暁に祈れの紹介:2017年イギリス,フランス映画。タイにある地獄と呼ばれた刑務所をムエタイで生き抜けたビリー・ムーアの真実の物語。レイプ、賄賂、殺人が蔓延する実在の刑務所、チェンマイ中央刑務所とバンコククロンプレム中央刑務所に服役し、ムエタイだけを頼りにのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝が原作。実際にタイで最も古い刑務所のひとつだった廃墟で撮影し、壁のキズや散らばった服などがリアルな刑務所を映し出している。役者の大半はタイの元囚人たちを起用し、彼らの実体験に基づいた迫真の演技は観客をその場に引きずり込むような臨場感さえある。カンヌ映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門で話題になり、批評家サイト、ロッテン・トマトでは96%の高評価を獲得した作品。
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール 出演:ジョー・コール(ビリー・ムーア)、ヴィタヤ・パンスリンガム(プリーチャー所長)、ポンチャノック・マーブグラン(フェイム)、パンヤ・イムアンパイ(ゲン)、ビリー・ムーア(ビリーの父)ほか
映画「暁に祈れ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「暁に祈れ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「暁に祈れ」の予告編 動画
映画「暁に祈れ」解説
この解説記事には映画「暁に祈れ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「暁に祈れ」のネタバレあらすじ:起
パートナーから入念にマッサージされ、緊張の面持ちでヤーバーと呼ばれるタイの麻薬を吸い、試合へと向かう男。人々の叫ぶ声と熱気に包まれたリング上で格闘の末、対戦相手に打ちのめされました。倒された男の名はビリー・ムーア。人生の再スタートをかけ、イギリスからタイへとやってきました。しかし、麻薬中毒におかされ闇ボクシングへ参加するようになり、稼いだファイトマネーはヘロインとヤーバーにつぎ込むという、自堕落な毎日を送っていました。そんなある日の朝、騒がしくドアを叩く音とともに入ってきた警察により家宅捜査を受け、ビリーは薬物所持によりチェンマイの刑務所へ収監されることとなってしまいました。
「暁に祈れ」のネタバレあらすじ:承
刑務所は驚くほどの不衛生を極め、隙間なく埋め尽くされた囚人たちの中で寝るという劣悪な環境でした。言葉もわからず、動物を扱うように看守たちから小突かれます。さらにイラつきを抑えることのできなかったビリーは喧嘩に巻き込まれて、所内で最も凶悪な囚人たちが集う大部屋へと移されました。レイプや自殺、そして殺しも蔓延する生き地獄のような場所で、なんとか生き延びようとするビリーでしたが、ヘロインを渡された看守の術中にはまり、ムスリムの囚人のリンチを請け負うなど絶望の淵に立たされていきます。そこへ格子越しに見かけたトレーニング中の集団。彼らは所内に設置されたムエタイチームに所属する囚人選手たちでした。早速ビリーは売店で働く囚人レディボーイ、フェイムに頼みタバコを譲ってもらうとコーチへ渡し、練習に入れてもらうこととなりました。
「暁に祈れ」のネタバレあらすじ:転
薬物の誘惑と戦いながらもビリーは練習に励み希望を取り戻していきます。投獄前に戦っていた闇ボクシングのパートナーが面会にきてくれ、試合に出れるようになりトップになった報告を聞きます。さらに気持ちの入るビリーは徐々にチームメンバーたちとも打ち解け、精神も学んでいきます。そんなビリーにチャンスが訪れます。プリーチャー所長より、ムエタイの強化チームに入り全国大会を目指すよう提案されました。待遇も変わり、外国人選手として初めて参加する全国大会に向けトレーニングに励むのでした。しかし、アルコールと薬物により蝕まれた身体は限界に達しており、ビリーは練習の最中に倒れてしまいました。大会に出れば失血死の可能性もあると診断され、出場が危ぶまれることに。そこへ追い討ちをかけるように凶悪な囚人たちを仕切っているゲンが借金の取り立てにやってきて、戦わなければ命がないと脅しをかけます。選択の余地のないビリー。大会当日、己の全てを賭けてリングに立ちました。
「暁に祈れ」の結末
こうして思いをかけた試合が始まりました。感謝を捧げる舞の儀式を行い、厳かな空気はゴングとともに破られ喧騒と化します。両者譲らぬ戦いでしたが、奮闘の末、ビリーは見事に相手を打ち負かしました。しかし、その途端ロープまでよろけたビリーは吐血してしまいます。すぐさま救急病院へと搬送されました。朦朧とする中、目を覚ますとそこは誰もいない病室でした。足に鎖が巻かれていること以外は、普通の患者と変わりありません。院内を徘徊し、そのまま外へと出ます。頭をよぎる逃亡。街へと繰り出しますが、ビリーは引き返しました。逃亡者としての人生より、刑期を全うする人生を選んだのです。刑務所に戻ったビリーは面会に通されました。面会に姿を見せたのはビリーの父親でした。その後のビリーは3年の刑期を終え2010年に保釈。現在はドラッグのリハビリ施設で働き苦しんでいる人のサポートを行っています。
以上、「暁に祈れ」のあらすじと結末でした。
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