東京流れ者の紹介:1966年日本映画。作曲者不詳の伝承歌『東京流れ者』をモチーフに、川内康範の原作・脚本で製作された任侠歌謡映画です。裏社会から足を洗おうと決心しながらもヤクザの世界から逃れられず翻弄され続ける男の生きざまを描きます。
監督:鈴木清順 出演者:渡哲也(本堂哲也)、松原智恵子(千春)、川地民夫(辰造)、二谷英明(相沢健次)、浜谷智子(睦子)、玉川伊佐男(梅谷)、江角英明(大塚)、日野道夫(吉井)、北竜二(倉田)ほか
映画「東京流れ者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京流れ者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京流れ者の予告編 動画
映画「東京流れ者」解説
この解説記事には映画「東京流れ者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京流れ者のネタバレあらすじ:起
暴力団・倉田組の組長・倉田(北竜二)は組を解散して不動産屋に転じましたが、“不死鳥の哲”との異名をもつ元幹部・本堂哲也(渡哲也)は倉田への忠義から傍を離れませんでした。哲は倉田の転向を機にヤクザの世界から足を洗って恋仲の歌手・千春(松原智恵子)と添い遂げることを考えていましたが、倉田は経営難から自社ビルを担保に金融業の吉井(日野道夫)から800万円の借金を抱えていました。支払期限が迫るなか、手元には300万円しか用意できていなかった倉田のためと哲は単身吉井のもとへと乗り込み、今月は300万円返すから残りは月100万円ずつ返済するということで手打ちを行いました。ところが、かねてから倉田組と敵対関係にある大塚組は密かに吉井のもとにスパイとして睦子(浜谷智子)を送り込んでおり、倉田の弱みに付け込んで何かと哲にも絡んできていました。
倉田を追い詰めようと考えた大塚組の組長・大塚(江角英明)は吉井を誘き出して恫喝、まんまと倉田のビルの権利書を手に入れました。
東京流れ者のネタバレあらすじ:承
吉井から連絡を受けた哲が単身駆け付けると、既に吉井は殺された後であり、哲は罠にかかってエレベーターに仕込まれた落とし穴に落とされました。いつまで経っても戻らぬ哲を追ってきた倉田は大塚から哲を引き渡す代わりに権利書へ押印するよう迫られましたが、倉田はこれまで貫いてきた無抵抗主義を破って銃を大塚に向けるも誤って睦子を殺してしまいました。倉田はその直後にエレベーターから這い上がった哲に助けられました。
大塚は子分の“蝮の辰”こと辰造(川地民夫)に哲の始末を命じましたが、辰造は哲の敵ではありませんでした。これ以上自分がいると迷惑になると感じた哲は東京を去って流れ者となり、倉田の紹介で庄内を仕切る柴田組を頼りましたが、そこでも大塚の傘下である南組との抗争に巻き込まれ、結局庄内を去って再び流れ者の身となりました。
東京流れ者のネタバレあらすじ:転
さすらう哲の前にまたしても辰造が追いかけてきました。線路上で、そして空き家で対峙した二人は互いに傷を負い、哲はかつて大塚組の組員だった“流れ星の健”こと相沢健次(二谷英明)に助けられて難を逃れました。しかし、哲は義理を捨てて組織を裏切った健次を信用できず、健次はそんな哲に「義理にしばられていると泣きを見る」と忠告しますが、哲は聞き入れることなく健次の前から姿を消しました。
哲は流れ流れて、佐世保にいる兄貴分の梅谷(玉川伊佐男)の経営するバーに身を寄せましたが、このバーで地元の愚連隊が突然暴れ出し、哲を追って佐世保入りしていた騒動の隙を突いて哲の命を狙いましたが、またしても佐世保に先回りしていた健次が哲を救いました。健次と対峙した辰造は「兄貴とはやりたくない」と言い残して自決しました。
その頃、大塚は倉田に、哲を切り捨てるのと引き換えにビルの問題から手を引くと持ち掛けていました。
東京流れ者の結末
大塚は倉田に、ビルの地下のクラブで千春を働かせると持ち掛けてきました。利益に目が眩んだ倉田は哲を見殺しにすることにし、佐世保の梅谷に哲を始末するよう命じました。哲は健次にまたしても救われ、一路東京を目指しました。梅谷はそれでも哲を殺そうとしましたが、哲の実直さに負けて殺すことはできませんでした。その頃、哲が死んだと聞かされた千春は倉田のクラブに出始めていました。
東京に戻った哲は、自分と千春を慕ってくれる敬一(吉田毅)から千春の居場所を聞き付け、敬一は千春にも哲が生きていることを伝えました。哲は倉田のクラブに乗り込み、大塚やその子分で睦子の恋人だった田中(郷鍈治)らを殺し、その場にいた倉田に「盃を返す」と決別を宣言しました。倉田は哲也が握りつぶしたグラスの破片で自らの手首を切り自決しました。哲也は千春に「流れ者に女はいらない。女が一緒じゃ歩けない」と言い放ち、すがる彼女を振り切ると独り夜の街へと消えていきました。
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