆け落ちして、新聞沙汰になり、その時間違って雪子の名が新聞に載りました。辰雄が新聞社に抗議、新聞社は訂正記事を掲載したことから、妙子の名がより注目を集める結果となり、それに怒った雪子と妙子は、それまで暮らしていた本家を出て、分家で暮らすようになりました。その後、妙子は人形作りに励むようになり、今では新米写真家の板倉と付き合っています。辰雄に東京転勤の辞令が下りますが、大阪でしか暮らしたことのない鶴子は、栄転にもかかわらず東京への引っ越しに反対します。
細雪のネタバレあらすじ:転
板倉は病気で急死。妙子は荒れていき、酒場に通い出します。雪子は見合いを繰り返しますが、どれもうまくいきません。奥畑は放蕩や、実家の金品を持ち出すなどの素行の悪さで勘当されます。妙子は三好というバーテンダーに好意を持ち始めます。雪子は見合いした、華族出身の東谷との縁談が進んでいきます。妙子は家出し、三好と同棲を始めます。別れてからも妙子に付きまとっていた奥畑は、妙子の同棲を東谷にばらすと分家をゆすり、分家は奥畑にお金を払います。
細雪の結末
年の暮れに、幸子と雪子は本家に呼ばれます。蔵の整理をしている鶴子は2人に、東京へ行くことにしたと告げます。普段は喧嘩の多い幸子と鶴子ですが、涙ながらにお互いをねぎらい合います。東谷は妙子の事も承知し、雪子との縁談も順調に進みます。妙子も三好と幸せに暮らしています。鶴子が東京へとたつ日、貞之助と、東谷に肩を抱かれる雪子が駅で見送ります。雪子は見送りが辛いと、三好と暮らす妙子の部屋で過ごします。その後、密かに雪子に淡い思いを抱いていた貞之助は、料理屋で1人、涙ぐみながら昼酒を傾けていました。
「細雪 (1983年)」感想・レビュー
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この映画の最大の魅力・見どころは、吉永小百合演じる四姉妹中の最高の美女、三女雪子の男心を捉えて離さない、楚々たる「優しさ」と「隠れた芯の強さ」にあるでしょう。その女性を演じ切った女優吉永に乾杯!
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原作のラストは映画では表現されなかったんですね。
三女雪子の男を引き付けずにはおかない、その抜群・独特の美しさと性格が、適役吉永小百合によって表現され、演出されていることがこの映画の焦点と言える。原作にはないこの映画の秀逸さは、正に小百合が演じる雪子に集約されていて、他の三姉妹を演じる女優は、彼女の魅力に霞んでいる。この映画を評価しない女性は、雪子への嫉妬心がもたらすものでしょうね。三女雪子とそれを演じた小百合無くしてはこの映画の魅力は無い。