ペルシャン・レッスン 戦場の教室の紹介:2020年ロシア, ドイツ, ベラルーシ映画。第二次世界大戦中のナチス占領下のフランス。ナチス親衛隊に捕まったユダヤ人の青年ジルは処刑直前に、自分はペルシャ人だと嘘をつき一命をとりとめる。彼は戦争が終結したらテヘランでレストランを開く夢を持つコッホ大尉からペルシャ語を教えるよう命じられ、とっさに自ら創造したデタラメの単語を披露して信用を取り付ける。偽のペルシャ語レッスンがはじまり、次第に2人の間に奇妙な信頼関係が生まれていく。嘘から生まれた偽りのペルシャ語を駆使して必死に生き延びようとするユダヤ人青年の凄絶な運命とは…。第70回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャルガラ部門で上映され、世界各国の映画祭で数多くの賞を獲得、喝采を浴びた。
監督:ヴァディム・パールマン 出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート(ジル)、ラース・アイディンガー(クラウス・コッホ大尉)、ヨナス・ナイ(マックス・バイヤー兵長)、レオニー・ベネシュ(エルザ・シュトルンプフ看守)、アレクサンダー・バイヤー(司令官)ほか
映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」解説
この解説記事には映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペルシャン・レッスン 戦場の教室のネタバレあらすじ:起
1942年、ナチス占領下のフランス郊外。ユダヤ人の青年ジルはナチス親衛隊に捕らえられた移送用トラックで、同胞の男からペルシャ語の本と引き換えに食料を交換してほしいと懇願されて仕方なく応じました。
急停車したトラックから引きずり出されたユダヤ人たちは、無残にも次々射殺されていきました。ジルはとっさに本を掲げて、「殺さないでくれ!自分はペルシャ人だ!」と嘘をつき一命をとりとめました。
強制収容所に連行されたジルは、マックス・バイヤー兵長によってコッホ大尉に差し出されました。ジルがペルシャ人だと完全に信じていないコッホは、「証明してみろ」と迫ります。ジルは本をくれた仲間から唯一教えてもらった“ボウボウ(父)”という単語を伝えました。
すると、コッホはあろうことか「ペルシャ語を教えてくれ」と言うのです。終戦後にテヘランでレストランを開く夢を持っているコッホは、ジルに昼間料理人の仕事を与え、終業後にコッホの部屋でペルシャ語のレッスンをすることを命じました。
ペルシャン・レッスン 戦場の教室のネタバレあらすじ:承
ジルのついた嘘がバレれば処刑という状況の中で、生き残るための手段として調理をしながら次々と偽のペルシャ語を創作していきました。皿は“ルト”、フォークは“カルス”、パンは“ラージ”…
言葉は容易に創作することができましたが、増えていく言葉を記憶するのはとても難しく、常に反芻しなくてはなりませんでした。しかし決死の覚悟で努力した甲斐もあり、ジルはコッホから信用を得ていきます。
マックス兵長は、ジルをユダヤ人だと疑いコッホへ訴えましたが、逆にコッホから叱責されるほど、ジルとコッホの間には不思議な信頼関係が築き上げられていきました。コッホは次第に普段決して言わない本音をジルに語るようになっていきました。
ある日、コッホは雑な仕事をするエルザ・シュトルンプフ看守に代わってジルを囚人名簿の記入係へ任命しました。しかし名簿の記入は膨大で、偽のペルシャ語を創作して記憶する時間が足りません。そこで、ジルは囚人の名前からペルシャ語を引用することを思いつきます。これなら作業をしながら言葉を作ることができ、忘れることもありません。ジルは順調に語彙を増やしていきました。
ペルシャン・レッスン 戦場の教室のネタバレあらすじ:転
ところがある日、親衛隊のピクニックパーティに料理係として同行したジルは、コッホからとっさに「ペルシャ語で木は何と言う?」と聞かれて、思わずパンと同じ「ラージ」と答えてしまいます。
騙されたと激昂したコッホは、パンも木も同じ単語だと言うジルの言葉を無視して彼を激しく殴打。マックスに監視役を命じて、ジルを最も過酷な採石場での労働へ送りました。
厳しい労働とマックスからの暴行で正気を失っていくジルは、瀕死の状態に陥っていきます。そしてついに力尽きて倒れてしまいました。ジルは生死の境を彷徨いながら誰にも分からない言葉でうわごとを口にしましたが、その意味をコッホだけは理解できました。
「お母さん、家に帰りたい…」
コッホは、やはりジルは本物のペルシャ人だと思い直し、意識を取り戻した彼にレッスン再開を頼みました。それだけでなく、ボロボロの服を着たジルにコッホは自分が着られなくなった服をあげたり、ポーランド行きの移送も1人だけ免除したりするなど特別扱いしていきます。しかし、ジルは同胞が次々と虐殺されていく中で、自分だけが生き残っていくことに葛藤が生まれていきます。
ペルシャン・レッスン 戦場の教室の結末
再び囚人の移送が決まると、コッホはジルに農場へ行くよう命じます。ところが、ジルは仲間を農場へ行かせ、自分は移送の列へともぐり込みました。列にジルの姿を見つけたコッホは、無理やり引きずり出し「名もなき囚人の1人として死にたいのか!」と収容所へと連れて帰ろうとします。しかしジルは言いました。
「名もなき彼らの命は、あなたたちよりもずっと尊い」と。
戦争は次第に激化し、ナチス・ドイツ軍は劣勢へと追い込まれていきます。敗戦が目前に迫ると収容所内の囚人を殺害し、親衛隊は収容所から撤退する命令が出されました。コッホは強引にジルを連行するように見せかけ、2人で収容所を去っていきました。
しばらく歩き続け、森の中まで来るとコッホは立ち止まって言いました。
「いい人生を送れよ」ジルは解放されました。
そのままテヘランに向かったコッホは、空港に着くと覚えたペルシャ語を使って話しますが、誰にも通じず発狂。取り押さえられて捕まってしまいます。
一方、連合軍に保護されたジルは、囚人名簿が燃やされたしまったことを聞かされ「2840人の名前を記憶しています」と言い、収容所に連行され処刑された人々の名前を1人1人挙げていきました。
以上、映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」のあらすじと結末でした。
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