映画「セブン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
セブンの紹介：1995年アメリカ映画。カトリックの７つの罪をモチーフに連続猟奇殺人を取り扱ったサスペンス映画の傑作で、ダークかつ先鋭的な作品から全米では大ヒットを記録しました。引退まであと七日と迫った老刑事サマセット。彼は、自分と入れ替わりに配属された新米刑事ミルズは、怪事件を担当する事になる。その事件は、聖書に示された七つの大罪に沿った連続殺人事件の序章であり、二人の刑事はその事件を追い引き込まれて行く。
監督：デヴィッド・フィンチャー 出演：ブラッド・ピット（デヴィッド・ミルズ刑事）、モーガン・フリーマン（ウィリアム・サマセット部長刑事）、グウィネス・パルトロー（トレイシー・ミルズ）、ジョン・C・マッギンレー（カリフォルニア）ほか
この解説記事には映画「セブン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サマセット刑事は、良き刑事であろうとした男でした。凶悪事件で溢れているこの街で、誰もが飽き飽きして事務的な処理を行うように事件に関わっていく中で、少しでも真実に近付こうと努力する男でした。サマセットは新しく配属された刑事ミルズを紹介されます。彼は功名心に溢れた意欲ある警官でした。サマセットはそんな彼に、七日間だけ黙って見ていろと告げます。それは彼が定年を迎えるまでの日数でした。その日サマセットは、いつものようにメトロノームを仕掛け、眠りに尽きます。
月曜日、サマセットとミルズは奇妙な事件を担当します。その事件の被害は巨漢とも言える肥満体で、真っ暗な部屋で大量のスパゲティに顔を突っ込んで死んでいました。部屋を検分すると、棚の中にはソースの缶詰が山と詰まれており、被害者の足は縛られていて、テーブルの下には赤い汚物で一杯になったバケツがありました。検死の結果、被害者の体はスパゲティで溢れていましたが、銃で脅されて無理矢理食べさせれたようで、その途中気絶した所に暴行を受け、内出血で死亡したという事でした。現場に残されていたレシートは、犯人がこの状況で２度も買い物に行っている事を示し、サマセットは何かしらの計画性を感じ取り、難しい事件になると予感、定年間際の刑事と新人の刑事が関わる事件ではないと上司に告げます。しかし上司はミルズだけを外してサマセットには捜査を担当させました。火曜日、凶悪犯等の弁護を率先して引き受けて名を挙げていた弁護士が殺害されます。現場に赴いたミルズの足元には強欲と書き残されていて、妻の写真に血で眼鏡が書き加えられていました。報告書を打っていたサマセットは、同僚から弁護士殺害事件の事を聞かされます。それとは別に、昨日の被害者の胃にプラスチック片があった事を報告されます。サマセットが現場に戻り調べ直すと、冷蔵庫を動かした痕跡を見付けます。彼は冷蔵庫を動かしてみます。するとその壁に暴食と書かれたメモと、ミルトンの失楽園の一説、七つの大罪の文章が書いてあるのを見付け、事件が後五つ続く事を知り、警部に再度担当を降りる事を告げます。サマセットは定時になり、不幸で溢れている街から一刻も早く離れたいと思いつつも図書館に赴き、ミルズの為に事件の参考文献リスト作ってやります。
水曜日、ミルズはサマセットの助言に従い幾つもの文学書を読み、その難解な文章に悩まされ、入れ替わるサマセットのオフィスを間借りしながら事件に当たります。短い間だが新しい相棒という事で、ミルズの妻トレーシーがサマセットを夕食に呼び、友好を結びます。お互いの自己紹介や、部屋事情等の話を聞いて食事を済ませると、ミルズとサマセットは仕事の話をし始めます。弁護士は土曜から日曜に掛けて殺害さえれており、暴食の被害者はベニスの商人の一節を模している部分もありました。サマセットはこの二つの殺人が犯人からの説教、啓発だと言い出します。彼は弁護士に部屋で見付かった眼鏡を書き加えれていた写真は、何かを見たか見過ごしたかの暗喩だと言い、二人は弁護士の妻に話を聞きに行きます。事件に関しては何も思い当たる事が無かった夫人でしたが、現場の写真を見て、一枚の絵が逆さに掛けられている事を指摘します。二人は現場に戻り、その絵を外してみます。すると、その裏の壁に助けてと、指で書き込まれた文字を見付けました。鑑識は、検出された指紋が誰のもかをコンピューターで調べるには三日は掛かると言います。それを待つ間、サマセットはミルズが夫人に本気で犯人を捕まえるといった事について話し始めます。サマセットにもそんな頃があったといい、現実は、証拠を集め、書類の山を作っても、報われた事がないと一人ごちます。木曜日朝、運良く指紋の主が判ります。指紋を残したのは被害者が弁護した事のあるビクターという異常殺人者でした。しかしサマセットはその結果に疑問を感じます。サマセットとミルズは、特殊部隊を率いて容疑者の自宅アパートに踏み込みます。そこで彼等は、ベッドに縛り付けられ、拷問を受けたような痕のあるビクターを発見します。そして壁には、怠惰の文字が書き込まれていました。犯人に弄ばれているように感じるミルズは、事件を嗅ぎ付けて写真を取りに来た記者を、八つ当たりするように追い返します。ビクターは瀕死の様な状態で生かされ続け居て、彼を診た医者は、例え生き延びたとしてもまともに生きていけないと言います。
金曜日サマセットは、前日トレーシーが夫には内緒で相談に乗って欲しい電話してきたのでレストランで待ち合わせします。トレーシーはミルズの子を身篭っていましたが、この街が子育てに適していない事を気にしていて、彼に懐妊を告げることが出来ずに居ました。サマセットは未婚で子供も居ませんでしたが、似たような経験があり、彼はこの酷い世の中に子供が生まれるのが恐ろしく感じ、彼の子を身篭った女性を説得して子を堕胎してもらっていました。サマセットは産まないなら黙っていて、産むなら話したほうが良いとアドバイスしました。捜査に戻ったサマセットですが、手掛かりが途絶えている事に頭を悩ませます。そこで彼は本のリストを作り、ミルズと共にどこかのカフェで人を待ちます。サマセットはやってきた男に金とリストを渡します。その男はＦＢＩの人間で、違法に収集した図書館の借り出し者リスト用意してくれました。二人は、リストで目を付けた男のアパートを訪ねます。男は不在のようでした。しかし二人は、廊下の向こうに立ち尽くす人影に気付きます。そしてその人影はおもむろに発砲してきました。二人は二手に分かれて男を懸命に追います。ミルズが追い詰めますが男に逆襲され銃口を突きつけられました、ですが男はミルズを見逃して去って行きます。ミルズは怒りのままに男の部屋に踏み込もうとしますが、サマセットがそれを止めます。ここに来たのは違法捜査の結果であって、礼状が取れず逮捕ができない為です。それでもミルズはサマセットを振り切り扉を蹴破って部屋に踏み込みました。ミルズは金で目撃者を作り、捜査に正当性を作ります。男の部屋はオカルト博物館のように怪しげな物で埋め尽くされていました。ビクターの指もあった事から、彼が犯人である事は間違いないようでした。鑑識が捜索を続けますが、犯人の指紋が見付かりませんでした。この世への嘆きを綴った大量のノートまで見付かりましたが、身元を明らかにするものも見付かりません。そこに、部屋の電話が鳴りミルズが出ます。電話は犯人からで、ミルズとサマセットを賞賛し、予定を変えると宣言して切れました。部屋からは、見知らぬ娼婦の写真が見付かりました。土曜日、二人は部屋から見付かった領収書からＳＭグッズの店を訪れます。二人は店主から怪しげな器具の写真を手に入れます。そしてその発注主は、昨日引き取りに来ていました。二人に色欲の犯行があった事が報告されます。ＳＭクラブで写真の娼婦が殺されます。その方法は、行きずりの男を脅し、発注した器具で刺し貫かせるというものでした。サマセットはこの事件が最悪の形に終わると予想し、ミルズに入れ込むなと忠告します。この事件の根底は、人々の無関心だと彼は語りました。
日曜日、傲慢の犯行が行われました。被害者は美しいモデルの女性で、顔を切り刻んで、電話で助けを呼ぶか、睡眠薬で死を選ぶかを選ばせる方法を取っていました。事件現場から戻った二人は、警察署の入口で大声で呼び止められます。その男は一連の犯行を重ねた犯人でした。二人は即座に男を逮捕します。犯人は指紋を削り取り、身元を示すものは持っていませんでした。大罪は後二つ、嫉妬と憤怒を残していました。犯人は死体が後２体あると言い、サマセットとミルズにだけその在り処を話すと言い出します。取引を飲まなければ精神異常を訴えると脅され、警察は仕方が無くその条件を飲みます。指定された時間が迫る中、サマセットとミルズは犯人を車に乗せ郊外へ向かいます。目的地が近付き、自分は神に選ばれた人間だという犯人は笑みを浮かべます。目的地に辿り着き、サマセットとミルズは犯人を車から降ろします。そこに車が近付いてくるのが見え、ミルズは犯人を跪つかせます。サマセットは車に乗り、近付いてくるバンを離れた場所で止めます。バンは配送業者の物で、大金でこの場所に荷物を運んでくるよう依頼されただけでした。サマセットは運転手を車から降ろし、荷物と引き取って運転手を追いやります。両手で持てる位のダンボール箱を受け取ったサマセットは、逡巡した挙句開けてみる事にしました。そして、中を見て驚愕し、ミルズに罠だと大声で叫びました。その様子を見て犯人は突然、ミルズにレーシーの事を良い妻だと話し始めます。急いで戻ってきたサマセットは、ミルズに落ち着いて銃を下ろせと言います。何の事か判らないミルズに犯人は、箱の中はトレーシーの首だと良い、嫉妬して殺したと言います。サマセットは自分の銃を捨て、ミルズにこれは犯人が撃たせる為の罠だと止めます。犯人は、挑発するようにミルズに、トレーシーが子供を身篭っていて命乞いしたと言います。サマセットは犯人を殴って止めさせます。ミルズに絶望の表情が浮かびます。静かな顔の犯人に銃口を向けたまま、何度か思い直す素振りを見せましたが、ミルズは犯人を処刑しました。事件が終了し、茫然自失のミルズはパトカーに乗せられます。サマセットはヘミングウェイの「この世は素晴らしい、戦う価値がある」という一文を思い出して、その半分には共感を感じていました。
以上、映画「セブン」のあらすじと結末でした。
全体的にダークでシリアスな作品。
カトリックの７つの罪をモチーフに連続猟奇殺人を取り扱ったサスペンス映画とあるように次から次へと猟奇的な殺人事件が起こるのでハイテンポでストーリーが流れていく。
モーガン・フリーマンの落ち着いたベテラン刑事役は想像通りだが、新米刑事役ブラッド・ピットの表情や目つきの演技が凄まじい。
妊娠した妻や新しく住む町、新しい職場に猟奇的事件、言葉に出せない不安が伝わってくる。
例によってラストはかなり後味の悪い展開となるのだが、それまでの映画としての雰囲気はカッコいい。