タイタンズを忘れないの紹介:2000年アメリカ映画。公民権法施行直後のアメリカ。ヴァージニア州T.C.ウィリアムズ高校フットボールチームにも黒人学生、そして黒人コーチが就任する事になり、人種差別が色濃い町は騒然となる。しかしチームが差別を乗り越え協力し勝ち続ける事で、人々は次第にわだかまりを解いていく。フットボールと人種差別をテーマとしたヒューマンドラマ映画。
監督:ボアズ・イェーキン 出演:ハーマン・ブーン(デンゼル・ワシントン)、ビル・ヨースト(ウィル・パットン)、ジュリアス・キャンベル(ウッド・ハリス)、ゲーリー・バーティアー(ライアン・ハースト)、ペティー・ジョーンズ(ドナルド・フェイソン)、ほか
映画「タイタンズを忘れない」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タイタンズを忘れない」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「タイタンズを忘れない」解説
この解説記事には映画「タイタンズを忘れない」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タイタンズを忘れないのネタバレあらすじ:起
1981年バージニア州アレクサンドリア、その昔少女だった頃彼女の父は、フットボールチーム、タイタンズのコーチでした。1971年、まだ人種差別が激しい時代、T.C.ウィリアム高校でも黒人との統合教育が施行されます。フットボールチームの選手達が、黒人少年を射殺した店主の店が襲われそうになっていたので駆け付けます。しかしコーチのヨーストはそれを止めました。彼が学校に戻ると、次の監督には黒人のブーンが就任する事を告げられます。ヨーストは殿堂入り目前で、次の監督と目されていました。彼の娘シェリルはそれに大反対しますが、雇用均等の一環でした。黒人達はブーンの就任を祝福します。ブーンはヨーストを訪ねて横入を詫び、協力して優勝しようと言いますが、ヨーストは良い顔をしません。しかしブーンを追い出そうと言う動きがあり、彼はその板挟みにあっていました。黒人学生達が集まり、ソウル・パワーだと気勢を上げます。集めたブーンは彼らを増長を引き締めます。彼はゲディスバーグ大学での合宿を命じスーツ姿で来るよう指示、自分は独裁者のごとく鍛え上げる事を宣言します。ブーンは、一人一人に自己紹介をさせます。そこに転校生の白人ルーイが突然現れます。更に白人の学生が集まり両者は対峙して睨み合い、ルーイはそれに戸惑います。ブーンは遅れてきたヨーストを叱責します。彼は叱責を受けながらも、長年の相棒タイレルをコーチ陣に加えろと要求します。ブーンはそれを条件付で了承しました。チームは合宿に向かいます。その前に白人キャプテンのゲーリーは、ブーンに白人を優先するよう強要します。彼はそれを鼻で笑い、公衆の面前で自分がチームのパパだと認めませます。肩を落としバスに乗るゲーリーを見て、前途多難である事にブーンは溜息をつきます。ブーンは、白人と黒人分かれてバスに乗っていた選手達を、オフェンス、ディフェンスのチームに分け、人種を混成させて座らせて出発しました。合宿先でも選手達の諍いは留まりません。ブーンはそれを叱責して、怒りを勝利に変えろ、やる気の次第で降ろしもするし登用もすると彼等を叱ります。合宿が始まり、軍隊さながらの地獄のようなしごきが始まります。食事は黒人、白人が別れて摂っていました、ルーイだけは忌憚無く黒人の中に入って行きます。他の白人達は彼を裏切り者と誹りました。ヨーストは厳しすぎるとブーンに意見しますが彼は取り合いません。ブーンは、黒人とうまくやっているルーイを手本に、白人、黒人、双方の選手達に自分達の事を話し合う事を義務付けます。
タイタンズを忘れないのネタバレあらすじ:承
いがみ合いながらも選手達は互いの事を理解し始めました。LBゲーリーは黒人TEのジュリアスとお互いが人種の違う選手をうまく活用できず、罵り合います。ブーンは選手達を早朝ランニング引き出します。その目的地はゲディスバークでした。南北戦争最大と言われる激戦地でブーンは、憎しみが憎しみを呼び家族を破壊する、一つになれ、理解し合えば人として向かえる筈だと教えます。チームは一つにまとまり始めました。合宿に軍人が息子ロニーを連れて訪ねてきます。父親は、黒人との協調性を学ばせたいと彼等の学校に編入を決め、ブーンもチームに迎えました。チームに迎える条件として髪を切ったロニーを皆でサンシャインと渾名します。食事など、プライベートでもわだかまりは溶けて行きました。シェリルが遊びに来て、チームを纏めたブーンを渋々監督に認めました。合宿が終わり地元に戻ると、白人選手の親達は黒人と仲良くしている息子達に顔をしかめます。それを余所にブーンとヨーストは、お互いの家族を紹介し合います。新学期が始まりますが、選手達は学内での人種間にある隔たりを見て現実を思い知ります。PTAが教育委員会に、チームが負けた場合はブーンを即解任するという条件を突き付けました。そんな中シーズンがいよいよ始まり、初戦ブーンは選手達に、相手チームは白人だけで人種問題はないが、強いのはこちらだ、巨人の足で踏み潰して来いと激を打ちます。試合が始まり、観戦するシェリルは歓声を上げますが、ブーンの娘キャロルは興味が無く首を傾げます。試合中、ブーンはRBピーティのプレイを叱責しベンチに下げますが、ヨーストは彼の脚力に期待しディフェンスに組み込みます。その起用はうまく行きましたが、ブーンは顔をしかめました。またゲーリーの友人アランがベンチに戻されると、その父親が抗議の声を上げます。チームは勝利しましたが、ゲーリーの恋人エマは、黒人と仲良くする彼から距離を置き、祝杯を挙げようと酒場に入ろうしたロニーは、仲間の黒人が拒否されるという現実を知らなかった為、詰られました。アランの父親は、ヨーストに息子の事を直接抗議しましたが、その矛先がブーンに向き始めたので追い返します。そのブーンは、ピーティの起用で面子を潰されたとヨーストに文句を言います。ヨーストは、ブーンに厳しすぎる彼の指導とは方針が違うと反論します。しかしブーンは、世間が如何に黒人に対して冷淡かを説き、甘やかす訳には行かないと返します。オフの日ゲーリーはジュリアスと遊ぶというと、彼の母親は激しく叱責しました。
タイタンズを忘れないのネタバレあらすじ:転
第2戦、ゲーリーの調子が悪く、チームも今一つ纏まりを欠きましたが何とか勝利します。ビーンは娘を連れヨーストの家を訪ねます。彼等は娘同士遊ばせようとしますが、人形遊びがしたいキャロルとフットボール一途なシェリルとは趣味がかみ合いません。ブーンとヨーストは、チームを纏めないと次は勝てないと二人で相談します。学校では黒人と白人に別れ揉め事があり、それを仲裁するジュリアスとゲーリーは、お互い裏切り者扱いされます。ヨーストは、タイレルの人種偏見が酷くなり、もう庇い切れないと言うと裏切り者呼ばわりされて縁を切られます。ブーンは、シェリルと次の試合の研究をしていると、家にレンガが投げ込まれ、人種間の緊張はピークに達しようとしていました。ゲーリーとジュリアスは全選手を集めます。彼等は仲間にお互いの関係を見直すよう説きます。ルースがそれに同調し、彼等は人種間を越え一体になり、チームは円陣を組み心を通わせました。記者達は、ブーンに脅迫を受けた事に対してインタビューを求めます。ブーンは過激な言葉を返しますが、ヨーストはそれを嗜め、人の見本になれと言います。ブーンはシェリルが巻き込まれた事を詫びながらも、黒人の事情を汲み取ってくれと言います。第3戦、相手チームに続き、タイタンズが入場します。彼等はR&Bのリズムでステップを踏んで、戦意を掻き立てます。シェリルはフットボールを熱く語りますが、キャロルは興味がないとそっぽを向きました。息を合わせたタイタンズは、闘志漲るプレイを見せます。しかしアランは、わざと手を抜いて味方の黒人QBレブに大怪我をさせます。控えのロニーが出場し、勝利を勝ち取りましたが、ゲーリーはアランの事をブーンに告げます。ブーンはキャプテンの彼にに処罰を任せ、ゲーリーは試合後アランに退部を勧告し、彼はゲーリーを罵りました。町中がタイタンズを応援し始め、人種間の垣根が消え始めていました。ヨーストの殿堂入り内定を祝う会で、主催者はブーンの解任を彼に仄めかします。北バージニア地区決勝戦、ジャッジはタイタンズに厳しい判定を繰り返します。その不公平さにヨーストも怒りを溜め込んで行きますが、黙って見ていました。しかしシェリルの嘆きが聞えてきた時、彼は主審に内幕を暴露すると脅して公平にやれと告げました。主審は後悔するぞと脅し、判定は正しくなり、タイタンズは勝利しました。試合後、ヨーストは殿堂入りが流れた事を選考委員会役員から告げられました。
タイタンズを忘れないの結末
学校は地区優勝に沸きます。しかし、その祝賀ムードの中、ゲーリーが自動車事故で下半身麻痺になってしまいました。チームメイトが病院に見舞いに行きます。その中にはジュリアスもいて、本来なら面会できない所をゲーリーは兄弟だと言って許可させます。彼はジュリアスに最初怖がっていた事告白します。ジュリアスは同じ町で育とうと絆を深めます。ゲーリーの事もありナーバスになるブーンですが、ヨーストはそんな彼に勝ち負けだけではないと言います。それでもブーンは自分は勝ち続けると告げます。自分は厳しすぎただろうかと悩むブーンを余所に、選手達はパラリンピックへの出場、進学等と、自らの進路を歩み始めていました。今シーズン最後の試合が始まります。試合はタイタンズ劣勢になり、ブーンとヨーストはお互いのミスを指摘し合い攻守がかみ合いません。それを見かねシェリルは、ヨーストにわだかまりを捨ててゲームに挑むよう頼みます。試合が劣勢のまま前半が終わり、ブーンはもう勝敗は関係ないと選手達に言います。しかしジュリアスが、今日は今まで監督が求めてきた完璧じゃない、完璧に終わろうと士気を高めます。ヨーストはブーンに助けを求め、勝利を目指し始めます。二人が協力し合い、攻守の歯車が噛み合い始め、試合が拮抗し始めます。チームが一丸となった作戦でチームは逆転勝利し、タイタンズは州のチャンピオンに君臨しました。娘達は喜び合い、相手チームの監督もブーンを賞賛し、場内がタイタンズ勝利に沸きます。ヨーストはブーンに感謝を述べ、ブーンはヨーストを殿堂入りに相応しいコーチだと絶賛します。時は流れ、黒人と白人の和解は難しいが、この町ではうまく纏まり続けていました。こじれそうになると住民達は皆、タイタンズを思い出して立ち直ります。ゲーリーが不慮の死を遂げた葬儀の場、シェリルを始め、チームメイトが集ました。その場では、黒人も白人もありませんでした。選手達は皆大人になり、大成していきました。
この映画の中で流れるマービンゲイの「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」も良い曲ですが、葬送曲として使われている「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」という曲も、映画の中でとても印象に残る曲です。今もどこかで残っているであろう人種差別について、本当に考えさせられる映画です。しかし、人間同士話せば分かり合え、仲良くもなれるという結末に涙することでしょう。