彼女が目覚めるその日までの紹介:2016年カナダ,アイルランド映画。スザンナ・キャラハンのノンフィクション作品『脳に棲む魔物』を映画化。原因不明の病と闘う女性と、彼女を懸命に支える周囲の人々を描くドラマ作品。憧れのニューヨーク・ポスト紙で働き始めたスザンナは、公私ともに充実した日々を送っていた。ところがある日、原因不明の病魔が彼女を襲う。一向に病状は良くならず、やがて常軌を逸した行動を取り始めるスザンナに医師は精神疾患を疑い、専門の病院へ移そうとする。
監督:ジェラルド・バレット 出演者:クロエ・グレース・モレッツ(スザンナ・キャラハン)、トーマス・マン(スティーヴン)、リチャード・アーミティッジ(トム・キャラハン)、ジェニー・スレイト(マーゴ)、キャリー=アン・モス(ローナ・ナック)ほか
映画「彼女が目覚めるその日まで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「彼女が目覚めるその日まで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
彼女が目覚めるその日までの予告編 動画
映画「彼女が目覚めるその日まで」解説
この解説記事には映画「彼女が目覚めるその日まで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
彼女が目覚めるその日までのネタバレあらすじ:スザンナを襲う異変
舞台は現代アメリカ、ニューヨーク。21歳のスザンナ・キャラハンは、忙しいながら充実した毎日を送っていました。憧れのニューヨーク・ポスト紙で記者として働き始め、編集長リチャードや先輩記者マーゴの叱咤激励を受けながら、目標に向かって精力的に仕事に取り組んでいます。私生活では恋人でミュージシャンのスティーヴンと順調に仲を深め、両親にも紹介しました。父トム・キャラハンと母ローナ・ナックは既に離婚してそれぞれにパートナーがいますが、良好な関係が続いています。順風満帆なスザンナの生活でしたが、異変は静かに忍び寄っていました。スザンナは不意に酷い目眩を感じるようになり、集中力が続かずぼうっとしている時間が長くなっていきます。リチャードから叱責を受けても変化は無く、むしろどんどん悪化して物忘れが酷くなりました。やがて左手と左脚に痺れを感じ、病院で様々な検査を受けますが異常は見つかりません。水が滴り落ちる幻聴に悩まされ夜も眠れないスザンナは、次第に心身ともにボロボロになっていきました。そしてついに、上院議員へのインタビューで非常識な発言を繰り返し、相手を激怒させてしまいます。大きな失敗を犯したスザンナにリチャードは罵声を浴びせますが、彼女の手腕を評価していただけに強く心配しました。ドラッグや酒に溺れている可能性も考えますが、同じく様子を見ていたマーゴは有り得ないと否定します。そんな折、スザンナは夜中に激しいてんかん発作を起こして病院に担ぎ込まれました。スザンナは落ち着くまでローナの家で静養することになります。
彼女が目覚めるその日までのネタバレあらすじ:加速する異常行動
スザンナと暮らし始めて数日して、ローナは以前とは全く違う娘の様子に困惑しました。スザンナは躁鬱状態を繰り返し、パニックを起こしててんかん発作で倒れてしまいます。病院で再び検査を受けますが、医師は睡眠不足による過労だと診断しました。抗てんかん薬が処方されますが、スザンナに回復の兆しは見られません。彼女は誰の目にも分かるほど様子がおかしくなっていきました。職場で突然怒り狂って叫んだかと思えば、急に笑い出して幸福だとはしゃいだりします。結局仕事は休まざるを得ませんでした。スザンナは自分が双極性障害ではないかと考えますが、医師は極端な躁と極端な鬱の混合状態にあると言い、向精神薬を処方します。しかし薬を毒だと決めつけて喚き散らすスザンナに、ローナの精神は限界に達しました。そこで今度はトムの家にスザンナを預けることにします。トムは酒の飲みすぎだと楽観的に考えていましたが、食事の席で突然暴れ出したスザンナを見てようやく事態の深刻さを理解しました。
彼女が目覚めるその日までのネタバレあらすじ:追い詰められるスザンナと家族
両親の強い要望もあり、スザンナは入院することになります。幻聴に苦しむスザンナは、看護師達が自分の悪口を言っていると信じ込んでどんどん心を閉ざしていきました。そんな彼女の心の支えになったのはスティーヴンです。彼は必死にスザンナを励まし、スザンナも少しだけ笑顔を見せました。しかし病院を抜け出そうと脱走を図る彼女はベッドに拘束されてしまい、ますます追い詰められていきます。検査を重ねても原因を特定出来ない医師達は、統合失調症か発作後精神病だと考えました。そしてスザンナを精神疾患の患者として、精神科病院へ移動させるべきだと両親に提案します。しかしトムとローナは、原因が分からないまま転院させるつもりは無いと訴えました。
彼女が目覚めるその日までのネタバレあらすじ:一筋の光明
入院して1週間、スザンナはどんどん衰弱しています。そこで医師達は、大学で教鞭を執るナジャー医師に助力を仰ぎました。彼はスザンナの病室を訪れ、あらゆる可能性を考えて診察を重ねます。スザンナに時計の絵を描かせたナジャーは、その奇妙な特徴に着目しました。スザンナは数字を全て円の右側に描いていたのです。これは精神疾患の患者ではなく、視界が何らかの理由で偏っている患者の描く絵の特徴でした。ナジャーはスザンナの脳の右半球が損傷し、炎症を起こしていると考えます。炎症の原因を探るため脳生検が行われ、ついにスザンナの病名が明らかになりました。ナジャーは「抗NMDA受容体脳炎です」と告げます。抗NMDA受容体脳炎は自己免疫疾患のひとつで、抗体が脳内の重要な受容体を攻撃する病です。スザンナはまだ初期の段階なので、治療は十分可能だと受け合うナジャー。以前の認知能力の90%まで取り戻せると説明され、両親は笑みをこぼし、スティーヴンは涙を流しました。治療が始まり、スザンナは少しずつ新しい自分自身を作っていきます。そして7ヶ月後、職場復帰を果たしました。
彼女が目覚めるその日までの結末:病を乗り越えて
事情を知ったリチャードは、スザンナに「君の物語を書いてほしい」と頼みます。スザンナ自身が闘病の手記を書くことで、ニューヨークの人々に病気のことを伝えられたらと考えたのです。スザンナは自分の経験が誰かの役に立つのなら、と仕事を引き受けました。スザンナは抗NMDA受容体脳炎の217人目の患者でした。彼女の手記で正しい治療が広く行われるようになります。スザンナは記者・作家として病気の啓蒙に努め、2015年にスティーヴンと結婚しました。困難を乗り越えた2人を祝福し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「彼女が目覚めるその日まで」のあらすじと結末でした。
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