あゝひめゆりの塔の紹介:1968年日本映画。太平洋戦争末期、沖縄で女学生たちによって編成された「ひめゆり学徒隊」の悲劇を、吉永小百合の主演、日活の青春スター総出演で描いた戦争ドラマです。
監督:舛田利雄 出演者:吉永小百合(与那嶺和子)、浜田光夫(西里順一郎)、和泉雅子(比嘉トミ)、二谷英明(照喜名秀雄)、高品格(沢田軍曹)、郷鍈治(杉山大尉)、小高雄二(東風平恵位)、藤竜也(泉川)、三条泰子(泊貞子)、笹森みち子(新垣勝江)、伊藤るり子(渡嘉敷光子)、後藤ルミ(仲宗根久子)、小池修一(与那嶺武)、乙羽信子(与那嶺ハツ)、東野英治郎(仲地)、中村翫右衛門(野口貞信)、渡哲也(青年)ほか
映画「あゝひめゆりの塔」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あゝひめゆりの塔」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
あゝひめゆりの塔の予告編 動画
映画「あゝひめゆりの塔」解説
この解説記事には映画「あゝひめゆりの塔」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あゝひめゆりの塔のネタバレあらすじ:起
終戦から20年、時代は完全に戦争を忘れ去ったかのように若者たちは空前のディスコブームに酔いしれていた頃。そんな中、とあるダンスホールである一人の青年(渡哲也)が沖縄の歌「相思樹の歌」をリクエストしていました。青年は踊る若者たちを眺めながら、この歌を愛した今は亡き「ひめゆり学徒隊」の乙女たちに想いを馳せていました・・・。
・・・1943年(昭和18年)秋。日本の太平洋戦争での戦局が悪化するなか、ここ沖縄では比較的戦争の影響は薄く、沖縄師範学校の女学生たちは運動会で大いに楽しんでいました。与那嶺和子(吉永小百合)も級友の比嘉トミ(和泉雅子)らと共に参加していました。彼女たちの輪に入りたい西里順一郎(浜田光夫)や泉川(藤竜也)ら男子部は和子の弟・武(小池修一)を利用して招待券を手に入れて潜り込もうとしましたがバレてしまい、やむなく親戚だと嘘をつくことになって恥をかいてしまいます。しかし、このことをきっかけに和子と純一郎は打ち解けあっていきました。
あゝひめゆりの塔のネタバレあらすじ:承
1年後の1944年(昭和19年)夏。戦争の影はとうとう沖縄にも忍び寄るようになり、模範学校の生徒たちは男女問わず竹やり訓練や陣地構築などに明け暮れるようになっていきました。そんな中でも、和子たちは大好きな歌を心の拠り所にしていました。和子には母・ハツ(乙羽信子)と同じく教師になるという夢があり、ハツの勤める小学校で教育実習を行いましたが、米軍機の影は沖縄にも迫りつつありました。
8月8日。サイパンの日本軍が玉砕、いよいよ敗色の濃くなるなか小学校児童は貨物船「対馬丸」で本土へ疎開することになりました。ハツも引率として同行することになり、軍から港での見送りを禁じられていた和子や武たちはハツたちを校庭で見送りました。「対馬丸」に乗った子供たちは「ふるさと」を歌って沖縄を離れました。しかしその直後、「対馬丸」は米軍の潜水艦によって撃沈され、父に先立たれていた和子と武は二人きりになってしまいました。小学校の校長・仲地(東野英治郎)は責任を取って自決しました。やがて和子は生家をも空襲で失いましたが、それでも気丈に振舞いながら瓦礫の撤去作業に従事していました。やがて生徒思いの校長・野口貞信(中村翫右衛門)が長い出張から学校に戻り、野口校長は対馬丸事件で家族を失った和子たちの肩をそっと抱き寄せました。
あゝひめゆりの塔のネタバレあらすじ:転
1945年(昭和20年)3月。和子たち女学生は卒業式を迎えるはずでしたが、米軍の空襲は一層激しさを増していきました。和子ら女学生は従軍看護師として野営病院に勤め、男子部や中学生は鉄血勤皇隊けと駆り出されていきました。そんな中、野口校長は和子たち卒業生を呼び集め、証書のないながらも卒業式を開いてくれました。
遂に米軍は沖縄に上陸、激しい戦闘により野営病院は重傷者で溢れかえっていきました。和子の仲間たちは物資の運搬という命がけの任務に就きますが、米軍機の攻撃により渡嘉敷光子(伊藤るり子)は命を落とし、トミは両脚を負傷してしまいます。新垣勝江(笹森みち子)はあまりの凄惨な状況に発狂してしまいました。一方、伝令の任務に就いていた順一郎は、目の前で武が銃撃を受けて死んでいくのを目撃しました。しかし、順一郎はそのことをどうしても和子に伝えることはできませんでした。
司令部から退却命令が発令され、野営病院は軍と共に南へ移動することになりました。野口校長は学生たちの解散を願い出ますが軍から却下され、和子たちも軍と行動を共にすることになりました。和子たちはトミや重傷者は後から輸送車で運ばれると説明されましたが、実は歩けない兵士たちには青酸カリ入りの牛乳を飲んでの自決が強要されており、トミは牛乳を飲んで自決してしまいました。一方、南へ移動する和子たち一行は途中の空き地で自決用の手榴弾を手に入れました。その後、一行は川で水浴びをし、他の女学生の隊と合流して束の間の楽しいひと時を過ごしましたが、間もなくして川に米軍機が容赦なく襲い掛かってきました。
あゝひめゆりの塔の結末
既に日本軍は壊滅状態に陥り、和子ら生き残りは新しい野戦病院となる真壁の大洞穴へと辿り着きました。一方、野口校長は軍からようやく生徒たちの解散命令を取り付け、これから米軍基地に突撃しようとする順一郎たちの隊を制すると生きるようにと告げました。野口校長は和子たちの元に合流すべく順一郎の護衛を受けて大洞穴を目指しましたが、途中の砂浜で野口校長は米軍に射殺されてしまいました。和子たちは校長の遺体を収容しようとし、順一郎は和子を庇って米軍の掃討射撃の前に倒れました。
医薬品も底を尽き、重傷者たちは次々と死んでいき、生き残ったのは和子たちわずかな女学生と教師の照喜名秀雄(二谷英明)たちを残すのみとなりました。照喜名は校長の意志を汲んで女学生たちの自決を許さず、女学生をいくつかの班に分けて夜明けに島の北部へ逃れることにしました。和子たちは身支度を整え、僅かな食料と水を分け合い、円陣を組んで思い出の歌「相思樹の歌」を歌いました。
出発の時、先陣を切った第1班が米軍の掃討射撃の前に全滅されられてしまいました。米軍の攻撃は容赦なく続き、気を失った和子が目を覚ますともはや生き残ったのは自分と後輩の仲宗根久子(後藤ルミ)の二人だけとなっていました。和子と久子は米軍からの投降要請に応じることなく崖の上へ昇り、二人は固く抱き合いながら手榴弾のピンを抜いて自決を遂げました。
以上、映画「あゝひめゆりの塔」のあらすじと結末でした。
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