イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密の紹介:2014年イギリス,アメリカ映画。コンピューターの基礎を作った天才数学者、アラン・チューリングの伝記を基に、不当な扱いを受けた彼の内面に焦点を当ててドラマ化したサスペンス作品です。多少、史実が歪曲された部分もありながら、主人公チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチの迫真の演技、スリリングなドラマ構成は、最後まで観る人を惹きつけて止みません。チューリングの遺族が、ベストなキャスティングと大絶賛したのも頷ける、カンバーバッチの演技は見事です。アカデミー賞は、作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門でノミネート、英国アカデミー賞でも9部門にノミネートされ、批評家からも非常に評価の高い作品に仕上がっています。
監督:モルティン・ティルドゥム 出演者:ベネディクト・カンバーバッチ(チューリング)、キーラ・ナイトレイ(ジョーン)、ほか
映画「イミテーション・ゲーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「イミテーション・ゲーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
イミテーション・ゲームの予告編 動画
映画「イミテーション・ゲーム」解説
この解説記事には映画「イミテーション・ゲーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イミテーション・ゲームのネタバレあらすじ:起
1951年、空き巣に入られた数学者チューリングの自宅を捜索した2人の警官は、自宅にある装置と、その装置に手も触れさせないとする彼の態度に疑問を持ち、ソ連のスパイではないかと疑います。チューリングを捜査するうちに、当時は有罪であった同性間性行為を犯したことが発覚します。スパイの嫌疑を拭いきれない警官は、取り調べを始め、第二次世界大戦中に彼が働いていたブレッチリー・パークでの驚愕の事実が明るみになるのです。
イミテーション・ゲームのネタバレあらすじ:承
1928年、寄宿学校に通っていたチューリングは、いじめから庇ってくれた唯一の学友クリストファーから、暗号解読の楽しさを教わります。同性でありながらも、ほのかに恋心を抱いていたチューリングは、クリストファーに告白しようとしますが、肺炎で亡くなってしまい、チューリングの心に大きな傷跡を残しました。10年の歳月が流れ、天才数学者として頭角を現していたチューリングは、海軍の元で、ドイツ軍の暗号機エニグマの解読チームに加わります。他のメンバーから離れて、暗号解読装置の設計をするチューリングは、チャーチル首相に直訴し資金を得て、リーダーとなります。実力不足としてメンバーを2人解雇したチューリングは、公募で後任を募りますが、合格したジョーンは女性であったため、チームとは離れて女性情報員の1人として参加することになったのです。ジョーンは、両親から結婚をしなければ情報員を辞めさせるとせっつかれ、彼女の才能を買っていたチューリングは、同性愛嗜好であるにも関わらず、彼女と婚約します。
イミテーション・ゲームのネタバレあらすじ:転
ジョーンがチューリングと他のメンバーとの関係を良好にし、「クリストファー」と名付けられた暗号解読装置は完成しますが、ドイツ軍が暗号パターンを変えるため、解読が追いつきません。しびれを切らした海軍が装置の破棄とチューリングの解雇を迫る中、通信に特定の言葉が常に含まれていることを発見し、解読に成功するのです。この成功によって、何百万人もの命が助かることになるのでした。しかしチューリングは、暗号解読チームに協力したMI6の諜報員ミンギスが、チームの一員を利用してソ連に軍の情報を流していたことを知ります。ジョーンをこれ以上巻き込まないよう、自分が同性愛者であることを告げるチューリング。ジョーンは動じませんが、チューリングが彼女を「一度も気にかけたことがない」と嘘の告白をしたことで、2人は別れるのでした。
イミテーション・ゲームの結末
終戦後、ミンギスは暗号解読に関わった全てを破棄すること、メンバー同士で二度と会わないことをチューリング等に同意させます。世間にエニグマ解読という仕事内容が公表されることがないよう仕向けたのです。場面は1951年に戻り、取調室でチューリングから戦時中の告白を聞き、ソ連のスパイであるとの疑惑は無くなりますが、同性間性行為で有罪判決が下されます。服役ではなく化学的去勢を選択したチューリングの元を訪れたジョーンは、彼が心身ともに疲弊しきっている姿を目にし、心を痛めます。ジョーンは、いかに彼が特別な人間であるか、彼の暗号解読装置が何百万人もの命を救ったことを思い出させ、彼を励ますのでした。作品の最後に流れた字幕にて、彼が41歳の若さで自らの命を絶ったこと、同じ罪名のもと4万9000人もの人々が有罪判決を受け苦しんだこと。そして、2013年に英国はチューリングに対して正式な恩赦を発行したことが付記されて幕を閉じます。
「イミテーション・ゲーム」感想・レビュー
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ずっと見たくてようやく見れました。
結論から言うと・・・素晴らしい映画です!
まず称賛すべきはベネディクト・カンバーバッチの演技でしょう。同性愛と暗号解読に苦悩するアランチューリングをよく演じていました。
そして本作は大迫力の戦争映画というよりはストーリーメインの映画です。しかし時折ある空爆のシーンや魚雷発射のシーンも違和感なくCGっぽさもほとんど感じさせない映像でした。
ストーリーメインというにはストーリーは素晴らしいです。
こういった暗号解読というありがちなテーマを複雑かつ美しく、丁寧に仕上げられた脚本はアカデミー賞脚色賞納得です。
映画好きなら見ておく一本だと思います。 -
ラストのジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)が、アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)の部屋を訪ねてきた時の「君は全て手に入れたね。」、「あなたがいなければどれだけの人が死んでいたかわからない」、「誰も予想しなかった人物が誰も想像しなかった偉業を成し遂げることだってある」等の2人の会話に涙してたまらない。
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暗号解読やコンピュータの始まりであるデジタル計算機の開発といったキーワードにひかれて観てみました。暗号解読までの道のりと、主人公の人間ドラマがうまく合わさって、スリリングなストーリーになっていました。最後まで飽きずあっという間に見終わりました。人に理解されづらい個性を持って生まれたアラン・チューリングが歩んだ人生の困難と成し遂げた偉業を思うと感慨深いです。
シャーロックでおなじみのベネディクトカンバーバッチと、パイレーツオブカリビアンやはじまりのうたなどでおなじみのキーラナイトレイが出演していたので、オンエアしていたときに見てみました。シャーロック関連でも別の意味でもゆかりあるような、チューリングのアナザーストーリーで、第二次世界大戦時の難読とされたエニグマの暗号を解読するのに一役買っていたというものでした。が、天才数学者ながらも、40代で亡くなっていることや、当時の時代背景の知られざる問題があった側面などがフォーカスされていて、驚いたかんじでした。