黒衣の刺客の紹介:2015年台湾映画。8世紀後半の中国・唐王朝時代を舞台に、幼馴染であるかつての婚約者の暗殺指令を受けた美しき女暗殺者の運命を描いた武侠時代劇です。ホウ・シャオシェン監督はカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しています。
監督:ホウ・シャオシェン 出演者:スー・チー(聶隠娘(ニエ・インニャン))、チャン・チェン(田季安(ティエン・ジィアン))、シュー・ファンイー(嘉誠(ジャーチャン)/嘉信(ジャーシン)(二役))、妻夫木聡(鏡磨きの青年)、忽那汐里(青年の妻)ほか
映画「黒衣の刺客」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黒衣の刺客」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
黒衣の刺客の予告編 動画
映画「黒衣の刺客」解説
この解説記事には映画「黒衣の刺客」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黒衣の刺客のネタバレあらすじ:起
8世紀後半、唐王朝時代の中国。美しき黒衣の女、聶隠娘(ニエ・インニャン)(スー・チー)は師匠である女道士・嘉信(ジャーシン)(シュー・ファンイー)の元で修行を積んだ暗殺者です。殺しの腕前は確かなものですが、弱点は時折「情」が顔を覗かせることでした。この日もあと一歩で標的を仕留め損ねた隠娘に対し、嘉信は新たな使命を課します。それは隠娘の幼馴染であり、かつての婚約者だった田季安(ティエン・ジィアン)(チャン・チェン)の暗殺指令でした。隠娘は使命を帯びて、13年ぶりに故郷に舞い戻ってきました。両親の厚い歓迎を受けた隠娘でしたが、かつての頃とは打って変わって冷ややかな表情を浮かべる隠娘の姿に周囲は戸惑いを隠せませんでした。
黒衣の刺客のネタバレあらすじ:承
隠娘は地方組織である「藩鎮」(はんちん)の中でも特に有力者にのし上がっていた田委安の屋敷に潜入しますが、この日は結局任務を果たすことはできずに立ち去ります。しかし、その際に室内にかつて婚約していた時に分かち合った玉玦の片割れを残してしまい、それを見つけた田委安は隠娘の狙いを悟ります。その後、田委安の怒りを買って左遷させることになった隠娘の伯父・田興(テェンシン)(レイ・チェンユイ)は隠娘の父・聶鋒(ニエ・フォン)(ニー・ダーホン)の見送りを受けていましたが、そこに謎の刺客が襲い掛かってきました。
黒衣の刺客のネタバレあらすじ:転
そこに偶然居合わせていた鏡磨きの青年(妻夫木聡)が駆け付け、聶鋒らを助けようとした時に隠娘が現れ、刺客たちを撃退します。しかし、あまりの娘の変わりように、聶鋒は娘を嘉信に預けたことを深く後悔します。鏡磨きの青年は日本出身で、妻(忽那汐里)を地元に残し、遣唐使として派遣されてきたのですが、帰りの船が難破したために現地に留まることになったのです。隠娘は青年に自分の傷の手当てをしてもらい、次第に青年に対して心を開いていきます。その後、再度田委安の館に潜入した隠娘は、田委安の妾である瑚姫(フージィ)(ニッキー・シェ)が呪術により苦しんでいるところを助けます。その場を目撃していた田委安は隠娘の仕業だと勘違いし、遂に二人は刃を交えますが、隠娘は田委安を殺すことができずに立ち去ります。
黒衣の刺客の結末
その直後、田委安は瑚姫に呪術をかけた首謀者は自らの正妻・元氏(ユェンシ)(チョウ・ユン)だということを知り、呪術師を殺害すると元氏をも殺そうとしますが思いとどまります。その頃、隠娘は嘉信の元を訪れ暗殺失敗を報告、「李安を殺しても、後継ぎはまだ幼いので混乱は必至だろうから」と理由を述べます。隠娘は嘉信と刃を交えますが、もはや暗殺者稼業から足を洗うことを決意していた隠娘は刃を収め、師と決別して去っていきます。その後、完全に暗殺者から引退した隠娘は馬を引いて鏡磨きの青年が滞在する辺境の村を訪れます。彼女の表情には、これまで見せたことのなかった笑顔が浮かんでいました。
とても美しい映画でした。殺陣シーンも良かったです。5年前もかけて作ったというスケールの大きい映画で、撮影地が湖北省なので、今はコロナ禍で大騒ぎで行くことはできない。大陸の広大さ、映画の静けさ、微かに聴こえる太鼓の響き、などで観客はうっとりする。ホウ監督は、寝たければ寝ても良い、とさえ言いきる。妻夫木聡を隠娘が送って行くラストのシーンから流れる音楽は、林強作曲で印象的だった。カンヌのレッドカーペットでも流れていた。カンヌで賞を貰ったらしい。林強はかつてホウシャオシェンと一緒にロックを歌っていた画像を見たことがあるので、凄い才能の人だと思った。カメラのリーピンビンも無くてはならない人。私は高校で学んだ漢詩を再び学び直したい、と思ってしまった。