悪魔の手毬唄の紹介:1977年日本映画。「犬神家の一族」に続く、市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第2作目。古い因習が根づく閉鎖的な村を舞台に、手毬唄になぞらえた陰惨な連続殺人が起こる。探偵・金田一耕助は解明に乗り出すが、事件の裏には重く残酷な悲劇が隠されていた。
監督:市川崑 出演者:石坂浩二(金田一耕助)、岸恵子(青池リカ)、北公次(青池歌名雄)、永島暎子(青池里子)、高橋洋子(由良泰子)、永野裕紀子(仁礼文子)、仁科明子(別所千恵)、若山富三郎(磯川警部)、中村伸郎(多々良放庵)ほか
映画「悪魔の手毬唄」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪魔の手毬唄」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
悪魔の手毬唄の予告編 動画
映画「悪魔の手毬唄」解説
この解説記事には映画「悪魔の手毬唄」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪魔の手毬唄のネタバレあらすじ(起):事件の始まり
舞台は日本、閉鎖的な村落「鬼首村」。村では由良家と仁礼家、ふたつの名家が対立関係にあります。没落した旧家由良家の娘泰子と、温泉宿「亀の湯」の長男青池歌名雄は将来を誓い合った仲。しかし勢力を拡大する仁礼家の娘文子もまた歌名雄に恋をしており、家柄も絡んだ複雑な三角関係が静かに村を覆っていました。そこに現れたのが、私立探偵の金田一耕助。彼は友人である磯川警部の依頼で村を訪れました。磯川の依頼は、23年前にこの村で起こった殺人事件の真相を暴くこと。歌名雄の父青池源次郎が、恩田幾三という村外の詐欺師に殺害された事件です。源次郎の遺体は顔の判別もつかないほど囲炉裏の火に焼かれ、恩田は今も行方不明。磯川はこの事件の加害者と被害者は逆ではないかとずっと疑い続けていました。磯川の熱意に負けた金田一は、事件の聞き込みを始めます。その際、峠で腰の曲がった老婆とすれ違います。老婆はひとりごとのように、おはんと名乗りました。おはんとは、源次郎の妻青池リカが切り盛りし、金田一も宿泊している「亀の湯」で知り合った老人多々良放庵が昔離縁した妻の名でした。しかし聞き込み中におはんは既に故人だと判明。慌てて放庵の家を訪ねますが、おはんはおろか放庵の姿もありません。ただ食事の用意と、吐血のあとが残されているばかりでした。
悪魔の手毬唄のネタバレあらすじ(承):手毬唄になぞらえた殺人事件
行方不明の放庵、死んだはずのおはんの出現。不気味な影が村を覆い始める一方、別の話題が村中を駆け巡っていました。村の出身で現在は有名な歌手になっている別所千恵が、母とともに帰郷したのです。千恵は恩田の娘で、周囲から迫害を受けたため村を離れていたのでした。千恵の帰郷を祝う席に、リカの娘で左半身に赤あざを持つ青池里子も向かいます。その道中で見知らぬ老婆と歩く泰子を目撃。翌日、泰子は滝壺で遺体となって発見されます。泰子の口には漏斗がさし込まれ、そこに滝の水を注ぐように枡が置かれていました。泰子の通夜の晩、千恵は不気味な老婆の影を、里子も遠目に何かを目撃します。翌日ぶどう酒工場の樽の中から文子の遺体が見つかります。頭上には竿秤と大判小判の飾りが揺れていました。泰子と文子の死に様が、村に古くから伝わる手毬唄になぞらえたものだと突き止めた金田一。由良家、仁礼家、別所家にはそれぞれ桝屋、秤屋、錠前屋という屋号があったのです。手毬唄は3番まで存在し、おそらく錠前屋の娘を標的にした第3の殺人事件も起こるだろうと推理します。
悪魔の手毬唄のネタバレあらすじ(転):事件の根幹と第3の殺人
捜査が進み、驚愕の事実が判明します。泰子と文子は、実は千恵と同じく恩田の娘だったのです。金田一は第3の殺人を防ぐため、千恵の警護を警察に頼み神戸に飛びます。そして恩田と源次郎が同一人物であることを突き止めました。事件の真相に近づいた金田一でしたが、彼の不在中に、村では第3の殺人が起きてしまいます。後頭部を殴られ殺されたのは、金田一の予想に反し、千恵ではなく里子でした。里子の遺体の近くには、錠前と鍵が置かれていました。
悪魔の手毬唄の結末:真犯人と23年前の真実
里子を失い悲しむリカのもとに千恵がやって来ます。リカは千恵に、一連の事件の犯人は自分だと白状しました。第3の殺人は、里子ではなく千恵を狙ったものだったのです。しかし、里子は泰子の通夜の日におはんに変装したリカを目撃し、犯人に気づいてしまいました。さらに千恵までもが狙われていると勘づき、千恵のふりをして身代わりに殺されたのです。全ての発端は23年前でした。源次郎と恩田が同一人物だと知ったリカは激情にかられるまま夫を殺害、それを放庵に目撃されます。以来放庵に脅されてきたリカは、おはんに変装して放庵を毒殺し遺体を隠しました。歌名雄、泰子、文子は腹違いの兄妹。結婚を許す訳にはいきません。そして自分の娘里子が赤あざを負い苦労している一方で、「恩田幾三の娘」は皆美しい女ばかり。焦りと憎しみを募らせたリカは、彼女たちの殺害に至ったのです。自供したリカは警察の目を盗んで逃走、底なし沼に身を沈め自殺します。事件を解決した金田一は磯川に見送られて汽車に乗り込みます。動き出した汽車から顔を出し、金田一は磯川に、リカを愛していたのだろうと尋ねます。うまく聞き取れなかった様子の磯川に頭を下げた金田一を乗せ、汽車は遠ざかっていきます。23年前から続いた陰惨な事件とともに、映画も終幕を迎えます。
以上、映画 悪魔の手毬唄のあらすじと結末でした。
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