スーサイド・ショップの紹介:2012年フランス,ベルギー,カナダ映画。日本では2013年に劇場公開されたフランス発の長編アニメーション映画。映画のテーマが「自殺」という一件重い作品であるが、最後まで見ると生きる事への希望が湧く名作。
監督:パトリス・ルコント 声優:ベルナール・アラヌ(ミシマ)、イザベル・スパッド(ルクレス)、ケイシー・モッテ・クライン(アラン)、イザベル・ジアニ(マリリン)、ロラン・ジャンドロン(ヴァンサン)、ほか
映画「スーサイド・ショップ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スーサイド・ショップ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スーサイド・ショップの予告編 動画
映画「スーサイド・ショップ」解説
この解説記事には映画「スーサイド・ショップ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スーサイド・ショップのネタバレあらすじ:起
世界が絶望に包まれ、人々は暗い顔でうなだれて自ら死を選び、鳩ですら生きる気力を失うほど澱んだ街で、またひとり死を選ぼうとしている男がいた。
しかし彼は、禁じられていた公共の場で死のうとしていたため、通りがかった人に止められ、警察に見つかれば多額の賠償金が遺族に請求されるし、失敗すればもっと悲惨な目に遭うと諭される。
それでも死を選ぼうとする男に、彼は裏路地にある一軒の店を案内、その店はトヴァシュ家が経営する「自殺用品専門店」だった。
名前の通り、刃物から毒薬、首吊り用のロープなど幅広い”自殺をする為”の道具を取り扱っている店で、男は店主のミシマから毒を購入すると、妻のルクレスは娘マリリンと息子ヴァンサンに男の自殺を見届けさせる。
その成功の知らせを聞いた身重のルクレスは産気づき、次男アランが生まれる。しかし、なんとその次男は兄姉と違って笑顔で生まれ、その後も笑顔を絶やすことなく、店を訪れた客を”温かい気持ち”にさせ、家族を困惑させる。
スーサイド・ショップのネタバレあらすじ:承
世間は相変わらず暗く澱んだままだったが、アランは家族とは全く異なり、明るく前向きな少年へと成長していった。店の中でも元気に走り回り、兄と違って明るく幸せに満ちた絵を描くアランをルクレスはたしなめるが、彼は一向に明るさを失わない。
そして、連日店に訪れる客の多さに心を痛め、スクールバスに身を投じた自殺者を見た彼は、このままではいけないという危機感も感じ、なんとかしなければ皆孤児になってしまうと、現状を変える決心をし、友人4人と街を変えようと計画をたてる。
一方、ミシマとルクレスも人を死なせることが平気なわけではなかった。悲しい出来事や死に急ぐ人々を毎日目にして気が滅入り、自らも死にたいと思うが、志願者の幸せのために仕事を投げ出すわけにはいかないというジレンマに陥っていた。ミシマはポジティブ仲間と笑い合うアランに苛立ち、体に良いと言ってタバコを吸わせる。
そしてマリリンの誕生日に、アランは着飾る用の美しいスカーフと踊れる曲の入ったCDをプレゼントすると、マリリンは夜中にスカーフを身にまとい、曲に合わせて楽しそうに踊る。家を抜け出して仲間たちと窓越しにその様子を見ていたアランは、幸せな気持ちになる。
スーサイド・ショップのネタバレあらすじ:転
ミシマは人の死を手助けする罪悪感に押しつぶされそうになり、夜中に商品である毒を煽ろうしたところをルクレス見つかった彼は、精神科医の診察を受けて2週間店を休むよう言い渡されると、ついに寝込んでしまう。
ミシマが不在な店は徐々に雰囲気が変わっていく。マリリンはアランのプレゼントで明るくなり、本来の美しさを取り戻していた。商品を買った客を見届けるよう言われたアランは、客が川へ飛び込もうとする寸前に重石のついた鎖を切って阻止する。
そしていよいよアランと友人らの”ポジティブ仲間”は、周りを明るくするイタズラを実行、友達の叔父さんに改造してもらった車を使って店の前で巨大スピーカーから大音量の音楽を流す。するとその振動で店内の自殺用品が全て壊れてしまう。
アランのイタズラを知って、つかまえて叱るルクレスだったが、この騒動の中、マリリンが店を訪れていた客の青年と恋に落ち、2人の幸せそうな姿を見たルクレスとヴァンサンも温かい気持ちになり、皆に笑顔が浮かぶ。
片付けられた店内で、クレープ作りが得意だという青年の提案でクレープパーティーが開かれ、アランたちは楽しい時を過ごす。自殺用品店をやめてクレープ屋にしようという話が持ち上がり、ミシマと同様、この仕事に対して罪悪感を覚えていたルクレスも乗り気になっていた。
スーサイド・ショップの結末
しかし、騒ぎに気づいたミシマが階上の自宅から店へ降りてきて”惨状”を目にして激怒、皆で説得するが「自分のせいだ」という一言でキレたミシマは、切腹用の日本刀を手にアランを追い回す。
ビルの屋上に逃げ込んだアランに追いついたミシマは、追ってきたルクレスの息子を殺したら自分も死ぬという言葉にも耳を貸さずにじり寄る。そんな父親にアランは、パパはかけがえのない人だけど暗すぎる、パパを笑わせることができたら許してくれるか、と取引を持ち掛け、父親の目の前で自らビルから飛び降りる。
その瞬間、正気を取り戻したミシマは、ルクレスの罵倒にも茫然となるが、これもアランと仲間たちの計画だった。仲間たちが用意したトランポリンでアランは無事、芸をしながら何度も跳ねる息子の姿に、とうとうミシマも涙を流しながらルクレスと抱き合って爆笑する。
その後、店はクレープ屋に転向、マリリンの恋人が作るクレープは大人気で、連日多くの客で繁盛し、明るい笑い声が絶えない人気店になった。ミシマは自殺用品を扱っていた過去を悔い、生きることの素晴らしさを知ったトヴァシュ家の面々は、暗黒の世界と決別するのだった。
以上、映画「スーサイド・ショップ」のあらすじと結末でした。
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