JUNK HEAD(ジャンク・ヘッド)の紹介:2017年日本映画。本業は内装業という経歴を持つアニメーション作家・堀貴秀が7年の歳月をかけ、監督・脚本・原案・原作・キャラクターデザイン・セット製作・撮影・音楽・編集・声の出演など何役も兼任して完成させたSFストップモーション・アニメーション作品です。本作は短編『JUNK HEAD 1』をベースに製作された三部作の第1作にあたり、環境破壊によって絶滅の危機に瀕した人類が地下世界で独自に進化していた人工生命体の調査を開始する様を描きます。
監督:堀貴秀 声の出演:堀貴秀(パートン/三バカ/博士/職長)、三宅敦子(ニコ)、杉山雄治(女衆)ほか
映画「JUNK HEAD」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「JUNK HEAD」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
JUNK HEADの予告編 動画
映画「JUNK HEAD」解説
この解説記事には映画「JUNK HEAD」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
JUNK HEADのネタバレあらすじ:起
人類は遺伝子操作によって不老不死の能力を得ましたが、代償として生殖能力を失いました。人類は地下開発の労働力として人工生命体“マリガン”を生み出しましたが、マリガンは反乱を起こし、そのまま地下世界に住み着きました。
それから1600年後。新種ウイルスの蔓延や環境破壊によって存亡の危機に立たされた人類は地下世界で独自の進化を遂げたマリガンの生態調査を開始しました。調査員に選ばれたパートン(堀貴秀)は地下世界に向かうポッドに乗り込みました。
その頃、地下世界では2人の警備員パンスマンが、マリガンを生み出す生命の樹を火炎放射器で燃やしていました。一仕事を終えたパンスマンらの元にバートンの乗ったポッドが落下してきたので、ロケット砲を発射して撃破しました。中に乗っていたパートンはバラバラになり、頭部は地下へと落下していきました。
マリガンの三人兄弟のアレキサンドルとフランシスとジュリアン、通称“三バカ”(堀貴秀)はパートンの頭部を見つけ、マリガンのルーチー博士(堀貴秀)の元に持って行きました。マスクの下には人間の頭部が入っており、博士は「我々の創造主。ある意味“神”と言える存在だ」と語りました。博士はパートンに身体を与えることにし、助手たちと共にパートンの頭部をロボットの胴体と結合させました。
意識を取り戻したパートンでしたが、落下の衝撃で記憶を失っていました。博士からしばらく地下世界でゆっくり過ごすよう勧められたパートンは三バカと共にガラクタ集めに出かけました。そこに野生生物“スパイク”が現れ、パートンに襲い掛かってきました。パートンは三バカのおかげで助かり、スパイクは縦穴の底に転落していきました。
やがてパートンと三バカは虫の巣の穴を見つけました。三バカは穴の前にある赤い線に触れないようパートンに忠告しましたが、たまたま通りかかった小動物“ドラゴンクリッター”が線に触れてしまいました。
すると穴の中から“デスワーム”が現れ、パートンを飲み込んでしまいました。しかし、パートンは機械の身体だったため、デスワームはパートンを吐き出しました。
JUNK HEADのネタバレあらすじ:承
パートンは吐き出された衝撃で記憶を取り戻しました。かつてパートンはダンスの講師をしており、オンラインで生徒に指導していました。しかし、新種ウイルスの蔓延により人口が減少し、経営が苦しくなったので地下調査員に応募したのです。
我に返ったパートンは自分の身体が機械になっていることに驚き、混乱しました。三バカはパートンを博士の元に連れ帰りました。途中で野生の小動物“トロちゃん”を見かけたパートンは、生殖のためにマリガンの繁殖の実態と遺伝子情報の収集を命じられていたことを思い出しました。地下に出発する前に見せられた写真がトロちゃんだったのです。
博士の研究室に連れ戻されたパートンはそこから逃げ出し、縦穴付近でトロちゃんを見つけて追いかけているうちに道に迷ってしまいました。そこに知能の低い野生種マリガンの“グローム”が現れ、パートンは追いかけられているうちにデスワームの巣の地帯に逃れました。
赤い線を踏んだグロームはデスワームに食べられましたが、パートンもデスワームに食べられてしまい、引きちぎられた頭部は縦穴の底へと落下していきました。
パートンの頭部はさらに下層にあるバルブ村の技師に拾われ、ガラクタで作られたロボットの身体を与えられました。しかし、パートンは落下の衝撃で再び記憶を失っており、新たな体は発声機能がないので会話することができませんでした。
バルブ村はその名の通り、至る所に様々なバルブが並んでいました。村人はバルブの圧力を調節する仕事に就いていましたが、ここ最近は8番管の圧力が不安定になっていました。バルブ村は男形マリガンのペリオット(堀貴秀)が職長ですが、実際は女形マリガンのマルギータ(杉山雄治)たちが村を仕切っていました。
そんなある時、マルギータたちが月に一度のグルメツアーに出かけることになり、職長はその間にと高級食材“クノコ”をパートンに買いに行かせることにしました。パートンは職長から地図を渡され、クノコは鮮度が落ちるのが早いので入手したらすぐに戻って来るよう命じました。
JUNK HEADのネタバレあらすじ:転
パートンは下の階に繋がるエレベーターに乗り、クノコ販売所に到着しました。販売員のピルツィーノがクノコをその場で刈り取り、パートンはクノコを持って帰りのエレベーターを待っていたところ、怪しげな詐欺師が近づいてきました。詐欺師はこのエレベーターは有料だと嘘をつき、自分が乗務員に交渉すると見せかけてパートンからクノコ1本を騙し取りました。
パートンはエレベーターで上の階に戻りましたが、詐欺師は今度は道案内をすると持ちかけました。途中の通路で居眠りしている3匹の老女のようなマリガンを見つけた詐欺師は“地獄の三鬼神”だと嘘をつき、交渉すると言ってパートンから残りのクノコを巻き上げてしまいました。
その時、天井に潜んでいたワームが詐欺師を襲い、詐欺師の上半身を食いちぎりました。パートンはその隙に巻き上げられた全てのクノコを取り戻し、その場から逃げようとしましたが、ワームに追いかけられているうちに絶壁から転落してしまいました。
パートンが転落した先には8番管バルブがありました。このバルブは有毒ガスを浄化するためのものであり、ここの管理人は200年もの間立ちっぱなしで管理していたために疲れてしまっており、時々居眠りしてしまうため出力が不安定になっていたのです。パートンは管理人のために落ちていた鉄パイプで椅子を作り、管理人を喜ばせました。
パートンはバルブ村に向かう途中、2匹の子供のマリガンがクノコをせがんできました。パートンが仕方なくクノコをあげると、沢山の子供のマリガンたちが現れてクノコを求めてきたので、パートンはその場を離れました。
その際、パートンが落とした1本のクノコを大人マリガンのホクロが拾い、子供マリガンのニコ(三宅敦子)に分け与えました。ホクロとニコはパートンについていくことにしました。
バルブ村に戻ったパートンはクノコを職長に渡しましたが、既に鮮度の落ちたクノコにはカビが生えており、職長はクノコを捨てるよう命じました。捨てられたクノコはホクロとニコに食べられました。
以前スパイクが下層に落ちた時に獣の侵入を防ぐ電気柵の電線が切断され、狂暴な巨大生物トリムティがバルブ村にやってきました。2人の警備員パンスマンがトリムティを阻止しようとしましたが全く歯が立たず、パンスマンたちはトリムティに食われてしまいました。
その頃、ニコは村の子供マリガンにいじめられており、パートンは身を挺してニコを助けました。その際、ニコは昔のことを思い出しました。ニコの正体は生命の樹“ヨーグル”になる素質を持つマリガンであり、ホクロ共々老マリガンに拾われて育てられました。この地域では“ヨーグル”を知る者がおらず、異様な硬質系の皮膚を持つニコはこのことでいじめの対象になっていたのです。
JUNK HEADの結末
トリムティは次々とバルブ村の村人を襲って血祭りにあげていきました。職長は技師に“地獄の三鬼神”を連れてくるよう命じましたが、連れて来られたのはあの三バカでした。三バカはパートンの頭部を元のロボットの胴体に戻し、パートンは記憶を取り戻しました。
任務を思い出したパートンに、村人は今ではゴーストタウンと化している都市“カープバール”に生命の樹があり、生命の樹からマリガンが生まれるのだと教えました。カープパールに行くには赤道ラインに作られた鉄道“赤鉄”に乗ると速いのだそうです。
パートンはニコにダンスを教えた後、三バカと共にトリムティ退治に出かけました。その頃、8番管バルブの管理人はパートンからもらった椅子が余りにも楽だったために居眠りをしてしまい、バルブにトラブルが発生しました。8番管は大爆発を起こし、職長や技師たちは煤だらけになりました。そこにグルメツアーからマルギータたちが戻ってきました。
ホクロとニコはパートンたちの後をつけていました。三バカはホクロとニコに戻れと告げましたが、トリムティはホクロに襲い掛かってきました。三バカは自らの身体に“逆転写酵素剤”の注射を打ち、筋肉質の体にパワーアップしました。
三バカはトリムティと戦いましたが、三バカのひとりアレキサンドルが負傷し、8番管の崩壊の影響で天井が崩れてきました。三バカのフランシスとジュリアンは崩壊する天井を支えてバートンの危機を救いましたが、薬の効果が切れたフランシスとジュリアンはそのまま天井の下敷きとなって命を落としました。
なおも生きていたトリムティはパートンに襲い掛かり、パートンは壁の鉄筋に突き刺さって身動きがとれなくなってしまいました。それでもパートンはトリムティに襲われたアレキサンドルを助けるべく自らの身体を引きちぎり、トリムティの頭に鉄パイプを突き刺して倒しました。
パートンは博士のところに戻るというアレキサンドルに別れを告げ、ニコとホクロに担がれて人間が住む上層部へと向かいました。
以上、映画「JUNK HEAD」のあらすじと結末でした。
「JUNK HEAD」感想・レビュー
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細かい動きに息づかい、キャラクターが生き生きしている。ペッコンチョだけは覚えたけれど、この世界だけの言葉をわかりたい。ストップモーションムービー、手が込みすぎていて何度も見返してしまう。
素人の監督がほとんど一人で作り上げたストップモーション映画で、キャラクター達のキモカワイイ風のデザインが秀逸です。背景の作り込みなども丁寧でスチームパンクな建造物や小物など男心をくすぐるような物が満載の映画です。