ロマンスの紹介:2015年日本映画。ロマンスカーの販売員として働く主人公が、ひょんなことから出会った男と一緒に箱根を巡る中で、過去に抱えた心の傷を癒していく姿を描いたロードムービー。自分ではどうしようもない日常を、ふっと忘れさせてくれるような、温かい作品となっています。
監督:タナダユキ 出演者:大島優子(北條鉢子)、大倉孝二(桜庭洋一)、野嵜好美(久保美千代)、窪田正孝(直樹)、西牟田恵(北條頼子)、中村靖日(鉢子の上司)、ほか
映画「ロマンス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロマンス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロマンスの予告編 動画
映画「ロマンス」解説
この解説記事には映画「ロマンス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロマンスのネタバレあらすじ:起
特急ロマンスカーで販売員をしている北條鉢子(大島優子)は、仕事では優秀な成績をおさめる一方、プライベートでは彼氏の直樹(窪田正孝)に金を与えるなどして甘やかしてしまうダメな一面があります。
ある日、鉢子の元に何年も音信不通だった母親の頼子(西牟田恵)から手紙が届きました。仕事の休憩時間に手紙を読んだ鉢子は、今さら手紙を寄こしてくる母親にイライラしながら仕事に戻ります。そして車内販売をしていた鉢子は、ワゴンからお菓子を万引きしようとする男性客を見つけました。お菓子を盗んだとして、鉢子は男性客の桜庭洋一(大倉孝二)を摘発します。
洋一と鉢子は共にホームに降り立ち、駅員室に向かっていたのですが、突如洋一が逃走。改札を通り抜け、街中を走って逃げる洋一と鉢子が追いかけます。足の速い鉢子が洋一を捕まえ、観念した洋一が駅へ戻ってきました。しかし駅員に「お菓子代を払おうとしていた」としらばっくれて、何のお咎めなしで解放される洋一。むしゃくしゃする鉢子は、母親からの手紙をホームのごみ箱に捨てて、仕事へ戻ろうとします。
ホームに立っていた鉢子に馴れ馴れしく話しかける洋一。再びイライラが募る鉢子はトイレに行って再び戻ってくると、自分が捨てた手紙を洋一が勝手に読んでいるところを見つけます。鉢子は抗議しますが、洋一は「そんなことよりも、手紙の主が自殺を考えているのではないか?」と仄めかすのでした。
ロマンスのネタバレあらすじ:承
両親は鉢子が幼少期に離婚し、父親が出ていってからは母親の頼子が様々な男を家にいれるようになります。しかも同い年くらいの少女の父親とも不倫をしていたために、鉢子はその少女から責められ、どんどん居場所がなくなっていきました。母親からの手紙には、「結婚を考えていた人物にふられ、箱根に行くこうと思う」と書かれていました。箱根は、最後に家族で旅行をした楽しい思い出の詰まった場所です。
洋一から「母親を探そう!」と無理やり腕を掴まれ、箱根の街で母親を探すことになった鉢子。最初は乗り気でなかった鉢子ですが、実は母親のことを気にかけてることを洋一に見透かされ、車を借りて探す決心をしました。まずは洋服店へいき、服を購入して制服から普段着に着替えます。
その後、車で走り出した鉢子たちは家族旅行で訪れていた城を訪れました。城の天守閣までくると、そこで家族連れから写真を撮ってほしいと頼まれる鉢子。その幸せそうな家族を見て、自分たちもそんな時があったと鉢子は思いだしました。その後、登山鉄道に乗って山に来た鉢子は、洋一には離婚歴があり一人娘がいること、仕事は映画のプロヂューサーをしていることを知りました。
ふと思い出す両親はとても仲がよく、箱根の家族旅行で過ごした幸せな時を思い返す鉢子。二人はいろいろな場所を探しましたが、結局母親を見つけることはできません。
ロマンスのネタバレあらすじ:転
諦めて東京へ帰ろうとする鉢子ですが、洋一は「東京には帰りたくない」と言い出します。「夜になれば電車で東京へ帰るので、それまで一緒にいてほしい」と頼む洋一。事情があって家に帰りたくない様子の彼を見て、鉢子ももう少しだけ母親を探すことにしました。
こうして二人は次第に距離を縮めていきます。そして帰る前に富士山を見ることにして、ふもとまで行ってみましたが、あいにく雲がかかって見えません。帰り道、暗くて道に迷った二人はラブホテルに到着します。鉢子はしかたなく一泊することにして、ホテルで一番高い部屋で一夜を過ごすことになりました。
鉢子は「絶対に何もしないでね」と何度も念を押して、風呂に入ります。一人になった鉢子は母親との過去を思い出し、涙が止まりません。風呂から出てもその涙は止まらず、母親との過去に心の傷を負ったことを告白する鉢子。その話を聞いた洋一は、泣いている鉢子を抱きしめベッドに押し倒しました。何もかもがいやになった鉢子は抵抗もせずただ泣いているだけです。
すると今度は洋一が、心に抱えていた悩みを吐き出しました。自身がプロデューサーをつとめていた映画が大コケして、元々あった借金も膨らみ、出資してもらった相手から訴えられて、逃げるようにして箱根へ来た洋一。映画で借金を返すことができれば、別れた妻と娘を迎えに行く予定でした。
ロマンスカーに乗ったのもたまたまで、現実逃避する時間が欲しかった洋一は、「変な逃避に巻き込んでごめん」と謝ります。振り返ると鉢子はベッドですやすや寝ており、洋一は寝ている鉢子の額にキスをして、二人は別のベッドで朝を迎えるのでした。
ロマンスの結末
次の日、「良い日旅立ち」を車の中で歌いながら鉢子と桜庭は駅へ向かいます。そして別れ際、洋一は土産物屋で見つけた「はちこ」と名の入ったキーホルダーを鉢子にプレゼントしました。
会社に戻った鉢子は、上司から何をしていたのかと叱られます。そして、いつも通り業務に戻る鉢子。結局母親は見つかりませんでしたが、心の憑き物が落ちたような爽やかな気持ちでいます。洋一からもらった名前入りのキーホルダーを見て、いつもの笑顔をとり戻し、そしてロマンスカーの車内販売を始めた鉢子が車内に入ると、あんなに探したはずの母親をロマンスカーの車内で見かけます。
しかも隣には年配の男性を連れていました。一瞬動揺した鉢子でしたが、何も知らずにコーヒーを注文した母親に笑顔で応え、その表情はいつもより一層明るく輝いているように見えるのでした。
以上、映画「ロマンス」のあらすじと結末でした。
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